2013年4月13日土曜日

中間集計② アンケート:ピル1シートの代金はいくら?

実施中のアンケートの6個の内、「アンケート:ピル1シートの代金はいくら?」の回答数が約100になりました。
ありがとうございました。
アンケートは引き続き継続しますが、
中間集計してみました。


中用量ピル・個人輸入は除いたアンケートですが、1500円以下はおそらく中用量ピル・個人輸入のユーザーと考えられます。
1500円以下の回答を除いてみても、大きな価格差があるのがわかります。
平均的には2500円程度となるでしょう。

図右側の円グラフは回答者の地域分布です。
上位には政令指定都市のある都道府県が並びます。
6都道府県で過半を超えています。
ピルの普及に地域偏在性のある事が示唆されます。

ピル1シートの値段は、2000円前後が最安値ゾーンです。
1801-2100円と回答したユーザーの地域分布が下の円グラフです。
東京・大阪・神奈川の3都府県で過半を超えています。
安い値段の病院が大都市に集中している事がわかります。

ルナベル・ヤーズの個人負担額が約2100円です。
ピルの最低価格がこの2100円近辺となっている事に注目したいと思います。
ルナベル・ヤーズの薬価が下がれば避妊ピルの価格も下がるでしょう。
逆に言うと、ルナベル・ヤーズの高薬価が避妊ピルの価格低下の障害になっています。

余談ですが、他のアンケートでも京都と広島が「その他」に含まれてしまいます。
当サイト「ピルユーザーが作る病院リスト」にも、
京都と広島の登録は少なめと感じます。
ピルの普及率にはかなりの地域差があるのかもしれません。

【関連アンケート】
アンケート:「女性手帳」に賛成?反対?
アンケート:緊急避妊薬(アフターピル)服用までの時間は?
アンケート:ピル(中・低用量)で生理日が調整できるって常識?
アンケート:あなたのピル(OC)の服用目的は何ですか?
アンケート:ピルの服用をパートナーに知らせていますか?
アンケート:ピル1シートの代金はいくら? →中間集計②
アンケート:今、飲んでいるピルの種類は何?中間集計①

回答がまだであれば是非ご協力願います。

2013年4月8日月曜日

ピルと肥満4つの言説


ピルの服用で太ることはあるのでしょうか?
この問題は関心の強い問題です。
ピルには多くの偏見や誤解がありますが、
ピル服用による肥満については他の誤解や偏見と異なる性質があります。
ピル服用と肥満の関係については、4つの言説があります。

第1 憶測的言説

ピルと肥満に関する言説の第1は、他のピルについての偏見と同じく、憶測に基づく言説です。
ピルを服用すると不妊になるとか、乳がんになりやすいとかの偏見があります。
それは不妊になったり乳がんになったピル服用者の経験から生じたものではありません。
何らかのデータに基づく物でもありません。
妊娠中に体重が増加するならピル服用中にも体重増加があるのではないか、
等の憶測がこの言説を生んでいます。
ピルについての偏見や誤解と同種類の言説です。

第2 経験的言説

ピルと肥満に関する言説には、他の偏見言説とは異なる性質の言説が混じっています。
血栓症リスクや癌リスクの上昇は10万人中数人レベルのリスクを統計的に評価した物です。
服用者が実感できるものでは決してありません。
ところが、ピルの服用による体重変化は、
変化があるにしてもないにしても全ての人が経験できます。
全てのピルユーザーは体重が増えた、減った、変わらなかったと言えるのです。
これは疾病リスクと決定的に異なる点です。
ダイエットのためにウォーキングを始めた人に体重変化を聞くと、
全員が体重が減るわけではなく中には体重が増える人もいます。
ウォーキングでダイエットできたという人もいれば、
逆に体重が増えたという人も出てきます。
ピルを服用して体重が増加したとか、ダイエットしても体重が落ちなくなったとの言説が現れるのは当然とも言えます。

第3 エビデンス的言説

経験的言説では、ピル服用で体重が増えたという人も、変わらないという人も出てきます。
そこで、ピルの服用で体重が増加することはあるのか、
統計的に調べる研究が行われています。
それらの調査結果は、ピル服用で体重が増加することはないとの結論です。
正確にいうと、ピル服用で体重が増加するとの証拠はなかったなのですが、
しばしばピルにより体重が増加しないエビデンスがあるとの言説になっています。

実はピルの服用で体重増加があるかどうのかの研究は、
意外とむつかしいのです。
ピルの場合、被験者を実験群と対照群に分けて、二重盲検テストを行えません。
厳密な実験的研究がむつかしいことに留意する必要があります。
ピル服用者と非服用者の比較研究がむつかしいのに対して、
ピルの種類による体重変化の研究やピルユーザーの属性(人種や服用前体重など)と体重変化の研究は厳密な方法が可能です。
もし、ピルの服用で体重増加がないのなら、
ピルの種類やユーザー属性による違いはないはずですが、
結果はそうなっていません。
ピルは誰にでも体重増加がないのではなく、
一定条件下で肥満の原因となるかもしれません。

コマーシャリズムと肥満言説

アメリカで脱ピル(服用理由に変化はないのに服用を中止する)ユーザーの中止理由を調査すると、約1割が肥満をあげています。
これは製薬メーカーにとってかなり頭の痛い問題です。
メーカーは、上記の「ピルが肥満の原因になることはない」とのエビデンスを最大限に利用しようとします。
しかし、その宣伝は余り効果的でないようにも見えます。
肥えにくいとうたうピルを発売しているメーカーもあるわけで、
ピルで体重増加はないとの言説は説得力を欠いているかもしれません。
プロバイダー(医師等)はというと、2通りに分かれます。
ピルで体重増加がないとエビデンス強調する医師もいますが、
「ピルで体重が増えることはないと思うよ」程度のアドバイスをする医師が多いでしょう。
メルクマニュアルには、「1年に4.5kg以上増加した場合はアンドロゲン作用の弱いOCを用いるべきである」と書かれています(メルクマニュアル日本語版)。
「ピルで体重が増えることはない」は製薬メーカーの台詞で、
医師がその台詞をオウム返しする事はまれです。
なぜなら、そのような断定をすると、体重の増加した女性にアドバイスできなくなってしまうからです。

第4 「ピルとのつきあい方」的言説

日本のガイドライン改訂版には、
「OCの使用による体重増加の根拠は認められないと指導してもよい。」(グレードA)
と書かれています。
グレードAのエビデンスがあるというのです。
だから、どの病院サイトもどのピルサイトも、
判で押したようにピルで体重が増加することはないと書かれています。
ピルで太るというのは中用量ピル時代のことだとか、
ピルで肥るというのは都市伝説だとかきっぱりした書かれ方がなされています。

当サイトはピルで体重が増加しないとのエビデンスも紹介していますが、
ピルの服用で体重の増加する人がいる事も否定しません。
自動車メーカーが車は100%安全だと証明されたと言っても、
運転者には運転には気をつけようという方が親切だと思うからです。

ピルユーザーと向き合う

「ピルとのつきあい方」は開設以来13年余、
一貫してピルユーザーと向き合う姿勢を貫いてきました。
ピルユーザーが妊娠しやすくなる服用法を書くことはできません。
緊急避妊の成功率が低くなるようなことを書くことはできません。
ピルユーザーが肥満のストレスに悩むようなことを書くことはできません。
そして、用心して防げる事なら用心しようと考えるのが、
「ピルとのつきあい方」流ピルとのつきあい方です。
その場合、全く根拠なく慎重対応を求めているのではありません。
合理的説明がつく限りで慎重対応を奨めているつもりです。

このような当サイトの言説は、日本のメジャーなピル言説と齟齬する状況が生じました。
低用量普及推進委員会なるNPOは、「(日本の)文献に書かれている内容と違うので、
当サイトの内容は信用できない」と当サイト攻撃を繰り返してきました。
私がツイッターを始める前に以下のようなツイートが流れました。


 「医学書は一切無視、ネットでこのサイトより医者の指示を無視した内容を見たことがない」と書かれています。
たしかに、「ピルで肥るというのは都市伝説です」(キッパリ)が、
日本の医学書かもしれません。
私には心配があります。
肥満は都市伝説と言い放つ医師は、
ピルの服用で体重増加が見られたユーザーにどのように言うのでしょう。
「思い違いよ!」と突っぱねるのでしょうか?
ヨーロッパには卒ピルが多く、アメリカには脱ピルが多いと書きました。
そのアメリカの脱ピル理由の1割は体重増加です。
ピルユーザーに向き合わない言説は、
脱ピルの累々たる山を築きます。
日本で脱ピルの山が築かれていないか心配です。

たとえ日本にピルユーザーと向き合う「医学書」がないとしても、
ピルユーザーと向き合う医療者はいます。
先日「エナ大通クリニックのこと」を書きました。
yun@えな低用量ピルアドバイザーさんの「ぴるぶろ」も少し紹介しました。
彼女の「OCと体重増加」を見てみましょう。
ぴるぶろ>OCと体重増加

とても説得力のある書き方になっているのですが、
ピルによる体重増加の可能性を全面否定はしていません。
これは彼女が真剣にピルユーザーと向き合ってきたことの証明です。
「ピルで肥るというのは都市伝説」と言ってしまっては、
ユーザーをサポートすることはできません。
それを経験的に理解し実践する方が現れていることは、
ピル13年の進歩と言えるでしょう。

しかし、一方でピルユーザーに向き合わない情報が増えたことも事実です。
当サイトと出会い、脱ピルすることなく卒ピルまでピルとつきあうピルユーザーに対して、「つきあい方信者」とレッテル貼りするグループまで生じました。
その結果が卒ピルユーザーの増加ではなく、
かえって脱ピルユーザーの増加ではなかったでしょうか。
ツイッターに以下のツイートが流れました。
「ずっとありがとう」と書かれていました。
ずっとピルとつきあい続けるユーザーがずっと当サイトを信頼してくれていたことに、
感激しました。

ピルユーザーと向き合う医療者、ピルユーザーと向き合う情報。
派手さはなくてもそのような小さな一つ一つが、
この国にピルを定着させていく力だと思います。



2013年4月5日金曜日

脱ピルと卒ピル

下の図は当ブログで何度も使っている図です。
フランスの避妊法選択が年齢別に示されています。
 「ピルのみ」と「ピル+コンドーム」の合計がピルユーザーです。



18-19歳のピルユーザーは78.2%(55.2+23.0)で、この年齢層でピークとなります。
20歳を過ぎるとピルユーザー率は減少していくのですが、
ピルから移行する避妊法は、主として「他のホルモン避妊法」と「IUD」です。
「他のホルモン避妊法」は、パッチ・膣リング・インプラントなど非経口避妊薬です。
特に30歳を過ぎると「IUD」への移行が目立ちます。
大雑把に見ると出産前年齢のピル、出産後年齢のIUD、
という選択がなされているのがわかるでしょう。

ピルできっちり避妊しピルを卒業するの卒ピルです。

ピルユーザー80%の秘密

上の統計ではピーク時年齢層でのピルユーザー率は78.2%にも達しています。
このような高いピルユーザー率は、フランスなど西ヨーロッパにだけ見られる特色です。
アメリカではこのような高いピルユーザー率になりません。
なぜ、ヨーロッパではこのような高いピルユーザー率になるのでしょう。
その理由は3つあります。

①値段

フランスのピルの値段は、2ユーロ程度。1シート300円しない値段です。
フランス在住日本人女性のブログには驚きが以下のように綴られています。



「それがフランスでは! 保険が効くとは聞いていたが、こんなに安いとは…。日本と同じタイプを処方してもらって、薬局に行くと、3ヶ月分が1セットになった箱があり、それがなんと5.09ユーロ。で、保険適用後の値段が1.78ユーロ! 1ヶ月分で91円、100円もしないのだ! これにミューチュアルと呼ばれる、任意加入タイプの保険に入っておくと、保険でカバーされない部分を払ってくれるのでタダになるんだとか。
そしてこれまた驚いたのが、フランスでは高校生はピルがタダ。STDはどうしてるのか別として、望まない妊娠を極力減らし、女性の選択した時期に、職も失わず、経済的な不安もなく、妊娠・出産してほしいという政府の狙いでしょう。これは大当たりだと思う。なぜってフランスの出生率はヨーロッパの中でもトップレベルなのだから。」
http://asparagus99.blog94.fc2.com/blog-entry-34.html

フランスのピルの値段は異常なのでしょうか。
違います。
日本で中用量ピルのプラノバール・ソフィアAの薬価(1錠)は、
それぞれ13.9円・8.2円です。
1シート21錠の価格はフランスと変わりません。
これがピルの適正価格なのです。
フランスでは低用量ピルも適正価格なのに対して、
日本では低用量ピルの価格が異常価格になっているだけの事です。

②脱ピルの少なさ

上の表をもう一度見てみましょう。
18-19歳のピルユーザー率は78.2%です。
この年齢層がピークなのですが、
20-24歳でも75.2%でほとんど変わっていません。
20-24歳の年齢層ではピルユーザーの一部が「他のホルモン避妊法」に移行しています(5.1%)。
この二つの年齢層を通じてみると、
18歳から24歳まで80%弱のユーザー率がキープされているのがわかります。
いったんピルユーザーになるとほとんどピルユーザーを止める女性はいなくて、
少数のピルユーザーを止めた女性は「他のホルモン避妊法」に移行するのです。
継続率が高くなければ80%弱のユーザー率をキープすることはできません。
アメリカのピルユーザー率がヨーロッパと較べて低いのは、
継続率が低いためです。
高い継続率は安い価格と関係しますが、
それだけでは高い継続率は実現できません。
もう一つの理由が関係しています。

③自立的ピルユーザー

頭痛で鎮痛剤を飲む事はそれほど難しくありません。
頭痛薬に限らず治療薬には明確な動機付けがあります。
症状が服用を促すのです。
ピルは、たとえ治療目的で服用するにしても、
症状が服用を促しません。
それでも毎日規則正しく服用し続ける薬です。
ピルを服用した事のある人でないと、
毎日飲み続ける事の困難さは理解しにくいかもしれません。
さらに、服用初期には少なくない人が不正出血などのトラブルを経験します。
それもピルの服用をくじけさせることがあります。
アメリカでもヨーロッパでもピルを一度は試してみる女性は9割程度いるでしょう。
ヨーロッパでは脱落者が少ないのに、
アメリカでは脱落者が非常に多くいます。
ピルユーザーがピルの服用から脱落することを脱ピルと言います。
脱ピルの多寡がピル普及率の差になっていると言ってもよいでしょう。
では、アメリカのユーザーとヨーロッパのユーザーの違いは何でしょうか。
アメリカのピルユーザーはピルの服用をハウツー的に理解する傾向があります。
ヨーロッパのユーザーピルの服用を原理的に理解する傾向があります。
ピルを原理的に理解するヨーロッパのユーザーは、
問題が起きてもくじけずに継続的ユーザーになるのではないかと感じます。
逆にハウツーマニュアルでピルを服用しているアメリカのユーザーは、
少しトラブルがあるとピルの服用を止めてしまうのかもしれません。

日本の状況

下は、日本のピル普及率を示した図です。



2008年調査では3.0%に達していますが一時的な増加にとどまり、
基本的には2%弱の水準で変化していない事がわかります。
この10年間、新たにピルユーザーになる女性の数とピルユーザーを止める女性の数は、
毎年同じであった事を示しています。
このデータはとても恐ろしい事実を暗示しています。
10年の間に新たにピルユーザーになった女性の数と、
この間にピルユーザーを止めた女性の数が同じです。
毎年30万人が新たにピルユーザーとなっても、
毎年30万人が脱ピルしている事になります。
これを10年間繰り返すと300万人の元ピルユーザーを生み出す事になります。
ピルを止めた元ピルユーザーの中には、
出産のために卒ピルした女性も含まれています。
しかし、恐らくそれはピル普及率停滞の理由ではありません。
アメリカのピル普及率がヨーロッパと較べて低くなる条件があります。
その条件を更にひどくしたのが日本の条件です。
現在のピルの利用環境が続く限り、
日本のピル普及率は低迷を続けるでしょう。


2013年4月4日木曜日

エナ大通クリニックの事

鬼のお気に入り

北海道にエナ大通クリニックという病院があります。
といっても、実際に行った事も見た事もありません。
当サイトには、「ピルユーザーが作るまあまあ病院リスト」があります。
エナ大通クリニックも登録された病院の一つです。
このリストに登録された病院はチェックするようにしています。
病院のサイトはどこもあまり変わり映えしません。
ところが、エナ大通クリニックのサイトには、
何か惹きつけられるものがありました。
この病院ならオススメできるのではないかと考え、
おすすめマークをつけました。
鬼のオススメは迷惑かもしれませんが。(阿修羅だったイエス 参照)

不打落水狗(中国の諺)

中国の古いことわざに不打落水狗があります。
直訳すると水に落ちた犬を打つな、です。
窮地にある人に更に追い打ちをかけるような事をしてはいけない、という意味です。
(この諺の「不」を取り逆の意味の諺もあります。)
避妊に失敗し意図しない妊娠のリスクに直面している女性は、
水に落ちた子犬のようなものです。
何とか妊娠を回避しようと、
緊急避妊をしてくれる病院を探します。
緊急避妊が必要な女性をいかに救うか各国は腐心してきました。
日本には緊急避妊薬の値段をこともあろうに高くするよう進言した医師がいるようなのです。
その結果、ノルレボの価格は15000円前後となっています。
ヨーロッパ諸国では、1000円以下だったりせいぜい3000円程度です。
ノルレボの異常価格の内幕については、
「もう一つのノルレボ物語1-12」で書きました。
その話の第9回は「良心的医師の悲鳴」です。
ノルレボの異常価格に異議を唱えた医師がいました。
それはそれで評価できる事なのですが、
口先で嘆いてもやはり15000円前後の代金となっています。
その中で、ノルレボをほぼ納入原価で提供している病院があります。
その一つがエナ大通クリニックです。
その決断にはただただ頭が下がります。

避妊で利益を求めない欧米の病院

ノルレボタイプの緊急避妊薬の値段は、
フランスで8ユーロ、ドイツで17ユーロ、イギリスで25ポンド程度です。
日本円では1000円から3000円程度です。
メーカーも病院もこの価格で赤字ではありません。
メーカーは500円でも利益が出ますから、
上記の値段でも病院は赤字にならないのです。
500円でもよい納入価格を1万円などというふざけた価格にしているのが日本です。
メーカーもメーカーなら病院も病院です。
ヨーロッパで小売価格が1000円から3000円なのですから、
病院や薬局の利益は当然それより小さい額です。
日本の価格が15000円とすると病院利益は約5000円です。
病院の得ている利益もヨーロッパより数倍高いのです。
なぜ日本とヨーロッパはこんなに違うのでしょう。
このことについては別エントリーで書く事があるかもしれません。
簡単に言うと、確実な避妊はほとんど全ての女性の抱えている問題です。
その避妊に関与すれば、ほぼ全ての女性と、しかも年齢の低いときから、
コンタクトを持つ事ができます。
避妊薬の販売で利益を上げるのではなく、
生涯にわたる健康管理が病院の役割になっています。
先進国の子宮癌検診率は軒並み日本の3倍ですが、
それはピルや緊急避妊薬の超お手頃価格によって実現しているとも言えます。

ピルの勉強会を行う病院

日本はピルや緊急避妊薬の病院納入価格が国策統制価格なので、
ピル1シートがランチ代程度の価格は実現しません。
病院が利幅を薄くしてもヨーロッパのようにはならないのです。
避妊用として普及しない価格のピルを普及させようとすると、
副効果を強調せざるを得ないという構造になっています。
このような環境の中でもがんばっている病院があります。
エナ大通クリニックもその一つです。
エナ大通クリニックの低用量ピルアドバイザーyunさんのブログは、
ぴるぶろ」です。
この病院にしてこの人あり、この人あってこの病院あり、
と感じました。
2010年05月30日のブログには、以下のように書かれていました。

ピルの仕組みを理解して
自分自身で自由に生理をコントロールして
自分の生活をもっともっと楽しめるようにしましょう
自分で出来るってところがポイントです
自立したピルユーザーになっていきましょ
もちろん、
不安がある時などはいつでもピル外来で聞いてくださいね
誰もが最初は不安ですが、大丈夫ですよ
(私が内服し始めた頃は誰も周りに内服していた人がいなかったので
いつも自分が実験台で、色々試して現在に至っています)
http://ameblo.jp/enaoc/entry-10547409489.html

当サイトは開設当初から自立的ピルユーザーになってほしいとの願いを持っていましたが、
「自立的ピルユーザー」という言葉を使ったのは新編になってからです。
それより先に、「ぴるぶろ」には「自立したピルユーザー」と書かれているのです。
感銘を受けました。
yunさんは「ぴるぶろ」だけでなく、一般向けのピル勉強会も開いているようです。

当サイトは、13年前にピルには相性があると書きました。
当時、全然理解していただけなかった事です。
ところが、「ぴるぶろ」にはピルに相性がある事が当然の事のように書かれていて、
「ピルチェン」(ピルチェンジ)という言葉まで編み出されていました。
エナ大通クリニックでは、全種類の低用量ピルをそろえているとの事です。
感慨深いものがあります。

エナ大通クリニック関係者の他のブログにもざっと目を通してみました。
私の印象は、この病院には自由がある、でした。
私は自由教の信者です。
自由が人を成長させるし、自由がいいアイデアを生み出すと考える人です。
エナ大通クリニックでは、ノルレボにピル1シートがついて1万円です。
上に、避妊で利益を求めない欧米の病院と書きましたが、
それでも赤字でピルを出す病院はありません。
エナ大通クリニックのこの価格は、ある意味でヨーロッパの病院以上です。
この病院にしてこの人あり、この人あってこの病院あり、
と思った所以です。

エナ大通クリニックの努力を忘れまい

エナ大通クリニックが行ってきた事、行っている事は、
必ず札幌の日本の女性の支持を得る事ができるでしょう。
しかし、だからといってこの病院の受診者が急増したり、
ピルユーザーが急増したりする事もないでしょう。
エナ大通クリニックは身を切る努力をしているのですが、
国策価格がある以上その努力は十分に報われません。
病院が身を切る努力をしても、
なおピルが普及する価格よりも遥かに高い価格なのです。
ただ、エナ大通クリニックとyunさんの志を忘れてはなりません。
私はそう思います。

阿修羅だったイエス

避妊薬ピルが解禁になり13年余。緊急避妊薬ノルレボ発売から2年弱。
日本にはOC(ピル)を普及させると唱え、ノルレボを推奨するという人は少なくない。
しかし、現実は中用量ピルが低用量ピルに置き換わっただけだ。
それは当然の事なのだ。
中用量ピルの10倍、20倍の価格にして普及するわけがない。
価格の国家統制を不問にし、女性の無知が普及の障壁だと言う。
望まない妊娠と中絶の問題があるのに、
OC(ピル)はQOC(生活の質)改善薬だと強調する。
ノルレボの価格は、
日本でのピルの第一人者といわれる医師の病院もその値段(27000円)」
だったりする。
何か間違っているのではないか?
OC(ピル)を普及させると唱える仲よしグループが跋扈しても、
何も変わらない。
それどころか、日本のピルの灯は消えてしまうかもしれない。


帝釈天は力の象徴。阿修羅は正義の象徴。
阿修羅は元々善神であったが、その常に闘う心ゆえに鬼神となった。
仏教は阿修羅を仏法の守護神と位置づけた。
阿修羅は鬼の形相と正義の心の両面を持つ。
仏像としての阿修羅像は温和だ。
阿修羅の形相を見ずに心を形にしようとしたからだ。
私には阿修羅とイエスが重なる。
「わたしが来たのは地上に平和をもたらすためだ、と思ってはならない。
平和ではなく、剣をもたらすために来たのだ。」(「マタイ伝」10)


戦いの鬼神阿修羅が仏法の守護神であったように、
日本のピルを守るのは鬼ではないのか、
鬼が必要なのではないのか。

2013年4月3日水曜日

世におもねる専門家はいらない / 行列のできる法律相談所

行列のできる法律相談所」の放送内容

「行列のできる法律相談所」は人気のテレビ番組です。
同番組では、2013年2月17日、医者から処方された薬を人にあげるのは違法なのか?を放送しました。 
以下は番組公式サイトの保存ページです。
まずは問題設定場面です。

この問題に北村晴男弁護士が答えます。
以下が番組公式サイトの保存ページです。

サイトの内容をそのまま記述してみます。

違法
< 北村弁護士の解説 >
違法です。
処方箋薬というのは、
使い方によっては深刻な副作用・中毒作用があり得るものなのですね。
これは医師が診断をして、その結果として処方する。
そうでないのに渡すという事は、
深刻な健康被害が発生する可能性がありますから違法です。
ちなみに処方箋薬を他人に渡すと、
2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、
または科料に処せられることがありますから、
絶対にしないで下さい。

以上が番組の内容です。

朕は法律なり

前近代国家にも法律はありましたが、弁護士はいませんでした。
法律は君主が民を従わせる決まりだったからです。
君主の意志が法律なのですから、
法律に多様な解釈が成り立っても正解は君主の頭の中にあります。
君主が法律はこういう意味だと言えば終わりです。
近代国家の法律は同じ法律でも全く性質が異なっています。
何人も、たとえ君主であっても、法律に従わなくてはなりません。
法律は権力者の横暴に抵抗する武器ともなりました。
法律は国民が従うべきものから国民を守るものに変わったのです。

条文に基づかない法律解釈

北村弁護士の解説を見て下さい。
法律は条文に則して考えるものなのに、
どの条文に違法という記述が全くありません。
北村弁護士が違法と考える理由は、
法に則して考えたものではなく、
「深刻な健康被害が発生する可能性がありますから違法です」
となっています。
それは法律家の言葉ではありません。
北村弁護士は朕は法律なりの時代の人のようです。
北村弁護士にとって法律は民を従わせる決まりなので、
罰則だけはしっかりと強調しています。

薬事法第55条

北村弁護士は、
「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金」だと脅します。
薬事法で「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金」なのは、
以下の条文違反です。
第八十五条  次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  第三十七条第一項の規定に違反した者(販売方法等の制限)
二  第四十七条の規定に違反した者(交付の制限)
三  第五十五条第一項(第六十条、第六十二条、第六十四条及び第六十八条の五において準用する場合を含む。)の規定に違反した者(販売、授与等の禁止)
四  第六十六条第一項又は第三項の規定に違反した者(誇大広告等)
五  第六十八条の規定に違反した者 (承認前の医薬品等の広告の禁止)
六  第七十五条第一項又は第三項の規定による業務の停止命令に違反した者(許可の取消し等)
七  第七十六条の五の規定に違反した者(広告の制限)

上記の中で処方薬の譲渡に関係するように見えるのは、三の第五十五条第一項だけです。
第五十五条第一項を見てみましょう。

第五十五条  第五十条から前条までの規定に触れる医薬品は、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列してはならない。

第五十五条第一項には確かに、「授与」を禁止しています。
では授与を禁止されている「第五十条から前条までの規定に触れる医薬品」とはどのようなものでしょう。
薬事法50条51条は「(直接の容器等の記載事項)」で、52条53条は(添附文書等の記載事項)、54条は 「(記載禁止事項)」です。
50条から54条はメーカー等の遵守事項を記載しているのです。
50条から54条に違反する医薬品の流通を禁止しているのが第55条です。
出荷したメーカーや処方した病院薬局の責任が問われても、
患者の責任が問われるケースではないでしょう。
北村弁護士は、メーカーや病院薬局の責任を患者に転嫁しようとしているのでしょうか。

薬事法第24条

もともと薬事法は効果的で安全な薬品等を供給するための法律で、
市民を規制する法律ではありません。
したがって、市民が市民に薬品を譲渡する事は薬事法の規制対象となってはいません。
それは薬事法24条を見れば明らかです。
「(医薬品の販売業の許可) 」について規定した条文は以下の通りです。

第二十四条  薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列(配置することを含む。以下同じ。)してはならない。ただし、医薬品の製造販売業者がその製造等をし、又は輸入した医薬品を薬局開設者又は医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者に、医薬品の製造業者がその製造した医薬品を医薬品の製造販売業者又は製造業者に、それぞれ販売し、授与し、又はその販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列するときは、この限りでない。

行列のできる法律相談所で問題となった事例は、「医薬品」の「授与」です。
「医薬品」の「授与」について薬事法24条は、「業として」行う事を禁じています。
市民が市民に医薬品を「授与」する行為は、「業として」行ったとは言えないでしょう。
したがって、薬事法第24条からも違法性はないと考えられます。
なお、薬事法24条違反は「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金」です。

世におもねる専門家はいらない

北村弁護士の「解説」は余りにお粗末です。
専門家の発言は専門家としての知見に基づくから尊重されます。
北村弁護士は法律の専門家です。
しかし、譲渡を違法とする理由を見ると、
「深刻な健康被害が発生する可能性がありますから違法です」となっており、
法律の専門家としての発言ではなく医学の専門家のような発言となっています。
医薬品の譲渡は健康被害の原因になりますから好ましいことでないことは言うまでもありません。
北村弁護士が一市民としてそのような発言をしても、
それは問題ではありません。
問題は一市民としての意見を法律の専門家として発言し、
さも法律の専門家らしく「違法」と言ってのける事です。
たとえ一般国民の多数派の意見と異なっても、
そして自身の意見と異なっても、
あくまで専門家としての知見から発言するのが真の専門家です。

追記
このブログ記事は北村弁護士にお知らせ致しました。
北村弁護士が放送での発言を訂正して下さる事を期待します。
もちろん、もしこの記事に思い違いがあれば、
訂正し謝罪することは当然の事と考えています。

この記事はもう一つのノルレボ物語(11)隠された情報の関連記事です。

(参考)譲渡が禁止される薬品等
「麻薬及び向精神薬取締法」により規制される麻薬と向精神薬については譲渡が禁止されており、譲渡されて所持することも違法となる。薬事法は毒薬・劇薬について、「前二項の規定に触れる毒薬又は劇薬は、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列してはならない。」(44条第3項)と規定し、譲渡を禁止している。
なお、「毒物及び劇物取締法」には譲渡禁止規定があるが、同法の対象は「医薬品及び医薬部外品以外のもの」である。
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※2013年4月10日以下を追加させていただきました。

世の専門家が皆、北村弁護士のようだったら、日本はもっといい国になれると思う。

2013年4月2日火曜日

14日ルールを知らずしてピルを語るべからず

14日ルールとは

「ピルとのつきあい方」は、13年前の開設時も今日も、
ピルの基本ルールである14日ルール、12時間ルール、7日ルールにそった説明を頑なに守っています。
14日ルールと7日ルールについては、こちらで説明しています。
まだご覧になられてない方は、是非一度ご覧下さい。


14日ルールと7日ルールを簡単に説明すると、
排卵が生じないレベルになる日が服用7日目、
服用中止しても7日間は排卵が生じないレベルになる日が14日目です。
(上の図を参照)

14日ルールと自立的ピルユーザー

当サイトが3ルールを頑なに守っているのには、
理由があります。
日本に自立的ピルユーザーを育てたい。
これが当サイトの希望です。
自立的ピルユーザーはどうすればできるのか、
考えたのです。
その答えは、まず基本、そして基本、基本、基本、でした。
ピルはとても奥が深い薬です。
それだから基本が大事だというのが答えでした。
基本の中でも基本になるのがこの3ルールです。
多くのピルユーザーが当サイトで学んでくれました。
この3基本を押さえれば、
ピルのだいたいの疑問は自分で解決できるのです。
飲み忘れで1週目2週目3週目でなぜ対応が違うのか、
生理日移動しても避妊効果が継続するのはなぜか、
など多くの応用が可能になります。
逆に言うと、この3ルールが理解できていないと、
ピルの避妊効果が得られているのか自分で分かりませんから、
いつも不安ですし自立的ピルユーザーにはなれません。
当サイトで学んだ多くのピルユーザーが、
3ルールを理解しピルを自分の物にしていった思います。

14日ルールは後進国ルール?

ところが、2人のピルユーザーだけは、
この基本を学ぼうとしませんでした。
その2人が低用量ピル普及推進委員会の法人理事長と副理事長です。
副理事長は、避妊効果はいつからかという問題について、以下のように書いています。

服用開始が月経初日からなら当日から。
それ以外なら服用開始から7日目以降。
14錠以上なんて書いてある製薬会社さんの資料や文献はありませんが昔(後進国で排卵日は14日位だからとの理由でわかりやすいと)使われた経緯を知れば、検索して「ピルとのつきあい方」が何年も昔の情報で、更新されてない管理人さんの知識・リンク先はほぼ切れてるのがわかるかと思いますけど(^^;)

医師に直接、指導してもらい、わからなければ安易に誰が作ったかわからないホームページなんかではなく少なくとも新しい情報に対応し、医師の指導を勧めてくれるサイトを探すべきです。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1158047246
 

ここでも例によって、他の避妊法を併用するとの記述を脳内変換し、
避妊効果がないに読み替えています。
その上で、独自の考えを展開しています。
実は日本ほどピルの後進国はありません。
14日ルールは後進国のバカが作ったルールと考えるのは、
身の程知らずです。
(開発途上国の指導的ドクターは欧米先進国の大学で学んだ、
優秀なドクターが少なくありません。
日本の大学の医学部ではピルでの避妊など教えませんから、
実力の差は雲泥の差があります)
他の避妊法併用を求める期間を7日ルールで7日間とするのも、
14日ルールで14日間とするのも、
どちらも一理あり古いとか新しいとか言う問題ではありません。
(副理事長氏が14日ルールについて、
「排卵日は14日位だからとの理由で」など言うのは、
例によってこじつけの独自説です。)
排卵が生じないレベルになるのが7日なので、
7日間他の避妊法というのも一理あります。
一方、飲み忘れなどのアクシデントがあっても妊娠しないレベルになるのが14日なので、
14日間他の避妊法というのも一理あります。
私はより慎重な14日ルールによる方法を推奨しました。
それだけの事なのですが、独自説に立って批判されています。

ルールなんて所詮意味ないのよ、と言いたげな・・・

副理事長が副理事長なら、理事長も理事長です。
7日ルールが絶対でないので14日ルールというこれまた独自説を展開します。

ピルは、卵巣が眠ることによって排卵が抑制され、避妊効果を発揮するのです。
卵巣が眠るのは、ピルを毎日同じ時間に服用を継続して、7日経った頃と言われています。
一般的な生理周期を基本とすると、28日周期で排卵は周期14日目に起こるとされます。
月経初日から飲んだ場合、月経周期7日目に卵巣が眠ることになりますから、
一般的には14日目に起こるとされる排卵は抑止できるので、
月経初日以降、いつ性行為があっても妊娠することはないと考えられます。
こういった経緯があるため、「月経初日から飲む」というのが一般的なピルの飲み始め方なんです。
初日に飲んだ人限定で即日効果が出る・・・というワケではないんですよね。

月経翌日でもほぼ同様に考えられるので避妊できると考えられますが、
じゃあ3日目4日目は?と数えていくと、だんだんグレーゾーンが出てきます。
それに加え、人によってもともとの周期も違いますから、
もしかしたら12日目に排卵する事もあるかもしれませんし、周期18日目頃の人もいるかもしれません。

例えば周期6日目から飲んだ場合、7日後というと月経周期は13日目にあたります。
排卵は14日目だから排卵抑制が間に合う!と計算上はいえるかもしれませんが、
絶対がなく、計算外の事が起きるのが人間の体!
排卵が一般論の14日目ではなく、13日目12日目に起こる可能性、
卵巣が眠るのは7日後と書きましたが8日かかる人もいるかもしれない可能性、
生理周期が長く、20日くらいが排卵の人だったら排卵抑制できている可能性。。。
「確実な避妊」という意味では、「一般的に考えればたぶん大丈夫」では頼りないですネ。
でも、これを追究してしまうとキリがないわけです。
ココは推測ですが、マニュアル化するとしたら「初日から飲む」としてしまうのが
最もシンプルなので、初日から飲んで避妊しましょう、としたのではないかと思います。
コミュやOC普及推進事業団では、避妊効果について「初日」という基準ではなく
2006年頃知った、アメリカの「クイックスタート」という方式から
「月経初日から何日かたってから飲み始めても大丈夫」ということも言っています。
もちろん「飲み始め7日間は避妊効果は期待せず他の避妊法を併用するか、セックスを控えてね」
という注意を添えたうえでですが。
「初日から飲む」と限定してしまうと、
生理が終わったばかりの人が次の生理までに妊娠してしまう可能性がある人とか、
生理痛や月経困難症の人が1周期でも早くラクになりたい人には、
次の生理を待つ期間はリスキーということになります。
きちんと受診して、医師の指導を確認してから飲むのが一番安全ではありますが、
★ボブ嬢★さんの生理が、もう1週間以内には来る予定であれば待って初日から飲めばいいですし、
だいぶ先のようであれば、今日からでも飲み始めてしまっていいと思いますよ。 http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=29021554&comm_id=29074
 

副理事長説よりは少しはまともなように見えますが、
オギノ学説をベースにピルを説明する珍説ぶりは副理事長と同じです。
「可能性」が繰り返し強調され、7日ルールは絶対でないとして、
7日ルール懐疑論まで展開する勢いです。
オギノ式ベースのピルの説明は、低用量ピル普及推進委員会の独自理論ですが、
もし仮にその説明が妥当だとしても初めてピルを服用する場合の説明にしかなりません。
デイワンスタートやクイックスタートについてのコメントは割愛しますが、
事実に即して考える科学の方法ではなく、
ニセ科学に共通な思弁的方法が取られている事に注意したいと思います。

基礎知識の大切さ

低用量ピル普及推進委員会の大先生2人の発言を見ました。
3つのルールはピルの50年の歴史の中で編み出されてきたルールです。
ピルの超後進国である日本にはこのルールがありませんでした。
だから、私はこの3ルールを紹介しようとしたのです。
ところが、この2人は日本にないとして3ルールを拒否します。
彼らの12時間ルールについてとんちんかんな発言は、
12時間ルールの背景で説明しています。
低用量ピル普及推進委員会は、ピルユーザーが自立しないようにするのを目標としているように見受けられます。
あんちょこに「ハウツーだけ教えます」がヤフー知恵袋の活動ですし、
「困ったことがあれば自分で考えるな、ドクターと相談しろ」がモットーです。
低用量ピル普及推進委員会の法人理事長と副理事長が、
14日ルールを後進国のルールだなどと言ってしらばくれていたのも当然のことのように思えます。
学校で習うのは、国会や内閣や元素や分子など基本的な事柄です。
学校で習う基礎知識があるから、現代のニュースや科学についていくことができます。
「ピルとのつきあい方」はただ新しい物を良しとする立場ではありません。
基礎を重視する編集になっています。
「(当サイト管理人の)知識・・・はほぼ切れてるのがわかる」とのことですが、
小学校でも中学校でも高校でも、教科書の内容は数十年単位ならそれほど変わるものではありません。

不勉強医師発見機

日本のピル情報の現状を嘆いてか、
人の悪いわが家族計画協会クリニックは不勉強医師発見機を仕掛けています。
以下は家族計画協会クリニックのサイトにある飲み忘れ対策チャートです。
http://archive.is/7vgaf
3日飲み忘れ第3週を見て下さい。
「再開後7日間は避妊効果なし!」となっています。
第3週の飲み忘れは、14日ルールで7日間服用がなくても排卵はありません。
だから、日本以外のどのような文献でも、3週目の飲み忘れに対してはバックアップを求めていません。
もしこのケースでバックアップが必要なら、
ピルユーザーが生理を早める調整を行うと避妊効果がなくなる事になってしまいます。
このチャートは日本以外の国だったら、即刻訂正ものです。
ところが、年末年始の頃、このチャートを紹介する産婦人科医のツイートやリツイートが大流行していました。
まるで、家族計画協会クリニックと産婦人科医が虚構新聞のネタを提供しているようでした。
http://twilog.org/ruriko_pillton/date-130103
虚構新聞ごっこは、医師の遊びとしては余り良い趣味とは言えません。

思い上がりはこの国のピルの環境をよくしない

日本はピルの歴史も浅いので、不十分な情報が出回る事もある意味仕方がありません。
40年の遅れを取り戻していきたいというのが私の考えです。
日本はピルの、ピル情報の先進国では決してありません。
そのことを自覚すべきであって、
思い上がりはこの国のピルの環境をよくしていく事に少しも役立ちません。