2014年1月5日日曜日

600人に1人が血栓症に--40歳以上のピル服用について試算

この10年間の日本では、産婦人科医もユーザーもライフデザインドラッグ路線どっぷりになっています。
ライフデザインドラッグ路線の危険性など言えば、白眼視されてしまいそうです。
ピルは本来、安全性の高い薬です。
しかし、ピルが安全性の高い薬なのは、ピルが本来の利用のされ方をされた時にだけ言えることです。
ライフデザインドラッグ路線下のピルは、本来の利用のされ方を逸脱し、
万能サプリのような取り上げ方をされてきました。
それがいかに危険なことか、説明しましょう。

ピルの最大の副作用は血栓症です。
血栓症は欧米のピルユーザーで10万人につき、15-25人に発現します。
日本で欧米と同じ使われ方をすれば、発現率は欧米より低くなるでしょう。
ピルが本来の使われ方をすれば、血栓症は非常に稀と言うことができるでしょう。
ライフデザインドラッグ路線下の日本では、
本来の使われ方がなされていないのに非常に稀という側面だけが強調されてきました。
ピルは一歩本来の使われ方を逸脱すると、
とてつもない頻度で血栓症を引き起こすことは医学常識です。
この医学常識を無視して暴走したのがライフデザインドラッグ路線のピルです。

ヤーズについてバイエル薬品は、142636婦人年に使われた発表してます。
13シート使われると1婦人年と数えます。
ヤーズユーザーの年齢分布は実はよくわかりません。
当ブログのアンケートは回答数が600以上です。
その回答者の年齢属性を見ると、ヤーズユーザーの18.18%が40歳代です。
この年齢比率を用いると、ヤーズは40歳代の女性に対して25931婦人年使われたことになります(142636婦人年x18.18%)。
医薬品医療機器総合機構データベースで、
血栓症の発症が報告されている40歳代のヤーズユーザーの数を数えると、
42件になっています。
25931婦人年に42件の血栓症が発現していることになります。
10万婦人年あたりに換算すると、161.9人になります。
つまり、40歳代の女性10万人が1年間ヤーズを使用すると、
161.9人に血栓症が発症するという計算です。
40歳代の女性10万人に161.9人ということは、
618人に1人が血栓症を発症することを意味します。
実際は報告漏れがあると考えられますから、
300人に1人の発現率になるかもしれません。
これは40歳代のヤーズユーザーについてのデータです。
40歳代の女性でざっと、600人に1人くらいが血栓症を発症するわけです。
50歳代だったらもっとリスクは高くなるでしょう。
この発現率は稀にしかないと言えるレベルではありません。

40歳代の女性がヤーズを服用すれば、600人に1人くらい血栓症を発症します。
ライフデザインドラッグ路線下の日本では、このリスクが無視されてきました。
ヤーズも日本以外では避妊薬です。
若者の切実な避妊要求に応える薬です。
ところが、日本では逆にヤーズを避妊目的に使用してはいけないことになっています。
ヤーズは日本では避妊薬ではなく、月経困難症の治療薬です。
月経困難症の女性は、年齢に関係なくいます。
40歳代の女性も50代歳代の女性もいます。
年齢の高い女性にも無差別的に処方されてきたのが日本の実態です。

避妊薬ピルとしての安全性を引き合いに出しながら、
非避妊薬としてピルを利用するのは詐欺のようなものです。
どうしても、治療薬として年齢の高い女性にピルを使うのならば、
「600人に1人程度の血栓症リスクがある」ときちんと伝えるべきです。
現在、ピルを処方されている年齢の高い女性達は、
年齢によるリスクの高さを伝えられていません。
もし、リスクをきちんと伝えれば、どれほどの女性がピルを選択するでしょうか。
ほとんどいないかもしれません。
ライフデザインドラッグ路線はリスク隠しによって成り立っていると見ることができるように思います。

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