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2014年4月19日土曜日

ピルに関する情報の発信停止について

当ブログ、ツイッター等におけるピルに関する情報の発信を当面停止することにしました。
ピルは本来安全性の高い薬であり、
ピルの普及は日本の女性にとって多大なメリットがあるとこれまでも確信してきましたし、
現在もその確信に変わりありません。
しかし、日本の現状においては、ピルはメリットよりもデメリットの方が大きいと考えざるをえません。
ピルを安全な薬にすることはできます。
そのために微力ながら情報を発信してきましたが、
残念ながら状況は変わっていません。
現状において日本のピルは、メリットよりデメリットが大きい状態が続いています。
この状態は、根本的な改善がなされない限り転換できません。
当サイトの情報が多少なりともリスク回避に役立ったとしても、
それはかえって現状の問題点を隠蔽してしまう結果になるのではないかと恐れます。
状況が変化するまで、ピルについての情報発信停止を決意した理由です。

「ピル推進派」産婦人科医に十数年間期待してきましたが、
期待しても無駄との認識に至りました。
・ピル解禁の意義を共通認識できない状況
・副作用問題の現状を共通認識できない状況
・副作用回避方策の必要性を共通認識できない状況
状況が変わるまではピルについての発言は控え、
ピルと直接関係しない事柄を書いていきます。

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
副作用拡大を招いたライフデザインドラッグ路線のピル。
誰が最期までライフデザインドラッグ路線にしがみつくのか見届けたい↓↓。
特定非営利活動法人OC普及推進事業団ご推薦の産婦人科医など(26 Apr 2014保存)。
※同団体は虚々実々のプロパガンダ言説を専らとしてきた経緯があり、勝手に「つながり」を表明しているケースも考えられます。

ピルの製造原価は1シート数十円です。
製薬会社にとってピルほど利益の上がる薬はありませんし、
ピルほど広告効果のある薬はありません。
原発推進に巨額な広告費が使われたのと同様に、
ピル販売促進に巨額の資金がつぎ込まれました。(参照 ピルの副作用被害とオーキッドクラブの責任)
日本のピルは製薬会社が提供する情報と資金によってコントロールされています。
ピル推進派の女性専門家の会は、血栓症副作用の勉強会をするのに製薬会社から講師を招きました。
当サイトの情報を製薬会社情報と異なるという理由で間違いと決めつけ中傷してきたNPOの理事長は、まともな医療者の当たり前の発言まで気にいらないようです。(参照 )
製薬会社による情報操作は、医師からユーザーまで浸透しているのが現状です。
製薬会社から情報操作のための資金提供が続く限り、
製薬会社の意を酌んだピル言説が横行します。
日本のピルが再生するには、
いったん滅んでしまった方がよいのではないか。
この考えを自分で抑えることができなくなりました。


ライフデザインドラッグ路線への懐疑が一定程度になれば、当サイトの活動を再開します。

2014年4月8日火曜日

ピルの副作用被害とオーキッドクラブの責任

オーキッドクラブの設立


「ピルや避妊に関する総合サイト」と銘打つオーキッドクラブのサイトが現れるのは、
2000年秋頃です。
2000年11月9日の同サイト保存ページはこちらです。
「オーキッドクラブって何?」には、
「産婦人科医をはじめとするウィメンズヘルスケアの専門家の集まりです」との簡単な説明があります。
2004年4月29日までは、同サイトにオーキッドクラブの詳しい説明はありませんでした。
未確認情報によると、オーキットクラブは2000年9月27日の発足で、
間壁さよ子医師(発起人代表)・松峯寿美医師・対馬ルリ子医師・早乙女智子医師が発起人でした(参照ページ)。
当時、対馬医師は性と健康を考える女性専門家の会副会長、松峯医師と早乙女医師は同会運営委員でした。
オーキットクラブと性と健康を考える女性専門家の会は目的が類似しているだけでなく、
メンバー的にも重なっていました。
2004年6月12日になると、「設立のごあいさつ」以下の紹介ページが登場します。(保存ページ)
「オーキッドクラブのしごと」によると、「オーキッドクラブは非営利の団体(N.P.O)です」と記され、
理事長・副理事長・理事・顧問など理事会メンバーが紹介されています。(保存ページ)


突然登場した間壁さよ子発起人代表=理事長


4名の発起人の中で間壁さよ子医師を除く3名は、
それ以前から避妊やピルについて発言してきた医師です。
一方、発起人代表の間壁医師は、避妊やピルについての活動実績はほとんどありませんでした。
間壁さよ子著『避妊のすべてがわかる本』が刊行されたのは、2002年のことでした。
当時、日本の産婦人科医は誰でもピルの処方経験が乏しかったわけですが、
間壁医師もその1人だったでしょう。
オンライン外来の回答にも初々しさがにじんでいます。
たとえば、「膝から下がじんじんする」との質問に、
「このような副作用は聞いたことがありません。・・・努力されたらいかがでしょう」と回答しています(保存ページ)。
「ピルが飲めるように努力」せよ、には唸ってしまいます。
間壁医師が発起人代表となり、理事長となっていく経緯は謎であるように思われます。



ターギス株式会社


オーキッドクラブの事務局はターギス株式会社内に置かれました。
ターギス株式会社は、「医薬品、ヘルスケア用品のマーケティングやプロモーションの企画」等を行うグローバルな広告代理店です(参照)。
間壁発起人代表=理事長とターギス株式会社の関係は、次の2つの内のどちらかでしょう。
一つは、間壁医師の志に感銘を受け、
ターギス株式会社が間壁医師のために便宜を図ったという関係です。
オーキッドクラブのホームページは凝った作りで、
制作費だけでかなりの費用がかかるでしょう。
それもターギス株式会社が提供したとすると、
ターギス株式会社は希有な会社ということになります。
しかし、外資系企業のターギス株式会社がそのような便宜を図った可能性はほぼ皆無です。
もしそのようなことをすれば、ターギス株式会社の役員は背任罪で訴えられてしまいます。
普通に考えれば、間壁医師とターギス株式会社の関係はその逆です。
ターギス株式会社のプロモーション企画に間壁医師が協力したと考える方が合理的です。
外資系広告企業であるターギス株式会社は、英語でコミュニケーションの取れる間壁医師に話を持ちかけたのでしょう(間壁医師は在外経験のある医師)。
このように考えると、ピルと接点のなかった間壁医師が突然オーキットクラブのトップになった経緯が理解できます。

オーキッドクラブと製薬会社の不透明な関係


ターギス株式会社は、「医薬品、ヘルスケア用品のマーケティングやプロモーションの企画」等を行う広告代理店です。
ターギス株式会社の顧客は、主として製薬会社などの企業です。
製薬会社は広告代理店であるターギス株式会社に広告費を支払い、
ターギス株式会社はその資金で企業のためにプロモーション活動を行います。
ピルについては諸般の事情で資金提供製薬会社が伏せられた形のプロモーションがしばしば行われました。
その典型がオーキッドクラブにほかなりません。
製薬企業名が伏せられたプロモーションの場合、
広告代理店は複数の製薬企業から資金提供を受けることがあるようです。
製薬企業も広告代理店も資金提供元を秘密にするからです。
オーキッドクラブに資金提供していた会社の一つは、
あすか製薬(アンジュの発売会社)でした。
あすか製薬の『環境・社会報告書2009』には、
オーキットクラブが以下のように紹介されています。

「オーキッドクラブ」の支援
低用量ピルの普及と女性の健康を推進するために設立された団体です。ホームページ・メールマガジン・セミナー・講演会・アンケート調査・学会発表を通じた情報提供で、女性の健康支援に役立てられています。


http://www.aska-pharma.co.jp/pdf/company/csr_report09_all.pdf
 

また、あすか製薬の『環境・社会報告書2010』には、以下のように紹介されています。

オーキッドクラブは、「女性が充実した人生を送るためのサポートがしたい」と考える産婦人科医の集まりです。
OCに関するアンケート調査の実施と学会での発表、メンバードクターを対象とした資材作成などを通じて、医療関係者にOCの理解を深めてもらう活動を行っています。



http://www.aska-pharma.co.jp/pdf/company/csr_report10_all.pdf
 

あすか製薬の文書では、オーキッドクラブはあくまで産婦人科医有志の団体であり、
あすか製薬はその団体を支援する善意の第三者として説明されています。
なお、同上冊子では、オーキッドクラブの「理事長」真壁さよ子医師は、あすか製薬を「守護神」と褒めちぎっています。



白々しい茶番ではないでしょうか?


ユーザーを欺く「有志医師の集まり」というフィクション


オーキッドクラブの設立から2年後、オーキッドクラブ事務局編『なやめるからだ オンライン外来730日のカルテ』が刊行されます。
同書には以下の説明が付されていました。


オーキッドクラブ事務局編『なやめるからだ オンライン外来730日のカルテ』
「オーキッドクラブは、多様な現代に生きる女性の健やかでいきいきした生活をサポートするウィミンズヘルスケアの専門家の集まりです」

 

副会長ほかが設立に関与した性と健康を考える女性専門家の会は、いち早くオーキッドクラブを紹介しました。
その紹介文は以下の通りでした。

オーキッドクラブ (産婦人科医によるバーチャル診療室、回答者に当会会員が居ります。)

広告業界出身者の始めた低用量ピル普及推進委員会は、オーキッドクラブについて以下のように紹介しています。

「オーキッドクラブ」というのは女性の健康をサポートする専門家の集まりで、一般の人でも参加できる「オーキッド・エル」という部門もあります。
http://mixi-pill.com/archive.html
(保存ページ)


「日本家族計画協会やオーキッドクラブ、NAHWといった女性医療に特化した団体」http://www.mixi-pill.com/siryou.html(保存ページ)
 

オーキッドクラブについては、自他共に「産婦人科有志の団体」との紹介がなされています。
オーキッドクラブは自らについて、「オーキッドクラブは非営利の団体(N.P.O)です」と明記してきました。
仮にオーキッドクラブがターギス株式会社によるプロモーション活動だとすると、
オーキッドクラブは非営利の団体(NPO)などということは到底できません。
団体の存在自体がフィクションで、それをカモフラージュするための小道具が自称NPOだったり理事会ではなかったかと思われます。
そもそも、オーキットクラブのサイトでは、理事長も理事も「○○先生」として登場します。
理事長や理事は偉い方々なので自分のことを「先生」付けして名乗るのでしょうか。
違うでしょう。
ターギス株式会社の社員が運営しているので、
「先生」の尊称が付けられているのです。
端から見ても、オーキッドクラブが「有志医師の集まり」で非営利の団体(NPO)などとは思えません。
まして、メンバー的にも重なっていた性と健康を考える女性専門家の会の幹部は、
オーキッドクラブの実態を最もよく知ることのできる立場にありました。
オーキッドクラブの数億円に上る莫大な資金のおこぼれにあずかりながら、
知って知らぬ顔をしていたのではないでしょうか。
その資金も元をただせばユーザーが高いピル代として負担したものです。
ユーザーに高いピル代を負担させながら、
製薬会社・広告会社・一部の産婦人科医がその甘い汁を吸う構図は道徳的ではありません。
断っておきますが、私は医師が製薬会社の広告プロモーションに関与することを否定しているのではありません。
また、企業の広告宣伝活動を否定しているわけでもありません。
企業は広告宣伝活動を行うことは当然だし、
知見や労力を提供する医師がそれ相応の報酬を得ることも当然と考えます。
問題は、ユーザーを欺く広告手法は医師の倫理観を麻痺させ、
企業の意に迎合する「専門家」を生み出してしまうことです。


更年期女性にピル服用を強力に推奨


若いときからピルを服用している女性でも、35歳を過ぎれば血栓症リスクが高くなります。
40歳を過ぎた女性には相対禁忌とされているのがピルです。
年齢の高い女性に対して、リスクを伝えるのが医療者の本来の使命です。
ところが、リスクを伝えるどころか、メリットを強調し、
年齢の高い女性にピルを積極的に奨めてしまったのがオーキッドクラブです。
理事長のアドバイスをピックアップしてみました。

「ピルの基礎知識
ピルの副効用・・・中高年の女性では、更年期障害の症状が緩和されます。http://archive.is/sZkKd


服用前の不安>わたしも服用できますか?>避妊の必要がない時期もピルを服用したいです。40代なのですが・・・。
更年期症状が出てくる年齢層にとって、その有益性を体験したら手離せない薬でしょう。
・・・44歳ですから、もちろん副作用の少ない低用量ピルですよね。
http://archive.is/I0VQp

服用前の不安>わたしも服用できますか?>年齢と子宮筋腫があることから、ピルの継続を迷っています。
41歳という年齢を考えると、更年期障害もそろそろ出てくる頃ですね。
 低用量ピルをのむことでホルモンを安定させ、更年期を元気にいきいきと、

若さを保ちながら過ごすことができると思います。
 結局一石四鳥ですね。

http://archive.is/7O1T8

服用前の不安>わたしも服用できますか?>ピルを飲もうと思いますが、40歳なので心配です。
ぜひ低用量ピルを試しに飲んでみてください。
 副作用はほとんどの人にありません。
わずかな吐き気や少量の出血などが主なものです。
 妊娠するかもしれないと思うストレスがなくなれば、

不定愁訴のような症状もなくなる可能性があります。
http://archive.is/ErUL8



服用前の不安>わたしも服用できますか?>更年期の時期でもピルを飲みつづけてよいものか不安です。
喫煙者、乳癌既往がある方には使用できませんが、
適応を守れば40代の方での使用は問題ありません。
 更年期まではまだ少し時間がありそうですが、

更年期障害や更年期以降に発症しやすい疾患(骨粗鬆症、高脂血症など)の予防も含め、
女性ホルモンの補充をかねたピル服用、お勧めです。
http://archive.is/84L12

服用中>不正出血>ピルを飲み始めて10日目。まだ出血しています。
低用量ピルのバランスのとれたホルモン投与で、貴女の更年期障害も軽減すると思います。
 低用量ピルは更年期の治療としても使われています。
http://archive.is/PUQlU

 


更年期女性へのピル投与は問題ないとミスリード


年齢の高い女性にピルの服用を奨めるなど、医学常識を逸脱したトンデモです。
それを確信犯的に行ってきたのがオーキッドクラブです。
オーキッドクラブは一般女性に対する「啓発」と並んで、
医師に対する情報提供を行ってきました。
「OCに関するアンケート調査の実施と学会での発表、メンバードクターを対象とした資材作成などを通じて、医療関係者にOCの理解を深めてもらう活動を行っています。」
にわか「ピル推進派」の医師は、そんな大それた事は考えないでしょう。
オーキッドクラブが製薬会社のダミーだからそのような発想が出てくるのでしょう。
オーキッドクラブによる医師への情報提供の例を挙げてみます。
2013年5月、日本産科婦人科学会学術講演会でオーキッドクラブは、医師会員へのアンケート調査の結果を発表しました。

その時のパネルが以下です。

 
 「40歳以上にOCを処方する場合、40歳未満と比べてトラブルの発生頻度は異なりますか」
という設問に対する医師の回答を集計しています。
大部分の医師が「変わらない」と答え、「多い」と「少ない」が少数ずつあります。
40歳以上の女性にピルを処方しても特に問題ない、
と印象づけるかのような結果となっています。
オーキッドクラブの狙いはそこにあったのでしょう。
しかし、それはとんでもないことです。
吐き気や不正出血などのトラブルは、年齢による発生頻度に差がありません。
トラブルの頻度を聞くことは無意味です。
無意味な設問なので、回答した医師の中にはリスクの意味で回答する医師が出てきます。
具体例として血栓と答える医師も例外的に出てきます。
それをクローズアップすると、
リスクについての回答結果のように見えてしまうのです。
いかにも広告会社らしい情報操作が行われています。
それよりも、そもそも医師の意識を調査するアンケート自体が無意味です。
40歳以上が相対禁忌となっているのは、トラブルが多いからではありません。
40歳以上の女性に対してピルが相対禁忌となっているのは、
血栓症などのリスクが高いからです。
リスクが高いか低いかが問題なのであり、
医師の意識がどうかは関係ない話です。
事実を問題にせず意識だけを調べる調査はインチキではないかと思います。


性と健康を考える女性専門家の会会員の追従


オーキッドクラブに関して非常に残念なことがあります。
オーキットクラブは製薬会社のダミーサイトであり、
製薬会社に迎合する言説を流していると思えば、
その情報が鵜呑みにされることもないでしょう。
しかし、事もあろうに性と健康を考える女性専門家の会の主要会員まで、
オーキッドクラブ的言説に染まってしまっているようなのです。




※喫煙により動脈血栓のリスクは高くなります。


性と健康を考える女性専門家の会も、きわめてまっとうな理念を掲げる団体であったことは、
ブログで紹介しました。
ところが、この両団体は軌を一にしながらライフデザインドラッグとしてのピル路線にのめり込んでいきました。
そして、ピル史上最悪の副作用問題が日本で生じる事になりました。
そのことに両団体は責任があるのではないか、
と考えてきました。
ピルの副作用問題が報道されるようになって半年が過ぎました。
この間、性と健康を考える女性専門家の会は完全沈黙を守ってきました。
今になってやっと、反応が出されました。

 その勉強会の内容は、以下のようです。


[講義1]低用量ピルと血栓症
バイエル薬品 学術部(演者未定)


[講義2]低用量ピルを安全に使用するために ~臨床における血栓症リスク対策の実際~ 
性と健康を考える女性専門家の会 副会長、四季レディースクリニック 院長   江夏 亜希子

 
 https://twitter.com/pwcsh/status/452262750501085185
 


バイエル薬品はヤーズやトリキュラーを販売する日本最大のピル販売会社です。
副作用問題を引き起こしている会社から講師を呼んで勉強会を開催することに違和感を感じない、
それが今の性と健康を考える女性専門家の会なのでしょうか。
 

2014年3月6日木曜日

35歳からのピル(「プレ更年期」のピル療法について)

ピルについてのWHOガイドラインでは、
喫煙や血圧などの条件がクリアされれば35歳以上でもピルの服用ができることになっています。
日本のガイドラインも同様です。
35歳以上でもピルの服用ができます。
もう一度書きます。
35歳以上でもピルの服用ができます。
なぜ繰り返し書いたのかというと、
この日本語がわからない人がいるからです。
「35歳以上でもピルの服用ができる」は、
35歳以上の年齢でピルの服用が好ましいという意味ではありません。
「20歳を過ぎれば喫煙することができる」は、
20歳を過ぎたら喫煙することが好ましいを意味しません。
当たり前ですね。
ところが「35歳以上でもピルの服用ができる」を逆手にとって、
35歳を過ぎたらピルを服用しようとする言説が蔓延っているのです。
とんでもないことです。

35歳以上のピルが否定されない理由


35歳を過ぎると血栓症リスクが加速度的に上昇します。
それでも、「35歳以上でもピルの服用ができる」としているのです。
なぜでしょう?
35歳以上でのピル服用について英語で書かれたサイトを10個探して読んでみて下さい。
一つの例外もなく、閉経までは妊娠リスクがあるので避妊が重要と強調し、
その文脈で「35歳以上でもピルの服用ができる」と書かれているはずです。
100のサイト、1000のサイトを探しても、一つの例外もないはずです。
海外ではピルは避妊薬ですから、
当然避妊に関して書かれるのです。
その背景には、妊娠のリスク、妊娠に伴う血栓症リスクの上昇に較べると、
ピルによる血栓症リスクは小さいとの認識があります。

35歳以上のピル服用リスクについて説明すること


避妊はきわめて個人的なことです。
お寿司にするかカレーにするかが個人的なことであるのと同様に、
避妊法の選択は個人的なことです。
だから「あなたはカレーにしなさい」など、
誰も指示しません。
避妊法についても同じで、
「あなたは○○にしなさい」など誰も指示しません。
医療者も指示しません。
指示はしませんが、必要な情報を伝えるのは医療者の使命です。
「35歳以上でもピルの服用ができる」は、
ピルを推奨するわけではなく、
リスクを説明した上で選択肢として提示するという意味です。
ピルが避妊薬である時、医療者は副作用のリスクについての情報をきちんと説明します。

35歳以上ではピルによる避妊が半減


下の図はフランス人の避妊法についての調査です。


詳しくは脱ピルと卒ピル参照

34歳まではピルによる避妊が過半数を超えています。
(ピルのみとピル+コンドームの合計)
しかし、35歳以上の年齢層では年を重ねる毎に減少し、
45-49歳では半減しています。
35歳以上のピルによる避妊には、
ミニピルも含まれています。
リスクの説明がきちんとなされているから、
ピルによる避妊が回避されているのです。

ライフデザインドラッグとしてのピル


日本では2004年にライフデザインドラッグ政策が採用され、
以来脱避妊薬路線が推進されました。
ライフデザインドラッグとしてのピルは、
2つの特徴を持っていました。
1つは年齢横断性です。
ライフデザインドラッグ路線では、
思春期から閉経期までの全年齢の女性に対してピルは役立つとします。
年齢によるリスクを考慮すれば、
ライフデザインドラッグとしてのピルは成り立ちませんから、
年齢リスクが警告されることはありませんでした。
2つは非選択性です。
ピルが避妊薬であるとき、ピルの選択は個人の選択に委ねられます。
避妊の切実度は個人によって違いますし、
性交渉の頻度も個人によって違います。
上の図を見るとピルは20-24歳の年齢階層がピークで、
その後は下降していきます。
避妊法が選択されるものであるとき、
ピルを選択する年齢層が異なってくるのです。
ところが、ライフデザインドラッグでは、
ピルはそれぞれの年齢層で有用な薬と位置づけられます。
個人的な選択の薬ではなくなります。
「いつでもピル、みんなのピル」が、
ライフデザインドラッグのピルです。

「プレ更年期」言説に見るピル


ライフデザインドラッグのピルが、年齢横断性・非選択性という2つの特徴を持つと書きました。
ライフデザインドラッグ路線の特徴を端的に示しているのが、
「プレ更年期」言説です。
対馬ルリ子医師は「プレ更年期」にピルを活用することを唱道した医師です。
その考えは、こちらに端的に示されています。
「プレ更年期」は、35歳から45歳とされます。
そして、この年齢期にピルを積極的に服用することが推奨されています。
本来はリスクを警告すべき年齢の女性に、
逆にピルの服用が推奨されているのです。
「プレ更年期」のピルは更年期の不調に備える、
という位置づけがなされています。
まさに、「いつでもピル、みんなのピル」なのです。
ピルがこのように位置づけられると、
リスクを上回るメリットがあるかどうかという指標は意味を持ちません。
ピルの副作用は都市伝説と一蹴することによってしか、
ライフデザインドラッグ路線のピルは成り立たないのです。
もっとも有力な産婦人科医の一人が唱道した「プレ更年期」にピルの言説は、
広く流布することになりました。
オールアバウトにも同趣旨の記事が見られます。


ピルユーザーの過半数は30歳以上


ピルが切実な避妊要求に応える避妊薬であるとき、
ピルユーザーのピークは20歳代(前半)となります。
避妊薬としてのピルはそのような薬なのです。
20歳代(前半)までの女性には未婚の女性も多くいます。
日本では長い間ピルが認可されませんでした。
その背景には「ふしだら少女に避妊手段を与えてしまう」、
とするおじさま方の心配がありました。
ピルが認可されてから後も、
若者がピルにアクセスしにくくする障壁を作りました。
その延長線上にあるのが、
ピルを避妊薬でなくしてしまうという脱避妊薬路線です。
避妊薬であるよりライフデザインドラッグであるピルは、
当然のことながら年齢の高い女性の間に普及しました。
当ブログのアンケートによれば、
ピルユーザーの年齢分布は以下の通りです(2014.3.5現在)。
10歳代28人4.29%、
20歳代233人35.68%、
30歳代250人36.28%、
40歳代140人21.44%
30歳以上が57.7%を占めています。
「プレ更年期にピル」は現実を動かす言説になってきました。

30歳オーバーのピルデビュー


WHOのガイドラインが「35歳以上でもピルの服用ができる」としていること、
そして実際に各国には35歳を超えたピルユーザーがいることを書きました。
そうです、確かにどの国にも一定数の35歳を超えたピルユーザーがいます。
ただ、それは日本の35歳を超えたピルユーザーとはわけが違います。
日本以外の国では、ピルは若者を中心に利用されている避妊薬です。
35歳になると、ピルをこのまま続けるか検討するのです。
そして、ピルを止めるユーザーもいますし、ピルを続けるユーザーもいます。
「35歳以上でもピルの服用ができる」は、ニュアンスとしては35歳を超えてもピルを【継続】できるに限りなく近いものです。
これを言い換えると、35歳を過ぎてピルデビューするユーザーなど、
ほぼ皆無です。
「35歳以上でもピルの服用ができる」は、
5年、10年、15年とピルを使用してきたユーザーについて言っているものです。
若いときからピルユーザーであり続けた女性は、
血栓症になりやすい体質でないことが証明済みです。
また、ピルの血栓症はピルを飲み始めた最初の1年に集中する傾向があります。
数年間服用を続けているユーザーでは、リスクは低くなります。
このようなユーザーを前提に「35歳以上でもピルの服用ができる」とされているのです。
このような事情を考慮せずに、
WHOのガイドラインが「35歳以上でもピルの服用ができる」としているから、
35歳を過ぎてピルデビューしてもかまわないとするのは乱暴すぎます。


斬新な【実験】


「プレ更年期にピル」は斬新なアイデアを実証する【実験】であったと考えられます。
1つ目の【実験】は、35歳を過ぎたピルデビューで血栓症発現率はどのようになるかの【実験】です。
とてつもなく高い発現率になるのではないかとの想像はできても、
実際に【実験】が行われたことはありません。
この【実験】はすでに結論が出ていますので、中止してもよいのではないかと思います。
600人に1人が血栓症に--40歳以上のピル服用について試算などを参照のこと。

2つ目の【実験】は、「プレ更年期」のピル服用が更年期に与える影響の【実験】です。
「プレ更年期」のピル服用が、更年期に好影響を与えるとの仮説が述べられています。
「プレ更年期のうちからホルモンケアをしていると、次に続く更年期も上手に乗り切ることができます」
これはあくまで仮説であって、何らのエビデンスもありませんでした。
あるいは私が知らないだけなのかもしれませんが、
少なくともメジャーな雑誌にはそのような知見は報告されていません。
きっと世界から注目される論文になるでしょう。
※なお、ヘルシンキ宣言を逸脱する研究はどのように優れた研究であっても、
受理されることはありません。

35歳超でもピルが選択できる国


私はピルの副作用被害をなくすための10の提言で、
「35歳以上の女性に対する混合ピルの新規処方を停止する」ことを提唱しました。
実はこの提言は私の主義に反しています。
この提言では処方するかしないかを医師が決定することになっており、
医師が処方しないと決めれば女性の選択権が失われます。
かなり悩みましたがこの1項目を入れることにしました。
現実に生じている副作用をストップする緊急的措置が必要と考えたのが、
大きな理由です。
もう一つ理由があります。
欧米では35歳を過ぎても混合ピルを服用し続ける女性がいます。
そして、その中のかなりの女性が治療目的を兼ねたユーザーです。
そのような女性の一人が話してくれたことがあります。
「このピルを飲み始めたのは19の時だったわ。
かれこれ20年同じピルを飲み続けてるの。
だから、20年間私の身体のホルモンは同じって事よね?
これから10年飲み続けるつもりだけど、
ホルモン状態は19の時と変わらないわ。
ドクターはリスクが高くなるって言うけど、
私について当てはまらないでしょ?」
彼女は自信たっぷりに話しましたが、
実はやはりリスクは高くなります。
しかし、彼女の場合確かにメリットを上回るリスクがあるとは言えません。
ピルが若者の避妊薬として普及している国では、
ピルと長くつきあうことも可能になります。
35歳を過ぎても安全にピルが使える国にするには、
35歳以上の新規処方を停止する方が近道ではないかと考えました。


誰もがいつでも安心して利用できるピルに


ピルが避妊薬であるとき、ピルは女性が選択する薬です。
ピルが治療薬であるとき、ピルは医師が奨める薬です。
ピルが女性の選択する薬であるとき、医師はリスクを丁寧に説明します。
ピルが医師の推奨する薬であるとき、医師はリスクを説明しないか過少に説明します。
1970年を境に、世界のピルは医師がリスクを説明し、
女性が選択する薬に大きく変わりました。
日本のピルは、依然として1970年以前のピルなのです。
発足当初の性と健康を考える女性専門家の会にとってピルは避妊薬でした。
ピルが避妊薬であるとき、性と健康を考える女性専門家の会の理念はすばらしいものでした。
「性と健康を考える女性専門家の会」の理念を賞賛する 参照
興味深いことにライフデザインドラッグ路線にどっぷり関与してきたのは、
同会メンバーです。
対馬ルリ子医師も同会の有力メンバーです。
「プレ更年期にピル」の言説と同会の理念は齟齬しないのか?
同会にはこの点をしっかり考えてほしい気持ちです。
同会のためにも、日本の医療のためにも、そして何よりも日本の女性のために。

2014年2月26日水曜日

トリキュラー・アンジュによる血栓症等の副作用発現状況

昨秋からピルの副作用による死者 の報道がなされています。
私は報道よりも事態ははるかに深刻と考えています。
現状を変えていかなければ副作用に苦しむ、あるいは命を落とすピルユーザーが生み出され続けます。
ピルが女性を苦しめる薬であるとき、女性がピルを拒否するようになるのは当然の成り行きです。
そうならないように、ピルの副作用被害をなくすための10の提言 をまとめました。
ところが、深刻な事態を招いた当の産婦人科医の中には、
この副作用問題の本質が見えてない医師がいるようです。
報道ではヤーズの副作用が報じられましたが、
問題はヤーズに固有の問題ではありません。
ピルの副作用問題の本質を血栓症リスクが最も低い第2世代ピルに即してみてみましょう。
第2世代の低用量ピルには、現在トリキュラー・アンジュ・ラベルフィーユの3ブランドがあります。
現時点で公表されている第2世代低用量ピルによる副作用報告は以下の通りです。

報告
年/期
ブランド 副作用 年齢 転帰
13/2 アンジュ 脳梗塞 40
13/2 トリキュラー 血栓 30
13/2 トリキュラー 脳梗塞 20
13/2 アンジュ 肺閉塞 30
13/1 アンジュ 肺閉塞 40
13/1 ラベルフィーユ 大脳静
脈血栓
40
13/1 トリキュラー 静脈血栓 40
12/2 トリキュラー 肺閉塞 30
12/2 トリキュラー 肺閉塞 30
12/2 トリキュラー 肺閉塞 40
12/4 アンジュ 門脈血栓 40
12/4 アンジュ 静脈血栓 30
12/4 アンジュ 大脳静
脈血栓
40
12/3 アンジュ 静脈洞
血栓
40
12/3 トリキュラー 血栓性
静脈炎
40
12/3 アンジュ 肺閉塞 20
12/3 アンジュ 脳梗塞 50
12/3 トリキュラー 静脈血栓 40
12/1 トリキュラー 静脈血栓 40
12/1 アンジュ 肺閉塞 20
12/1 アンジュ 静脈洞
血栓
40
12/1 トリキュラー 静脈血栓 30
11/2 アンジュ 肺血栓 40
11/2 トリキュラー 静脈血栓 40
11/2 アンジュ 脳梗塞 40
11/4 アンジュ 肝静脈
血栓
40
11/3 アンジュ 大脳静脈
血栓
40
11/1 トリキュラー 静脈洞
血栓
40
11/1 アンジュ 播種性
血管内凝固
20
10/4 アンジュ 肺血栓 30
10/4 アンジュ 急性冠動脈
症候群
40
10/4 アンジュ 静脈血栓 30
10/3 アンジュ 静脈血栓 40
10/3 トライディオール 肺血栓 30
10/3 トリキュラー 脳出血 20
10/3 トリキュラー 腎梗塞 20
10/3 トリキュラー 頭蓋内圧
亢進
40
10/3 アンジュ 肺閉塞 30
10/1 トライディオール 頭蓋内圧
上昇
10
10/1 トリキュラー 血管炎 40
10/1 トライティオール 静脈血栓 30
09/2 トライディオール 心筋梗塞 30
09/2 アンジュ 脳梗塞 30
09/2 アンジュ 心筋梗塞 30
09/4 トライディオール 静脈血栓 40
09/4 トライディオール 静脈血栓 20
09/4 アンジュ 静脈血栓 40
09/4 アンジュ 静脈血栓 20
09/4 アンジュ 静脈血栓 40
09/4 アンジュ 脳梗塞 30
09/1 トリキュラー 脳梗塞 20
09/1 アンジュ 静脈洞血栓50
09/1 トリキュラー 静脈洞血栓 40
08/4 トリキュラー 静脈血栓 40
08/4 トリキュラー 脳梗塞 30
08/4 トライディオール 肺閉塞 40
08/4 トリキュラー 脳梗塞 50 死亡
肺閉塞
08/4 アンジュ 肺閉塞 40
08/3 トライディオール 肺閉塞 不明
08/3 トリキュラー 脳梗塞 40
08/3 アンジュ 肺閉塞 20 死亡
08/3 アンジュ 肺閉塞 40
08/3 アンジュ 静脈洞
血栓症
40
08/3 トリキュラー 脳梗塞 30
08/3 トリキュラー 肺閉塞 30
08/3 アンジュ 心筋梗塞 30
08/1 トリキュラー 血栓症 不明
08/1 トリキュラー 高血圧性
脳症
20
08/1 トリキュラー ラクナ梗塞 30
07/2 トリキュラー 血栓症 30
07/2 トリキュラー 脳血栓症 30
07/4 トリキュラー 静脈血栓 30
07/4 トリキュラー 肺高血圧症 40
07/1 トリキュラー 脳血栓症 30
07/1 トリキュラー 脳梗塞 30
07/1 トリキュラー ラクナ梗塞 40
06/2 アンジュ 頸動脈閉塞 30
トライディオール
06/2 アンジュ 脳静脈洞
血栓
50
トライディオール
06/2 トリキュラー 静脈血栓症 50
06/2 トリキュラー 肺閉塞 20
06/4 アンジュ 静脈血栓 10
06/4 トリキュラー 肺血栓 40
06/4 トリキュラー 肺血栓 30
06/3 トライディオール 脳梗塞 40
06/3 トリキュラー 静脈血栓 40
06/3 トライディオール 静脈血栓 30
06/3 アンジュ 静脈洞血栓 30
トライディオール
05/2 アンジュ 血栓 30
05/4 トリキュラー 肺閉塞 40
05/3 アンジュ 静脈血栓 30
05/3 アンジュ 肺血栓 30
05/1 アンジュ 肺塞栓 20
トライディオール
04/2 アンジュ 肺塞栓 30
04/4 トリキュラー 脳梗塞 40
04/4 リビアン 脳梗塞 30
04/4 アンジュ 肺閉塞30

(1)報告された副作用は氷山の一角

上の表でトリキュラーとアンジュの件数を数えてみると、
トリキュラー41件、アンジュ43件となります。
トリキュラーのシェアは24%程度でシェア1位です。
アンジュのシェアはトリキュラーのちょうど半分で12%程度です。
トリキュラーとアンジュは同一成分別ブランドのピルですから、
副作用の出現率に差は出ないはずです。
両ブランドの副作用が同じように報告されたならば、
トリキュラーの副作用報告はアンジュの2倍となるはずなのに、
実際はアンジュとほぼ同じです(注1)。

これはトリキュラーに副作用の報告漏れが多く、
実際は報告の少なくとも2倍以上の副作用が生じていることを示唆しています。
アンジュにも報告漏れがあるはずで(注2)、
現在明らかになっている副作用は氷山の一角と考えられます。

(注1)トリキュラーで実際に発生している副作用が各年度でアンジュの2倍とすると、
トリキュラーの実際の副作用発生件数は報告数の3倍以上になる。
(注2)アンジュの売上げは増加傾向にあるが、副作用報告件数は必ずしも増加傾向を示していない。


(2)喫煙とのリンクが薄い静脈血栓が大半

次に報告された副作用の症例を見て見ましょう。
青く色づけしているのが静脈血栓です。
脳梗塞など動脈疾患の2倍以上、約7割が静脈血栓であることがわかります。
静脈血栓は喫煙とほとんどリンクしません。
喫煙で静脈血栓リスクが多少高くなるという報告もありますが、
静脈血栓と喫煙の関係はそれほど強くありません。
日本のピルユーザーで静脈血栓を発症した女性を調べても、
喫煙者はわずかとなるはずです。
まともな医師なら、喫煙で静脈血栓のリスクが高くなるなど強調しません。
喫煙で静脈血栓のリスクが高くなると言い張っているのは、
ほとんど産婦人科医だけです。
なぜ産婦人科医だけが喫煙と静脈血栓のリスクを結びつけるのでしょう。
喫煙リスクを強調する産婦人科医が加齢によるリスクを指摘しているか見てみるとよいでしょう。
喫煙よりはるかに大きなリスクである加齢について口をつぐんでいるのがわかるでしょう。

(3)副作用は30歳以上に集中--ライフデザインドラッグ路線による人為薬害

表の年齢を見て下さい。
40歳以上が44例、30歳代が35例です。
80%以上が30歳以上の女性です。
年齢の高い女性に対してピルは慎重投与することになっています。
慎重に投与するどころか安易に処方した結果が、
副作用被害の山となっているのです。
ピルについての考えを根本的に変えなければ、
ピルは日本の女性の支持を失うでしょう。

(4)現実から目をそらさないで

心ある産婦人科医は現実を真摯に受け止め始めています。
ピルの副作用被害をなくすための10の提言 を支持し、
あるいは関心を持つ産婦人科医が現れ始めています。

カルトNPOに共感し、お花畑思考に浸っていてよいときではありません。

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海外での治療目的ピル利用
ルナベル・ヤーズの錬金術
ヤーズの血栓症死亡例について思う事
「ピルは血栓症予防薬」という意外な観点
(アンケート)ピルユーザーに血栓症の初期症状情報は知らせされているか?
血栓症初期症状を説明している医師は21%

2014年2月21日金曜日

ピルの副作用被害をなくすための10の提言

提言の背景


2004年に始まるライフデザインドラッグとしてのピル政策の下、
産婦人科医による安易なピルの処方が横行しています。
その結果、重篤な副作用が続発しています。
40歳代のヤーズユーザーについて試算すると、
1年間に血栓症を発症する確率は10万人当たり162人となっています。
ヤーズだけでなく他のピルについても事情は似ています。
このような事実が明るみに出る日が来るでしょう。
約600人中1人に血栓症の副作用が出るような薬が、
使用され続けることはあり得ません。
ライフデザインドラッグ政策は日本をピル不毛の国にしてしまいます。
日本のピルが滅亡してしまうのを避けるためには、
ピルを本来の安全な薬に戻していく必要があります。
ピルが安全な薬であることを示すためには、
ピルによる血栓症発現率・死亡率を極限まで低下させることが重要と考えます。
ピルユーザー数が現在と同じなら、
発症率・死亡率を現在の1/40に抑えることは可能です。

※上記記述中に数値の誤りがありましたので訂正しました(2014.3.1)
参照 ピルによる血栓症発現率の現状を推測する


1.35歳以上の女性についてはミニピル(黄体ホルモン単味剤)を第一選択肢とする


35歳を超えると血栓症発症率が加速度的に上昇します。
混合ピルの服用経験のない30歳以上の女性に混合ピルを安易に処方するなど、信じられない安易な処方が横行しています。
まずこの点を是正します。
①35歳以上の女性に対する混合ピルの新規処方を停止する
黄体ホルモン単味剤(ミニピルなど)は、血栓症リスクにリンクしません。
ミレーナ・ティナゲスト・ノアルテンを第一選択肢とします。
②35歳以上で現在混合ピルを服用中の女性については、黄体ホルモン単味剤への切り換えを検討します。
【解説】
ノアルテン錠(5mg)は諸外国においては避妊薬としても使用されている黄体ホルモン単味剤(ミニピル)であり、避妊薬として、あるいは避妊効果を期待できる治療薬として利用されています。
日本でノアルテンの薬価はルナベル・ヤーズの1/7であり、
治療目的ユーザーの負担軽減にも役立ちます。
避妊目的で利用する場合は自由診療になりますが、
負担が増えることはないでしょう。
ノアルテンを黄体ホルモン単味剤(ミニピル)として服用する場合の服用法は、
「ピルとのつきあい方」が概略を書いていますが、
さらに詳しい情報提供を考えています。


2.初めて服用するユーザーはトリキュラー・アンジュ・ラベルフィーユを第一選択肢とする


血栓症は服用初期数ヶ月にもっともリスクが高くなります。
この時期の血栓症発現率を抑制するのに効果的な製剤は、低用量(超低用量でない)・第2世代・1相性ピルです(イギリスのガイドラインはずっとこの指定を行っている)。
日本には、低用量・第2世代・1相性ピルはありません。
この条件に最も近いのは、トリキュラー・アンジュ・ラベルフィーユなので、これを第一選択肢とします。

3.デイワンスタートを徹底する


ピルユーザーの血栓症副作用が服用初期に多くなる理由の一つは、内因性エストロゲンの量と関係すると考えられています。
卵胞が成長を始めエストロゲンが分泌されている状態でピルの服用を開始すると、ピルのエストロゲンが付加されて高エストロゲン状態になります。
月経初日に服用を始めることで、内因性エストロゲンを抑制できます。
【解説】イギリスのガイドラインがピルを初めて服用する女性に超低用量ピルを処方しないとしているのも、同じ理由です。
「ピルとのつきあい方」初編はトリキュラー等について、月経初日の服用開始を推奨しました。
逆にクイックスタートはメリットがほとんどない上に、血栓症リスクを高めるおそれがあります。
月経初日の服用開始を徹底すべきです。
参照 クイックスタートの流行に思う

4.処方前の自己免疫検査


年齢が若いにもかかわらず服用開始後の早い時期に血栓症を発症する女性の中には、抗リン脂質抗体を持つ女性が含まれている可能性があります。
添付文書は「抗リン脂質抗体症候群の患者」を絶対禁忌に指定しているのですが、何の検査もなされていないのが実情です。
少なくとも、初めてピルを処方する際には抗リン脂質抗体の検査を行うようにします。
参照 緊急提言/ピルユーザーは抗リン脂質抗体検査を受けよう

5.1シート目のDダイマー検査


血栓が疑われる症状がないのに定期検査毎にDダイマー検査を行うのは、ほとんど意味がありません。
Dダイマー検査が意味を持つのは、1シート目服用中の検査です。
ピルの服用を開始すると、しばしばDダイマー値が上昇します。
(前向き疫学調査では後ろ向き調査と較べて「血栓症発現」率は10倍にもなる)
自覚症状のない段階で血栓症リスクを把握するには、1シート目服用中のDダイマー検査が有効です。

6.中断再開繰り返し服用を止める


ピルは服用初期に血栓症リスクが高くなります。
これはピルを初めて服用するときだけでなく、
ピルの服用を中断し再開する際にも同じく血栓症リスクは高くなります。
日本では、中断再開を繰り返すユーザーが多数います。
ピルが避妊薬でないとき、継続的服用が難しいのです。
中断再開を繰り返すユーザーには、
ミニピルを第一選択肢とします。
中断再開繰り返しユーザーが多いのは、
ピルの価格も関係しています。
イギリスではピル1シートの値段は缶ジュースほどです。
将来的にはピルの値段を下げていくことも課題です。
参照 「ピルの値段が高ければ高いほど血栓症発現率が高くなる」ってホント?

7.飲み忘れ対応を改訂する


避妊ピルについて日本の添付文書や服用者向け情報提供資料(パンフレット)は、2日飲み忘れたら服用を中止するよう求めています。
この服用法は妊娠リスクを低減する効果が全くありません。
それだけでなく、結果的に中断再開を繰り返すことになりますので、
血栓症リスクを上げてしまいます。
血栓症リスクを高めないという点で、ルナベル・ヤーズの飲み忘れ対応の方が妥当です。
最悪の飲み忘れ対応は、即時改訂する必要があります。
参照 産婦人科医の犯罪的怠慢

8.血栓症等の前兆症状を周知する


血栓症は前兆症状、初期症状で即座の対応すれば、大事に至ることは稀です。
ピルユーザーの血栓症の多くを占める深部静脈血栓症は、
前兆症状で服用を中止すれば閉塞を起こすことなく解消します。
後遺症もなく、まして死亡することもなく、事なきを得ることが出来るのです。
ヤーズに採用された服用者携帯カードを全てのピルに拡大するなど、
ユーザーに血栓症等の前兆症状を周知する必要があります。
参照 ピルユーザーのための血栓症情報
          (アンケート)ピルユーザーに血栓症の初期症状情報は知らせされているか?
        血栓症初期症状を説明している医師は21%

9.血栓症等の前兆症状で機敏な受診行動を促進する


血栓症等の前兆症状を知っていても、必ずしも機敏な受診行動が取れるわけではありません。
機敏な受診行動の阻害要因を取り除いていく必要があります。
同時に自立的ピルユーザーを育てていくことが課題です。
参照 ピルユーザーのための血栓症情報後半部分

10.客観的なピル情報


ピルは安全な薬であるとともに、ピルは危険な薬でもあります。
扱い方一つで安全な薬にも危険な薬にもなります。
15年前から、「ピルとのつきあい方」にはピルを安全な薬にする情報を詰め込んできました。
上の9項目は今思いついたことではありません。
ほとんどのピルユーザーが「ピルとのつきあい方」を読んで下さっていた時代(2004年以前)、
日本の血栓症発現率は問題にならないレベルでした。
2004年からライフデザインドラッグ路線が取られ、
ピルを安全な薬にする「ピルとのつきあい方」の情報は疎んじられるようになりました。
ライフデザインドラッグ路線下の日本で、世界のピル史上最悪の副作用被害が生じているのはある意味当然のことです。
信頼できる情報は製薬メーカーの情報といいながら、
「ピルとのつきあい方」の情報を信頼できないと排除してきたNPOがあります。
「ピルとのつきあい方」と件のNPOでは上記9項目に対する考え方がまるで正反対です。
製薬メーカーの受け売り情報よりも、ユーザーの安全を守る情報が重要です。

発症率・死亡率を現在の1/40に抑えることは可能です。
現在の副作用多発事態を放置すれば日本のピルは滅亡するでしょう。
それを避けるためには副作用被害を最小限に押さえ込むしかありません。







関連記事
ピルユーザーのための血栓症情報
「ピルの値段が高ければ高いほど血栓症発現率が高くなる」ってホント?
日本産科婦人科学会見解(平成25年12月27日)について所感
600人に1人が血栓症に--40歳以上のピル服用について試算
ピルによる血栓症発現率の現状を推測する
ルナベルでも死者 重篤副作用は40歳代に集中、人為薬害の様相
トリキュラー・アンジュによる血栓症等の副作用発現状況
海外での治療目的ピル利用
ルナベル・ヤーズの錬金術
ヤーズの血栓症死亡例について思う事
「ピルは血栓症予防薬」という意外な観点
(アンケート)ピルユーザーに血栓症の初期症状情報は知らせされているか?
血栓症初期症状を説明している医師は21%

2014年2月17日月曜日

ピルユーザーのための血栓症情報

ピルユーザーの重篤な副作用は血栓症です。
血栓症の前兆について理解を深めて頂くために、
簡単な解説をしておきます。

ピルユーザーが緊急に受信すべき症状A-C-H-E-Sは以下の通りです。
A:abdominal pain(severe) 激しい腹痛。
C:chest pain(severe)息を吸う時により痛い鋭い胸の痛み。息切れ。吐血。
H:headache(severe)普段より激しい頭痛・片頭痛。失神・卒倒。
E: eye problems/speech problems 突然の舌のもつれや視力障害(特に片目のかすみ)。
S: severe leg pain 足や手の脱力・無感覚または針で刺すような痛み。

(緊急に受診が必要な症状一覧参照)

1.静脈血栓と動脈血栓


血栓症とは血液中の血塊が血管を塞ぐ症状です。
血栓症は血栓の発生する場所によって、静脈血栓と動脈血栓に分けられます。
静脈血栓と動脈血栓の違いは血栓ができる場所の違いで、
閉塞が生じる血管の違いではありません。

2.静脈血栓と肺閉塞


静脈血栓は静脈にできる血栓は赤い色をしています。
静脈血栓ができ易い場所は主として2カ所です。
1か所は足の中心を通っている太い静脈です。
深いところにあるので深部静脈血栓症と言います。
足の静脈は血液が逆流しないように弁を持つ構造になっています。
そのため血液が滞留し血栓が生じやすいと考えられています。
静脈で出来た血液の塊がはがれ落ちると血流によって心臓に運ばれ、
心臓から肺に送られます。
肺の動脈はツリー状に枝分かれしています。
小さな血塊は肺動脈末端に近い動脈を塞ぎ、
大きな血栓は心臓に近い太い動脈を塞ぎます。
肺閉塞が生じたときの症状が以下です。

C:chest pain(severe)息を吸う時により痛い鋭い胸の痛み。息切れ。吐血。

見落としやすい症状は息切れです。
しばしば痛みなどの症状に先行して息切れの症状が現れます。
ところが、息切れの症状が肺閉塞の症状だと知らなければ見逃されてしまいがちです。
この点には特に注意するようにします。

 

3.深部静脈血栓と静脈炎


足の深部にある静脈で血栓ができると弁の働きが悪くなり、
血液が静脈に滞留します。
そのため腫れや浮腫が生じることがあります。
また、しばしば静脈炎を併発します。
そのために生じる症状が以下です。

S: severe leg pain 足や手の脱力・無感覚または針で刺すような痛み。

足に異変を感じたら必ず受診するようにします。
特に次のような症状の出方に注意します。
深部静脈血栓が両足同時に生じることは稀です(ないわけではないので誤解のないように)。
まず片足、特に左足に症状が現れることが多い傾向です。
これが筋肉痛などと違う点なので、症状が先に片足だけに現れた場合は特に注意するようにします。
鼓動にあわせて痛みが生じるのも、深部静脈血栓の特徴です(圧痛だけとか持続的痛みの場合もあるので誤解のないように)。

4.深部静脈血栓の予防


静脈血栓は血液の凝固能が高まることで生じます。
特種な素因を持っている場合を除き予め予測することは出来ませんし、
血塊は短い時間でも形成されます。
ロングフライト(エコノミークラス)症候群は静脈血栓ですが、
飛行機に乗っている短時間の間に血栓が形成されます。
静脈血栓に関して禁煙は予防効果がほとんどありません。
足の静脈の血流が滞らないようにすることは予防になります。
適度な運動や弾性ストッキングは静脈の血流が滞るのを防ぐ効果があります。

5.脳静脈洞血栓症


もう一つの静脈血栓は脳内にできます。
脳内の細い静脈から送られてきた静脈血が集まる場所が脳静脈洞です。
脳静脈洞血栓症は頻度の低い血栓症ですが、
ピルユーザーの血栓には比較的多いので注意が必要です。
脳静脈洞に血栓ができると多くの場合頭痛の症状が現れます。
自覚症状から脳静脈洞血栓症を疑うことは難しいので、
動脈血栓とあわせて頭痛の症状に気をつけるようにします。

H:headache(severe)普段より激しい頭痛・片頭痛。失神・卒倒。

なお、脳静脈洞血栓症の頭痛は昨日より今日と短期間に痛みがよりひどくなるのが特徴です。

 

6.網膜静脈閉塞症


目の網膜には細い動脈・静脈が絡み合って走っています。
その静脈が詰まるのが網膜静脈閉塞症です。
静脈が詰まれば血栓ができることもありますが、
網膜静脈閉塞症は運ばれてきた血塊が詰まるわけではないので、
血栓症とは言えません。
ここでは便宜上血栓症の一種として説明します。
網膜静脈閉塞症で網膜が閉塞する原因は動脈にあります。
交差する動脈が硬化し、その影響で静脈が塞がれてしまうのが網膜静脈閉塞症です。
高血圧や糖尿病があると、網膜静脈閉塞症のリスクは高くなります。
ピルユーザーには以下のように呼びかけられています。

E: eye problems/speech problems 突然の舌のもつれや視力障害(特に片目のかすみ)。

舌のもつれと視力障害を並べて書いていますが、
網膜静脈閉塞症に関して前者は関係ありません。
A-C-H-E-Sの頭文字に納めようとしたために同一項目になっているだけです。
網膜静脈閉塞症は偶然両目同時に起きることがないとは言えませんが、
普通は片目の症状として現れます。
網膜静脈閉塞症は血栓の病気ではありませんので受診するのは眼科になります。

7.動脈血栓とは


全身から心臓に戻ってきた血液は肺に送られます。
心臓に戻ってきた静脈血に血塊が含まれていると肺で梗塞を引き起こしますので、
肺から心臓に戻ってきた血液に血塊が含まれることはありません。
肺から心臓に戻ってきた血液は全身に送られます。
動脈血栓の多くは心臓に近い太い動脈で作られます。
動脈壁から剥離した血塊が細い動脈を塞ぐのが動脈血栓です。
動脈血栓は白い色をしています。
動脈血栓のリスクは、血管の状態と強く関係しています。
喫煙・肥満・高血圧・加齢は血管状態の不良と関係します。
動脈血栓についてはリスクの程度をあらかじめある程度評価できます。
動脈血栓閉塞は肺以外のあらゆる臓器で生じ得ます。

8.脳梗塞・(脳出血)


日本人では、動脈血塊が最も多く閉塞を起こすのは脳の血管です。
脳の血管が詰まると酸素が供給されませんからその部位の脳の活動に障害が生じ、
あるいは脳の血管から出血します(脳出血については下記13参照)。
脳梗塞には前兆がないのが普通です。
ただ、時に一過性の脳梗塞の症状が起きることがあります。
その一つが、舌のもつれや視力障害です。

E: eye problems/speech problems 突然の舌のもつれや視力障害(特に片目のかすみ)。

言葉が話しにくい状態になっても一時的で元に戻ることも少なくありません。
同様にも軽い半身のしびれや動作の違和感(麻痺)が一時的に現れることがあります。
血栓による視力障害の場合は突然片目が全く見えなくなります。
この症状は眼科の領域ではありませんので循環器科を受診するようにします。
これらの症状の多くは1日とかの比較的短時間で消失します。
しかし、上記の症状が元に戻ったからと言って、放置してはいけません。
脳梗塞の前触れであることがあるからです。
※上記の症状を一過性脳虚血発作(TIA)と言います。

実際に梗塞が起きてしまった場合、半身が麻痺したりしびれたり、
あるいは意識を失ったりします。
その場合でも、血栓溶解療法で後遺症を避けることが出来ます。
血栓溶解療法が可能かどうかは時間が決め手です。
2時間以内に病院に運ばれることが大事との情報を家族と共有しておきましょう。

9.心筋梗塞


心臓は働き者の筋肉でできた臓器です。
常に新鮮な血液を送り続けるために動き続けなくてはなりません。
心臓の筋肉に血液を供給している動脈が詰まるのが心筋梗塞です。
心筋梗塞の前兆はありません。
しかし、多くの場合、突然に重篤な梗塞になるのではなく軽い梗塞から始まります。
心臓近辺の締め付けられるような痛みは要注意です。
息苦しさを感じることもあります。
これも要注意です。
軽い梗塞の症状を見逃さないようにしましょう。

H:headache(severe)普段より激しい頭痛・片頭痛。失神・卒倒

頭痛は心筋梗塞の症状ではありませんが、重篤な心筋梗塞では失神・卒倒が見られます。

 

10.内臓臓器の動脈閉塞症


胃・肝臓・腸・腎臓などへ血液を供給する動脈が閉塞すると、その臓器の機能が低下します。
それぞれの臓器によって症状の出方は異なりますが、
激しい痛みに気をつけるようにします。

A:abdominal pain(severe) 激しい腹痛。

胃や腸の動脈が血栓で塞がれた場合、周期的に痛みが緩んだりひどくなったりを繰り返しながら、日ごとに痛みが強くなるのが特徴です。
ただ痛みだけで自己判断するのは無理なので、激しい腹痛のある場合には必ず受診するようにします。

12.下肢動脈血栓症


足の動脈が血栓で塞がれると、それより下の部位に血液が供給されません。
静脈血栓症と較べると、足の痛み・蒼白化・運動麻痺・知覚の消失などが突然現れるのが特徴です。

S: severe leg pain 足や手の脱力・無感覚または針で刺すような痛み。

両足同時に症状が現れることはまずありません。
下肢動脈血栓症も緊急に対応する必要があります。

13.脳出血


血栓による閉塞に伴い脳の血管が破れて出血することもありますが、
血栓や閉塞なしに脳の血管から出血することもあります。
出血には小さな出血もあれば大きな出血もあります。
出血の程度や部位で、頭痛やめまい、半身の麻痺、意識障害などが生じます。

H:headache(severe)普段より激しい頭痛・片頭痛。失神・卒倒

脳出血は緊急の治療を必要としますから、早期の受診が重要です。

なお、普段から片頭痛がある場合、脳出血のリスクは高くなります。
特に前兆を伴う片頭痛ではリスクが高いのでピルの服用は出来ません(絶対禁忌)。
付けたし①:35歳以上で前兆を伴わない片頭痛を持つ場合、日本では相対禁忌となっています。しかし、35歳以上で前兆を伴わない片頭痛の女性を絶対禁忌とするのが世界の医学常識です。
付けたし②:局在性神経徴候を伴う頭痛のある女性は髄膜腫のリスクが高いので、年齢に関わらず絶対禁忌とするのが世界の医学常識です。この点について、日本の添付文書は何ら触れていません。
参照 頭痛とピル

14..動脈血栓の前ぶれ


静脈血栓と較べ、動脈血栓は閉塞の前ぶれを事前に察知するのが困難です。
しかし、動脈血栓の多くは静脈血栓と異なり、短時間で形成される物ではなく、
長年の血管状態の悪化が血栓の形成と深い関係を持っています。
高血圧、肥満、喫煙は血管状態を悪くし動脈血栓が生じやすくします。

15.自分の身体は自分で守るということ


ピルを服用すると【血栓病】という病気に罹るわけではありません。
血栓が生じやすい状態になるだけのことです。
ピルの服用を中止すれば、血栓が生じやすい状態は基本的に解消します。
基本的にと書いたのは、血栓ができた状態を放置すると慢性型に移行することがあるからです。
閉塞が生じた場合でも、早期に対応すれば後遺症が残るリスクは小さくなります。
血栓症については早期対応が決定的に重要なのです。

血栓症に対する早期対応の重要性が医師とユーザーで共有されるためにはどうすればよいのでしょうか。
まず、血栓症の初期症状をユーザーに徹底的に伝えていく必要があります。
「ピルとのつきあい方」は15年前の開設当初から、
血栓症の初期症状をしっかり伝えてきました。
現在、血栓症の初期症状をユーザーに伝える基本中の基本がやっと徹底し始めた段階です。
しかし、ユーザーに血栓症の初期症状を伝えるだけでは、
まだ対応は全然不十分なのです。

血栓症の初期症状を知識として知っていることと、
受診行動が取れることはイコールではありません。
初期症状を知っていても受診行動を取らないと考えた方がよいのです。
なぜ受診行動が取られないのでしょうか?
さまざまな暗示が受診行動を鈍らせるのです。
受診行動を鈍らせるいかなる暗示も行ってはならないというのが、
欧米の医療者の常識です。
日本の医療では常識外の暗示が横行しています。
例を挙げましょう。
①「血栓症なんてめったにない」
めったにないと言われると「まさか自分には」という心理が働くものです。
そうすると、気のせいかもしれない、筋肉痛かもしれない、と都合よく思ってしまいます。
「1万人に1人しかいない」と強調してはいけないのです。
「1万人に1人は可能性がある」と客観的に伝えるのが誠実な医療者です。
②特定のリスクを強調する
タバコや肥満や高血圧は動脈血栓のリスクを高めます。
だから、喫煙ユーザーにタバコのリスクを話すことは必要です。
しかし、喫煙は静脈血栓のリスクとほぼ無関係ですし、
非喫煙でもピルユーザーの静脈血栓リスク・動脈血栓リスクは高まります。
タバコや肥満や高血圧など特定のリスクが強調されると、
タバコや肥満や高血圧がなければ血栓症にはなりにくいというメッセージを発してしまいます。
ピル普及をうたうNPOのネットテレビで出演女医が、
血栓症で死亡したユーザーは「タバコを吸っていたんじゃないかな」と妄想を語っていました。
最悪です。
怒りがこみ上げてきました。
まさにそれは非喫煙ユーザーに初期症状が出ても受診行動を鈍らせる暗示になるからです。
③定期的な血液検査のオマジナイ
血栓症を防ぐために定期的に血液検査が重要と強調する医師がいます。
おそらくDダイマー検査でしょう。
Dダイマー検査は検査時点で血栓があるかないかの検査に過ぎません。
飛行機に乗る前にDダイマー検査をしても飛行中のエコノミー症候群発症を防げるわけではありません。
全く無意味とは言いませんが、それほど意味があるとも思えません。
むしろ、安心のオマジナイになってしまう害の方が大きいでしょう。
検査翌日に症状が出ることもあります。
前日のDダイマー検査が陰性なら、受診行動をためらわせることになるでしょう。
以上3つの例を挙げましたが、いずれも安心理論の暗示です。
その暗示はピルユーザーを守るのに全く役に立たないだけでなく、
大いに害になる物です。

受診行動をためらわせる暗示をかけないのは当然として、
それだけではまだ不十分です。
血栓症の初期症状を教え、気になる症状があれば必ず受診するようにと徹底すれば、
受診するようになるかもしれません。
しかし、受診するのは大体切羽詰まってからです。
血栓症への対応では早期の受診が決定的に重要です。
早期の受診が出来るかどうかは、服用者とピルの関わり方に関係します。
ピルについて学びピルを自ら選択したユーザーでは、
早期の受診が出来ます。
彼女たちは自分の身体を守るためにピルを選択しています。
だから自分の身体を守る早期の受診が出来るのです。

ピルを安全な薬にするのはピルユーザー自身


ピルは本来、危険な薬でも怖い薬でもありません。
リスクの高い女性への処方をチェックし、
万一血栓症を発症しても重篤化を防げば、
安全性の高い薬です。
そのためには、医療者とユーザーに求められる条件があるのです。
医療者の役割はまず、リスクの高い女性をチェックすることです。
加齢は血栓症の最大のリスク要因です。
ライフデザインドラッグ路線の下で、
年齢の高い女性にピルが安易に処方されている現実があります。
日本のピルユーザーの過半は30歳以上の女性という異常な現実があります。
日本の医療はチェック機能を喪失していると言われても仕方ないでしょう。
血栓症の副作用が重篤化するのを防ぐのも医療の役割です。
しかし、血栓症の初期症状を知らせる基本の基本さえおろそかにされてきた現実があります。
まして早期受診は決定的に重要なことですが、
日本の医療者が心配りしているとはとても思えません。
医療者が薬屋の回し者のような役回りを演じることが問題なのです。


ピルによって引き起こされる重大な副作用は血栓症です。
ただ早期に対応すれば重篤化のリスクを格段に低減することが出来ます。
ピルが安全性の高い薬であるためには、
早期の対応を取ることが出来るユーザーの存在が条件となります。
欧米でピルは女性が選択する薬です。
ピルについての知識があるから選択することができます。
ピルはお医者様任せの薬ではないのです。
「ピルとのつきあい方」は自立的ピルユーザーとなることを提唱してきました。
ピルという薬にとってそれは当たり前のことなのです。
「ピルとのつきあい方」が提唱してきた自立的ピルユーザーに
違和感を感じる医療関係者がいます。
ピルは医療が管理しようとすればうまくいかない薬です。
ピルはユーザーが自己管理できてより安全な薬になります。
医療は自己管理するユーザーをサポートする役目です。
医療関係者がこのことを理解できるのに10年くらいかかるかもしれません。
医療関係者が変わるのを待っていては、
現在のユーザーは救われないと私は考えています。
ピルを安全な薬にするのは、ピルユーザー自身です。


ピルユーザーが緊急に受信すべき症状A-C-H-E-Sは以下の通りです。
A:abdominal pain(severe) 激しい腹痛。
C:chest pain(severe)息を吸う時により痛い鋭い胸の痛み。息切れ。吐血。
H:headache(severe)普段より激しい頭痛・片頭痛。失神・卒倒。
E: eye problems/speech problems 突然の舌のもつれや視力障害(特に片目のかすみ)。
S: severe leg pain 足や手の脱力・無感覚または針で刺すような痛み。

(緊急に受診が必要な症状一覧参照)


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2014年1月6日月曜日

「ピルの値段が高ければ高いほど血栓症発現率が高くなる」ってホント?



 年齢以外の要因について考えてみることにしましょう。
まず、問題です。

欧米ではピルは半年または1年分まとめて処方されるのが普通です。
日本在住の外国人は日本のピル事情について、以下のように記しています。

This also means that you have to go back to the doctor's office to renew your prescription each time, typically one month as mentioned above, but maybe two months for some. (Others have mentioned being able to get more than three months at a time.) Yes, it is a pain, but in my experience at least, I have to go back frequently to get most prescriptions refilled - this includes simple allergy medicine.
(http://www.survivingnjapan.com/2010/12/guide-to-birth-control-pills-in-japan.html)

彼らにとって、日本の細切れ処方は奇異に感じられるようです。
2か月分のピルをもらうのに待ち時間や往復時間で半日仕事になるケースもあります。
スムーズにもらえるケースでも、どうしても時間の都合がつかないこともあります。
ピルが切れたのを契機に脱ピルするケースは少なくないでしょう。
短期ユーザーや短期反復ユーザーが多くなるのは仕方ありません。

 (正)わんさといるのが日本  (誤)わさんさといるのが日本


それがどうして高い血栓症発現率に繋がるのでしょう?
下の図を見て下さい。
ルナベルについて服用期間と副作用発現までの期間を調べたものです。


血栓症や脳閉塞の過半は服用4か月以内に生じています。
1人が13か月服用しても、13人が1か月服用しても、どちらも1婦人年です。
後者で副作用発現率が格段と高くなる事を理解していただけると思います。
極端に言えば、日本の女性はリスクの高い期間だけピルを服用することになっているのです。

細切れ処方が行われるのには、それらしく聞こえる言い分もあります。
建前の議論は措いておいて、現実問題としてピルを1年分処方しますと言われたら、
ユーザーも困るかもしれません。
イギリスなら1年分が3千円でおつりが来ます。
日本だと桁が違います。
日本のピルの値段が高いから細切れ処方になり、
細切れ処方だから短期離脱ユーザーが続出し、
結果として血栓症発現率が高くなる構造があります。
  (正)ピルの値段を  (誤)ピルの値段が


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日本産科婦人科学会見解(平成25年12月27日)について所感

公益社団法人日本産科婦人科学会は、平成25年12月27日「低用量ピルの副作用について心配しておられる女性へ」と題する見解を発表しました(以下、「見解」とする)。
「見解」は、「事態の緊急性に鑑み」発表するとされていますが、
従来のライフデザインドラッグ路線の踏襲を表明するものに過ぎません。
ライフデザインドラッグ路線により多数の血栓症発症者が出ていることに対する危機感の欠如に失望しました。
欧米では、1970年代と1990年代の2度の「ピル恐慌」を経験しています。
その際、各国の産婦人科学会は現にピルを服用している女性に焦点を絞った呼びかけを行うとともに、ピルの安全性については慎重な対応を取りました。
前者に関しては、慌ててピルの服用を中止して望まない妊娠をすることのないよう強調しました。
各国の産婦人科学会が最も強調した点が、「見解」には完全に欠落しています。
後者に関しては、現に生じている副作用に対して真摯な対応が取られました。
1970年代には、ピルの副作用が周知されていなかったことを率直に謝罪し、改善に努めていきました。
「見解」はピルの安全性を繰り返すばかりで、
問題意識が完全に欠如しています。
欧米では産婦人科学会の一貫して女性を守るとの姿勢が、「ピル恐慌」の克服に繋がりました。
残念ながら、ピルの有益性を強調するばかりの「見解」にはその姿勢を見いだせません。
「見解」の6項目に対する所感を記しておきます。

「1.低用量ピルは避妊のみならず月経調整、月経痛や月経過多の改善、月経前症候群の症状改善などの目的で多数の女性に使用されており、その有益性は大きいです。一方、有害事象として頻度は低いですが静脈血栓症などもあります。」
ピルにはメリットがあります。そのメリットの度合いは、個々の女性で異なります。
またピルにはデメリットがあります。そのデメリットの度合いは、個々の女性で異なります。
メリットとデメリットは個々の女性で異なり、一般論で処することができません。
ライフデザインドラッグ路線下の日本ではこのことが顧慮されなかったために、年齢の高い女性にピルが処方され、ピル史上最悪の副作用被害が生じています。
年齢の高い女性に関して静脈血栓症の頻度が低いなどとは言えません。
「見解」は、現に生じている静脈血栓症の頻発を放置すると宣言しているようなものです。

「2.海外の疫学調査によると、低用量ピルを服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは年間10,000人あたり1-5人であるのに対し、低用量ピル服用女性では3-9人と報告されています。一方、妊娠中および分娩後12週間の静脈血栓症の発症頻度は、それぞれ年間10,000 人あたり5-20 人および40-65人と報告されており、妊娠中や分娩後に比較すると低用量ピルの頻度はかなり低いことがわかっています。」

日本と海外ではピルの使われ方が異なっています。
海外ではピルは避妊薬であり、ピル使用のピークは20歳代前半です。
そのデータを日本の現状に当てはめることはできません。

「3.カナダ産婦人科学会によると、静脈血栓症発症により、致死的な結果となるのは100人あたり1人で、低用量ピル使用中の死亡率は10万人あたり1人以下と報告されています。」

静脈血栓症発症は早期発見と早期治療で重篤化を防ぐことができます。
欧米では、血栓症の初期症状を徹底的に伝えることにより、肺血栓閉塞症の発生を防いでいます。
日本ではこれまで、ピルユーザーに血栓症の初期症状が十分伝えられてきませんでした。
当ブログのアンケートは、その実態を示しています。
理想的な対応が取られた場合の死亡率を示すことにどのような意味があるのか、理解できません。
なお、日本循環器学会等の「肺血栓閉塞症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)」によると、肺血栓閉塞症について未治療での死亡率は30%であるが、十分な治療で2-8%に低下すると記されています(p.7)。

「4.低用量ピルの1周期(4週間)あるいはそれ以上の休薬期間をおき、再度内服を開始すると、使用開始後数ヶ月間の静脈血栓症の高い発症リスクを再びもたらすので、中断しないほうがよいといわれています。」

ピルの服用を中止し自然の月経を待って再開した場合の副作用リスクについて指摘されています。
通常、このような不自然な服用がなされることはありません。
しかし、このような不自然で、血栓症リスクを高める服用法をガイドラインに記し、それに基づく添付文書を放置してきたのは、
ほかならぬ日本産科婦人科学会です。
2日の飲み忘れがあれば服用を中止し月経を待って再開するような服用法は、飲み忘れによる妊娠リスクを下げる効果が皆無であるだけでなく、血栓症リスクも高めます。
そのような服用法を15年間放置してきたことの責任はどうなるのでしょうか。(参照 産婦人科医の犯罪的怠慢)

「5.喫煙、高年齢、肥満は低用量ピルによる静脈血栓症の発症リスクが高いといわれており、注意が必要です。」

血栓症の最大のリスク要因は加齢です。
特に、35歳を過ぎると血栓症リスクは加速度的に上昇します。
ライフデザインドラッグ路線下の日本ではこのことが無視されて、高齢の女性にピルが処方されてきました。
日本のピルユーザーの過半は30歳以上です。
高齢の女性に対するピル処方を奨励するものが、ライフデザインドラッグ路線でした。
女性に対する文書である「見解」で、「注意が必要です」など書くのではなく、それは産婦人科医に対して書くべき事でしょう。

「6.欧米では、静脈血栓症の発症は以下の症状(ACHES)と関連することが報告されていますので、低用量ピル内服中に症状を認める場合には医療機関を受診して下さい。
A:abdominal pain (激しい腹痛)
C:chest pain(激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような痛み)
H:headache(激しい頭痛)
E:eye / speech problems(見えにくい所がある、視野が狭い、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害)
S:severe leg pain(ふくらはぎの痛み・むくみ、握ると痛い、赤くなっている)」

当然の内容です。
当然のことが何故これまで行われてこなかったのか、
副作用に対する警戒の弱さとライフデザインドラッグ路線は関係なかったか、
真摯に反省してほしいことです。

最後に、書いておきます。
「見解」は、ピルユーザーの血栓症副作用を想定内の発症と捉えているようです。
しかし、現実には想定をはるかに超える規模で、血栓症副作用が発生していると考えられます。
「見解」はライフデザインドラッグ路線の踏襲を宣言するものであり、
この「見解」は血栓症副作用頻発の現状を継続させるだけの意味しか持ちません。
「見解」は、「低用量ピルおよびその類似薬剤の有益性は大きく、女性のQOL向上に極めて効果的であります」と述べます。
それは、血栓症の発症率が想定内に収まる場合に言えることであって、
想定をはるかに超える血栓症が発現しているならばそのように言うことはできません。

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トリキュラー・アンジュによる血栓症等の副作用発現状況
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ヤーズの血栓症死亡例について思う事
「ピルは血栓症予防薬」という意外な観点
(アンケート)ピルユーザーに血栓症の初期症状情報は知らせされているか?
血栓症初期症状を説明している医師は21%

2014年1月5日日曜日

600人に1人が血栓症に--40歳以上のピル服用について試算

この10年間の日本では、産婦人科医もユーザーもライフデザインドラッグ路線どっぷりになっています。
ライフデザインドラッグ路線の危険性など言えば、白眼視されてしまいそうです。
ピルは本来、安全性の高い薬です。
しかし、ピルが安全性の高い薬なのは、ピルが本来の利用のされ方をされた時にだけ言えることです。
ライフデザインドラッグ路線下のピルは、本来の利用のされ方を逸脱し、
万能サプリのような取り上げ方をされてきました。
それがいかに危険なことか、説明しましょう。

ピルの最大の副作用は血栓症です。
血栓症は欧米のピルユーザーで10万人につき、15-25人に発現します。
日本で欧米と同じ使われ方をすれば、発現率は欧米より低くなるでしょう。
ピルが本来の使われ方をすれば、血栓症は非常に稀と言うことができるでしょう。
ライフデザインドラッグ路線下の日本では、
本来の使われ方がなされていないのに非常に稀という側面だけが強調されてきました。
ピルは一歩本来の使われ方を逸脱すると、
とてつもない頻度で血栓症を引き起こすことは医学常識です。
この医学常識を無視して暴走したのがライフデザインドラッグ路線のピルです。

ヤーズについてバイエル薬品は、142636婦人年に使われた発表してます。
13シート使われると1婦人年と数えます。
ヤーズユーザーの年齢分布は実はよくわかりません。
当ブログのアンケートは回答数が600以上です。
その回答者の年齢属性を見ると、ヤーズユーザーの18.18%が40歳代です。
この年齢比率を用いると、ヤーズは40歳代の女性に対して25931婦人年使われたことになります(142636婦人年x18.18%)。
医薬品医療機器総合機構データベースで、
血栓症の発症が報告されている40歳代のヤーズユーザーの数を数えると、
42件になっています。
25931婦人年に42件の血栓症が発現していることになります。
10万婦人年あたりに換算すると、161.9人になります。
つまり、40歳代の女性10万人が1年間ヤーズを使用すると、
161.9人に血栓症が発症するという計算です。
40歳代の女性10万人に161.9人ということは、
618人に1人が血栓症を発症することを意味します。
実際は報告漏れがあると考えられますから、
300人に1人の発現率になるかもしれません。
これは40歳代のヤーズユーザーについてのデータです。
40歳代の女性でざっと、600人に1人くらいが血栓症を発症するわけです。
50歳代だったらもっとリスクは高くなるでしょう。
この発現率は稀にしかないと言えるレベルではありません。

40歳代の女性がヤーズを服用すれば、600人に1人くらい血栓症を発症します。
ライフデザインドラッグ路線下の日本では、このリスクが無視されてきました。
ヤーズも日本以外では避妊薬です。
若者の切実な避妊要求に応える薬です。
ところが、日本では逆にヤーズを避妊目的に使用してはいけないことになっています。
ヤーズは日本では避妊薬ではなく、月経困難症の治療薬です。
月経困難症の女性は、年齢に関係なくいます。
40歳代の女性も50代歳代の女性もいます。
年齢の高い女性にも無差別的に処方されてきたのが日本の実態です。

避妊薬ピルとしての安全性を引き合いに出しながら、
非避妊薬としてピルを利用するのは詐欺のようなものです。
どうしても、治療薬として年齢の高い女性にピルを使うのならば、
「600人に1人程度の血栓症リスクがある」ときちんと伝えるべきです。
現在、ピルを処方されている年齢の高い女性達は、
年齢によるリスクの高さを伝えられていません。
もし、リスクをきちんと伝えれば、どれほどの女性がピルを選択するでしょうか。
ほとんどいないかもしれません。
ライフデザインドラッグ路線はリスク隠しによって成り立っていると見ることができるように思います。

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2014年1月3日金曜日

ピルによる血栓症発現率の現状を推測する

朝日新聞の報道内容と反応


2013年12月17日、朝日新聞デジタルは「ピルの副作用、血栓に注意を 5年で11人死亡例」と報道しました。
記事には、「医薬品の安全を管理する独立行政法人の集計などによると、2008年~13年上半期に、低用量ピル11品目で、血の固まりが血管をふさぐ血栓の重症例が延べ361件、副作用として報告されていた。死亡は11件・・・」と書かれています。
そして、「日本家族計画協会専務理事の北村邦夫医師によると、・・・利用者は推定100万人に上る」と記事は続きます。
この記述をつなぎ合わせると、母数は5.5百万婦人年で、361件の血栓症発症と読めます。
そうであれば、10万人あたりの年発症率は6.56人となります。
6.56人であれば、ほぼ想定内の発症率です。
2013年12月31日現在の人気コメントベスト10は以下の通りです。

****************以下引用******************

        

  • doroyamadadoroyamada 因果関係不明のものまで数えて1,000,000の105というのをどう見るか。 2013/12/17Add Starmiroooooongrandaoujukimiwa84kathewhatekun_bboruemonaliliputskgctomjmzyukimi1977rgfxrgfxhima-aritailtame
  • sunamandalasunamandala 「ピルを使わなくても10万人あたり年5人の頻度で起きる」 2013/12/17Add Starujukihatekun_bvanillayetimesotaromesotaroririankouririankouririankouskgctomjmzfesterfesteryukimi1977rgfxnaruo38hima-ari
  • VaduzVaduz 煽り過ぎで不愉快になる記事 2013/12/17Add Starujukimiwa84miwa84miwa84aLamesotaromesotaromesotaroaliliputjmzautomaton37564hidamari1993myjiku
  • dankogaidankogai ヴァイアグラで死んだ人はもっと多いはずなのだが、あまりニュースにならないのはなぜだろう? 2013/12/17Add Starskgctomfesterfesternextworkerrgfxnagaimichikomiwa84coolworldmorimori_68
  • festerfesterfesterfester ついこないだは子宮頸がんワクチン、今度はピルか……。とにかく誠実な情報に接したい。 2013/12/17Add StarYou-mey-kawazrgfxautomaton37564miwa84humirokukisiritoorutailtame
  • plutanplutan まあリスクのない薬はないからなあ。 2013/12/17Add Starkoichi99kathewZeppelinNTaliliputguropanhumirokumorimori_68tailtame
  • ricenoodlesricenoodles ホルモン剤は使う前に医師からことこまかに説明を受けると思うんだけどなあ 2013/12/17Add Starnamelesscultmesotaromesotarolongrooflongroofujukimiwa84kathewaliliputskgctom
  • wonodaswonodas 酒のんで死ぬ人よりは少ないだろ またネガティブキャンペーンか 2013/12/17Add Starnao0990y-kawazmiwa84myjikutailtame
  • nao0990nao0990 100万人が利用してるのに「何となく関係ありそう」レベルまで含めて死亡例たった11とは驚くほど無害 2013/12/17Add Starkosiganpacha_09myjikutailtame
  • HarnoncourtHarnoncourt 死亡例だけをセンセーショナルに取り上げすぎ。「血栓の重症例が延べ361件」に着目すべき。その後どうなったかとか、併用薬とか/高リスク者にはアスピリン少量併用で対応できそうな予感もする。 2013/12/17Add Starujukimiwa84miwa84hima-ari



*************引用終わり*********************


記事に対する批判的コメントのオンパレードです。
ベスト10以外からもいくつかピックアップしてみましょう。



***********以下引用***********************
nextworkernextworker これ読んで、むしろ安全だと感じるくらいのリテラシーを持って使ってほしいかな。 2013/12/17Add Starhima-ariy-kawaz


y0m0y0m0 ピルを排除したいキリスト保守団体の陰謀だとおもった 2013/12/17Add Stary-kawazautomaton37564
kisiritoorukisiritooru だからピルは危険なのです!!!ってすぐ扇動される人が今時いるかな。 2013/12/17Add Starhatekun_b


************引用終わり**********************

コメントの中にこれ読んで、むしろ安全だと感じるくらいのリテラシーを持って使ってほしいかな。」があります。
元の朝日の記事を読むと、このコメントが出てくるのも当然です。
そこで問題は、朝日記事の示唆している「10万人あたりの発症率は6.56人」が、
信頼できる数値かどうかです。
この記事に先立ち、バイエル薬品はヤーズについて、
 「推定142,636婦人年に使用され、血栓閉塞症発現例が87例
との発表を行いました。
この数字は10万人あたりの血栓症発現率が60.99人であったことを示しています。
朝日記事の示唆する6.56人とは、実に10倍近い差があります。
製薬メーカーが自社製品の副作用について、わざわざ10倍も誇大な数値を公表するなど考えにくいことです。
朝日記事ではピルユーザー数が100万人と書かれています。
もしそうであるならばピル普及率は約5%程度になりますが、
最も大規模なアンケート調査である「男女の生活と意識に関する調査」(分担研究者 北村邦夫日本家族計画協会家族計画研究センター所長)によれば、
2012年(第6回)のピル普及率は1.9%でした。
また、記事では2008年から5年半の集計とされていますが、
2008年は医薬品医療機器総合機構データベース稼働初年でデータ量は翌年以後の半分程度です。
なお、朝日の報道を後追い報道した読売やNHKでは、
2004年からの血栓症発症数と報じました。
2008年以前の副作用データをどのように調べたのか興味深いところですが(皮肉)、
もしそれが事実ならばピルユーザーの血栓症発症率は10万人中3人程度になり、
まったく問題にならないレベルとなります。
朝日、読売、NHKはピルユーザーの血栓症問題を報道しながら、
100万人が利用してるのに「何となく関係ありそう」レベルまで含めて死亡例たった11とは驚くほど無害」、
と読者・視聴者が思うように誘導しているのかもしれません。

現実はマスコミ報道とかけ離れている可能性


そこで、実態はどうなのか調べてみることにしました。
ヤーズについては、利用者数・副作用数がメーカーから公表されているので、
その数値をそのまま利用しました。
他のピルについては、シェアから利用者数を推測し、医薬品医療機器総合機構データベースの症例数を数えて、それぞれのピル毎の10万人あたり血栓症発症者数を計算しました。
下の図は、その結果の一部を示したものです。
図ではヤーズ以外に、ルナベルとオーソMを取り上げました。
ルナベルを取り上げたのはヤーズと同じ治療専用ピルだからで、
オーソMを取り上げたのはルナベルと同成分同用量のピルだからです。


数値の算出は以下の手順で行いました。
     
集計期間
(年)
シェア
(%)
期間内
出荷数
期間内
婦人年
延べ数
期間内
症例数
10万人あたり
年間発現数
ヤーズ313.91,854,268142,6368760.99
ルナベル57.01,556,340119,7185545.94
オーソM53.0667,00351,308611.69

集計期間(年)
医薬品医療機器総合機構の副作用データは、2008-2013第2四半期までの5.5年分。
ただし、稼働初年度の2008年分はデータ量が翌年以後の約半分であることを勘案し、
実質5年分の副作用データと見なした。
ヤーズについては、2010年11月発売以来3年のデータと見なした。


シェア(%):
当ブログアンケート「今、飲んでるピルの種類は何ですか」の回答657件(2013.2.12-2013.12.31時点)より推計した。
なお、回答数100時点の中間集計と大きな変化は見られなかった。

期間内出荷数:
ヤーズについては、バイエル薬品公表の婦人年延べ数に13か月を乗じた。
ルナベルについては、(ヤーズの期間内出荷数)×(ルナベルのシェア/ヤーズのシェア)×(ルナベルの集計期間/ヤーズの集計期間)で算出した。
オーソMについては、ルナベルと同様。

婦人年延べ数:
ヤーズについてはバイエル薬品の公表数値。
ルナベル・オーソMについては、期間内出荷数/13(月)。

期間内症例数:
ヤーズについてはバイエル薬品の公表数値。
ルナベル・オーソMについては、医薬品医療機器総合機構の副作用データベースの症例数(参照 ルナベル血栓症関係データ オーソM血栓関係副作用データ)。
脳梗塞、心筋梗塞、網膜閉塞が疑われる視力低下などは除外しています。

10万人あたり年間発現数:
(期間内症例数)×(100000/期間内婦人年延べ数)。
なお、期間内婦人年について期間内の年平均値と期間内症例数の年平均値を求め、
10万人あたりの換算値を求めても結果は同じとなる。
たとえば、ヤーズの年平均症例数は29、年平均婦人年は47545であり、
10万人あたりに換算すると60.99となる。


欧米人のピルユーザーで血栓症発現率は10万人中15人から25人程度です。
日本人では血栓症素因の遺伝的保有者がほぼないため、
日本のピルユーザーの血栓症発現率は数人程度と想定されていました。
グラフの日本人想定値①は三宅婦人科内科医院によるもので、
日本人想定値②は「ピルとのつきあい方」によるものです。
図からわかるように、ヤーズ・ルナベルの血栓症発現率は想定をはるかに超え、
欧米人のピルユーザーよりさらに高くなっています。
オーソMについては、ほぼ欧米人並みの発症率となっています。
ここで注目したいのは、オーソMとルナベルの間に4倍もの差があることです。
オーソMとルナベルは同成分同用量のピルです。
血栓症副作用発現率に差が出ることは考えられません。
両剤ユーザーの年齢構成について調べましたが、
大きな差はなくほとんど同じでした。
両剤の差についての私見は以下の通りです。
大学病院や公立病院の中には、自由診療の避妊ピル(オーソM)を扱わず、
保険診療のピル(ルナベル・ヤーズ)だけを扱っている病院があります。
大学病院や公立病院では副作用報告をこまめに行う傾向があり、
そのためにルナベルの副作用発現率がオーソMより高くなっているかもしれません。
これは推測ですが、何らかの事情でオーソMの副作用報告率がルナベルより低いために、
オーソM副作用発現率がルナベルより低くなっていると考えられます。
ここで指摘しておきたいことは、医薬品医療機器総合機構データベースの症例は、
あくまで報告された症例であって発生した副作用の一部に過ぎないことです。
実際の副作用発生件数は、報告された件数より多いことはあっても少ないことはありません。
このように考えると、オーソMの副作用発生件数は、
少なくともルナベル並みであると想像できます。
そのルナベルやヤーズも全ての副作用が報告されているわけではありませんから、
グラフの数値よりもさらに高い副作用が発生している可能性があります。
ルナベルやオーソMは血栓症を起こしやすいピルでも起こしにくいピルでもなく、
平均的なピルです。
日本のピル全体についてみても、ルナベルなみの血栓症副作用が発生している可能性があるでしょう。
仮にルナベルの副作用報告率が50パーセントなら、実際には10万人あたり90人もの血栓症副作用が発生していることになります。
読売、NHKは10年間の血栓症発症と報じましたが、
実際には1年間で361件以上の血栓症が発症している恐れがあります。

マスコミ報道の虚々実々


朝日新聞報道の前に、バイエル薬品はヤーズでの血栓症発症状況を2度にわたって公表しました。
この発表は製薬会社として当然と言えば当然のことですが、
高く評価できる公表でした。
私の知る限りでは、一般紙はこのバイエル薬品の発表を一切取り上げることなく、完全無視し続けました。
バイエル薬品の発表には母数も明示されていましたから、
上でみたはてなブックマークのような反応が出る余地はありませんでした。
当ブログはヤーズの血栓症発症率が尋常でないことを指摘し、
その原因が「ライフデザインドラッグとしてのピル」路線による年齢の高い女性に対するピルの無差別的処方にあると論じました。
その後、朝日新聞の報道がなされました。
朝日新聞の記事は記者が医薬品医療機器総合機構のデータベースを丹念に調べれば、書けなくもありません。
しかし、データベースを丹念に調べるにはそれなりの知識が必要ですし、
もしそれだけの知識がある記者であればあのような平板な記事は書かないでしょう。
朝日新聞の記事は、医薬品医療機器総合機構ないしその周辺からの情報提供を受け売りして書かれた記事と思われます。
情報提供者には、どのような意図があったのでしょうか。
血栓症発症率が尋常でないレベルになっていることを知らせるのではなく、
逆にそのことを隠蔽する意図があったのかもしれません。
少なくとも、はてなブックマークの反応を見れば、
「ピルで血栓症副作用が出ているけれども全く問題ないレベル」とのメッセージをこの記事が伝えたことがわかります。
朝日の記事を読売、NHKが後追いします。
朝日記事で「2008年から」とあったのに、
なぜか後追い記事では2004年からとか10年間とか、
データ期間が長くなり、「ピルで血栓症副作用が出ているけれども全く問題ないレベル」とのメッセージをより強く伝えています。
朝日、読売、NHKへの情報提供者は同一人物でしょう。
その人物は、「全く問題ないレベル」とのメッセージを伝える明確な意図があり、
それを強調する方向で提供情報の内容を変えていったのでしょう。
朝日の報道は不安を煽っているとの見方が多数を占めています。
しかし、私の見方は全く違います。
朝日の報道は不安を煽るどころか、事実を隠蔽し不安をかき消す内容になっているように思えます。
朝日のミスリードにまんまと乗せられた人達が、
ミスリードの輪を大きくしている滑稽な光景があるように見えるのです。

ライフデザインドラッグの10年が作り出した危険な状況


バイエル薬品はヤーズの副作用の発症状況について公表しました。
しかも、2度にわたってです。
かなり、異例なことと言えるでしょう。
それはヤーズユーザーに対する注意喚起の呼びかけでしたが、
日本の全ピルユーザーへの呼びかけととらえるべきでした。
少なくとも私はそのように受け止め、
日本のピルの異常な状況について書いてきました。
しかし、2004年以来の「ライフデザインドラッグとしてのピル」路線の中で、
バイエル薬品の発表の意味が理解されない状況が作られていたのではないかと思います。
異常とも言える高い血栓症発現率は、ライフデザインドラッグとして位置づけられた日本のピルが、年齢の高い女性に安易に処方されたからだと論じました(参照 ルナベルでも死者 重篤副作用は40歳代に集中、人為薬害の様相)
ピルを非避妊薬として処方すればおびただしい副作用被害が生じることは自明の理であり、
世界の各国政府が頑として受け入れなかったことです(参照 「ピルは血栓症予防薬」という意外な観点)
まともな産婦人科医ならライフデザインドラッグ路線による副作用の頻発は予見できたはずで、
地域で地道な医療活動を続けている産婦人科医の中には慎重な対応を取った医師も少数ながらいました。
しかし、大勢はライフデザインドラッグ路線にのめり込んでいきました。
その一つの要因は薬価政策です。
ルナベルの本来の価格は缶ジュースほどの価格ですが、
ライフデザインドラッグ路線に誘導するために7000円弱という法外な薬価が設定されました。
ルナベルは40年も前に開発された薬で、既存のオーソMと同一成分同一用量の薬です。
とても新薬などと言えない代物ですが、それを無理矢理新薬扱いにし破格の薬価を付けました。
ルナベル・ヤーズの累計売上げ(薬価ベース)は、1500億円にも達します。
適正薬価なら数十億円の薬が1500億円の売上げになっているのです。
その差額はメーカーだけでなく医療機関や広告業界まで潤しています(参照 「ルナベル・ヤーズの錬金術」)
ステマ風味な言説が氾濫し、ライフデザインドラッグ路線を疑問視する「ピルとのつきあい方」の粛正活動を行う団体まで出てくる背景です。
ともあれ、ライフデザインドラッグ路線が業界に莫大な利益をもたらしてきたことは紛れもない事実です。
現在の日本で生じているピルの血栓症副作用頻発問題は、ライフデザインドラッグ路線が引き起こしていることは明らかです。
しかし、メーカーも医療機関(医師)も問題の本質について言及することはありません。
それどころか、露骨に問題の隠蔽を画策する団体まであります。
喫煙や妊娠どころでない異常な頻度で血栓症が生じていることが問題です。
ピルによる血栓症副作用が異常な頻度で生じていることが問題であるのに、
喫煙や妊娠より低いなどという一般論に話をすり替えています。
そして、その異常な副作用頻度は彼らが宣伝してきたライフデザインドラッグ路線によって起きたものであるし、
まさに「きちんと医療機関で受診し、定期的な検診、医師との面談を継続していく」中で起きたものです。
医療機関の安易な処方が問題であるのに、「個人輸入などの安易な服用」で問題が生じているかのように話をすり替えています。
これほど露骨でなくても、ライフデザインドラッグ路線の人々からは同工異曲の言説が流されています。

事実は一つ


事実は一つです。
日本のピルで高い血栓症副作用が生じているのか、それとも血栓症発生の頻度は想定内で許容できるレベルなのか。
マスコミが誘導するように、日本のピルで血栓症の副作用はあるが、
それは問題になるほどの頻度ではない。
問題になるような頻度で血栓症が発症しているわけではない。
もしそうであれば、当ブログがしばしば指摘してきたことは杞憂であり、
いたずらにピルユーザーに不安を抱かせる何やら陰謀論めいた言説となります。
ピルユーザー数、血栓症発症数のデータが不完全なので、
日本のピルユーザーの血栓症発症率が想定範囲内である可能性も皆無ではありません。
しかし、利用できるデータを丹念に見ていくと、
日本のピルでとてつもなく高い頻度で血栓症副作用が生じていると見る方が合理的だと思います。下の図を見て下さい。

日本のピルユーザーの過半は30歳以上の女性で、副作用は30歳40歳50歳代の女性に集中しています(詳しくはルナベルでも死者 重篤副作用は40歳代に集中、人為薬害の様相参照)。
日本にはピルユーザーに高い頻度で血栓症が発症する条件があり、
データは実際に高い頻度で血栓症が発症していることを強く示唆しています。
少なくとも、血栓症の頻発を疑う合理的根拠があります。
日本のピルユーザーにとてつもなく高い頻度で血栓症の副作用が発生しているのではないかと疑っているのは、現在私一人かもしれません。
超少数意見です。
どちらの見方が正しいのか、明らかになる日が必ず来ます。
その日まで、黙して見守るのが大人なのかもしれません。
しかし、私は大人であろうと思わない人です。
血栓症の副作用で辛い思いをするピルユーサーが続出するかもしれないのに、
黙することはピルユーザーを裏切ることになる、
と私は考えます。

お願いしたいこと

朝日新聞の記事に対して「100万人が利用してるのに「何となく関係ありそう」レベルまで含めて死亡例たった11とは驚くほど無害」とコメントしている人がいます。
朝日新聞の記事はこのような感想を誘導する内容になっていますし、
読売やNHKの報道はさらにより強くそのような感想を誘導する内容になっています。
また、ある研究者はピルが50歳代の女性に処方されることはないとの思い込みから、
50歳代の死亡者2人はピルによるものではないと断定しています。
はてなブックマークのコメントやブログの断定記述はとても危険です。
想い出してほしいことがあります。
チッソの工場から排出されていた水銀そのものには毒性はありません。
その工場廃液は安全との思い込みが水俣病の被害を拡大させました。
薬害事件を引き起こした薬はどれも安全と思われていた薬です。
安全との思い込みが現実に生じていた副作用被害を見る目を曇らせました
その結果、対応が後手後手になることを繰り返してきました。
ピルは本来安全性の高い薬です。
そのため、安全との思い込みが生じやすい事情があります。
しかし、ライフデザインドラッグなどと言って日本のようなピルの使われ方がなされている国はどこにもありません。
ライフデザインドラッグ路線下でピルが安全な薬であり続けることができるとは思えなかったので、
「ピルとのつきあい方」を続けることを躊躇しました。
10年前のことです。
ピルは本来安全性の高い薬と思っていますが、
副作用に対する注意の呼びかけには誰よりも力を入れてきました。
ところが、私から見れば危ないライフデザインドラッグ路線下では、
かえってピルの安全性だけが強調される傾向が生じました(参照 血栓症初期症状を説明している医師は21%)。
安全神話が蔓延していると言ってもよい状況です。
安全神話を信じるか信じないかは、それぞれの判断です。
安全神話を信じる人に信じるなとは言いません。
ただ切にお願いしたいことがあります。
安全神話の色眼鏡を通して日本で起きている現実を見るのは止してほしい。
そして色眼鏡で見た事実を現実であるかのような言説を振りまくのは止してほしい。
もし、現在の日本で深刻な副作用問題が生じているとすると、
その言説は知らず知らずに副作用隠しに荷担することになっています。
副作用隠しに荷担することが以下のような結果に繋がることをよく考えてほしいのです。
①副作用被害を拡大させる
副作用発生が想定内であるとすれば、ライフデザインドラッグ路線は踏襲されます。
30歳以上の女性にも無差別的にピルが処方され続け、
副作用で辛い思いをする女性が大量に生み出されます。
②副作用女性のアラ探し
公害事件でも薬害事件でも、それが認知されるまでの間、被害者の個人的責任があげつらわれました。
はてなブックマークの反応にも、
発症例の喫煙率はどんなもんなんだろか。
ピル飲んで血栓になるのはタバコ吸ってるからじゃなくて?
などがあります。
安全神話はその裏返しとして、被害者の個人的責任を問題とする傾向があります。
被害者は二重に辛い思いをすることになります。
③責任の不明確化
水俣病やサリドマイドは通常現れない身体的症状ですが、
ピルにはそのような副作用はありません。
タバコは肺がんの罹患率を高めますが、タバコを吸わない人も肺がんになります。
肺がんになった喫煙者の個人個人について、タバコと肺がんの因果関係は証明できません。
この種の副作用が裁判で争われると、
被告は因果関係の証明がないと決まって主張します。
ピルと血栓の関係はタバコと肺がんの関係に似ています。
ピルを服用しなくても血栓ができることがあります。
異常な頻度でピルユーザーに血栓症が発生しても、
個々の女性について因果関係を証明することはできません。
原告側は副作用症状の発生頻度を問題とします。
ところが、はてなブックマークの反応には、
「因果関係不明のものまで数えて・・・」
「ピルを使わなくても10万人あたり年5人の頻度で起きる」
「まあリスクのない薬はないからなあ。」
などが見られます。
裁判になれば被告側が言いそうな主張です。
知らず知らずに免責発言になっていないか、考えるべきだと思います。
最後に心ある方々にお願いしたいことがあります。
私は現在の日本でとてつもない頻度でピルユーザーの血栓症副作用が生じていると見ています。
定期的な検診や医師との面談で血栓症の発症率をいくぶんか下げることができるでしょう。
しかし、それは問題の根本的解決にはなりません。
ライフデザインドラッグ路線がある限り、年齢の高い女性にもピルは処方され続けます。
年齢の高い女性にピルが無差別的に処方される限り、
血栓症の副作用に苦しむ女性が生み出され続けます。
ピルのリスクの度合いは、それぞれの女性によって異なります。
自分のリスクをよく知り、そのリスクは受け入れることのできるものかどうか、
自身で判断してほしいのです。
欧米ではピルのボストン茶会事件を契機に、
ピルは女性が選択する薬に大きく変わっていきました。
メリットとデメリットは個々の女性によって異なるし、
選択の判断には価値観が介在するからです。
ライフデザインドラッグ路線では、判断し選択するのは女性ではなく医師になっています。
50歳代の「月経困難症」の女性にピルが処方され、服用開始後時を経ず血栓症を発症した例もあります(参照 ルナベルでも死者 重篤副作用は40歳代に集中、人為薬害の様相)。
医師からすれば、月経困難を訴える女性がいて月経困難症に対する効能で認可されたビルを処方することに何の問題もない、ことになります。
ピルが諸外国と同様に「選ぶ薬」であったなら、
50歳代の女性がピルを選んだとは思えません。
ピルは女性が主体的に選択する薬です。
ピルが最良の選択であるか、納得できる選択であるか、
考える女性になってほしいのです。
ピルが日本の女性に受け入れられるために、ピルが安全な薬を取り戻すために、
そしてライフデザインドラッグ路線を克服するために必要なのは、
自立的女性です。
このことが少しでも理解されることを願っています。

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「ピルは血栓症予防薬」という意外な観点
(アンケート)ピルユーザーに血栓症の初期症状情報は知らせされているか?
血栓症初期症状を説明している医師は21%