2013年3月3日日曜日

聖処女幻想の国(1)蘇る聖処女幻想

10年あまり前、次の文章を書きました。
■性道徳について     ▼次へ/▲前へ /先頭へ
★かつてピル反対論者の本音は、ピルを解禁すれば性が乱れるというものでした。今でもそのような偏見を持っている方は、少なくないと思います。
★夫や恋人といった特定のパートナーと性的関係を持っていること、これを不道徳というのは、SEXそのものを否定的にしか見ることのできない特殊な方だと思います。私はそういう方を聖人として尊敬します。聖人は山にでも籠もって、仙人のような生活をしていてほしいものです。ところが、町に隠れ聖人が結構たくさんいるようなのです。これはタチが悪い。自分についてはぜんぜん聖人であることを求めないのに、女性に対しては聖人であることを求める輩です。女性が性的関心を抱くことさえ、快く思わないらしいのです。実は日本の男性には、程度の差はあれこの隠れ聖人が非常に多いように思います。もし、あなたがピルに躊躇する気分があるなら、自分の心の中のどこかに隠れ聖人が住んでいないか考えてみて下さい。そして、あなたが隠れ聖人であるなら、ぜひほんとうの聖人になって下さい。そしたら、あなたを尊敬してあげます。しかし、自分自身が聖人になれないのなら、女性にそれを押しつけるのは止めてほしいですね。女性が性的な関心を持つことは不道徳なことではないのです。


この文章は、「ピルとのつきあい方」開設後しばらくたったころに書いたものです。
当時、結婚前の女性が性経験を持つことは、
現在と同じほどに珍しいことではなくなっていました。
むしろ、当然のこととなっていました。
ところが、その現実を受け入れることのできない意識が、
親の世代にも青年世代にも、
男性にもそして女性にも残っていました。
現実に遅れて意識も変わっていくだろう。
当時、そのように考えていました。

しかし、この10年間の日本で、
意識は全く変わらなかったように思えます。
いや、それどころか、むしろ強まっているのではないかとさえ思えます。
現実離れした聖処女幻想が、
逆に現実を動かし始めているように思うのです。

性教育批判
子宮頸がんワクチン反対
ピルの避妊目的使用嫌悪
緊急避妊薬「適正使用」

これらはこの10年の日本で生じた現象です。
それぞれ別の現象のようで、
その背後に聖処女幻想が関係しているように思えてなりません。
このような観点から、日本の聖処女幻想について考えていくことにします。

聖処女幻想の国(2)に続く

(1)蘇る聖処女幻想
(2)けがの功名だった改名
(3)国策家族計画運動
(4)「峠の我が家」考
(5)「ふしだら少女」の誕生
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