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2014年6月24日火曜日

まだ検討が不十分な子宮頸がんワクチン

1.「心身反応」は危険な結論


水俣病の原因確定には時間がかかりました。
チッソ廃液説が確定するまでの紆余曲折には仕方のなかった側面もあるのですが、
結果的にはその時間が被害を拡大させてしまいました。
HPVワクチンの副反応については原因がよくわかっていません。
私はアルミニウム毒性反応ではないかとの疑念を持っていましたが、
個人的見解なので表明することを控えてきました。
厚生労働省の合同会議が出した結論は、「心身反応」でした。
合同委員会では、考えられる原因について検討し、
消去法で「心身反応」との結論が導かれました。
アルミニウム毒性反応についても検討されましたが、
動物実験結果を根拠に否定されました。
少し乱暴な言い方をすると、よくわからないから【気のせいと考えられる】という結論です。
この結論は問題のある結論だと思います。
もし、この委員会が水俣病の原因調査に当たったなら、
「心身反応」との結論を導き出すでしょう。
患者の救済や被害の拡大防止に何の役にも立たない結論です。

2.難病治療研究振興財団チームの奮起


6月21日、毎日新聞は以下のように報じました。

「患者の多くに線維筋痛症にほとんどない物忘れなどの『高次脳機能障害』が起きている可能性が示唆され、西岡所長は『ワクチン接種によって新たな病気が起きている恐れがある』と分析する。・・・HANS症候群の診断基準案を作り、治療法確立や症状の周知を急ぐ方針だ。」
新聞記事は淡々と事実を報道しています。
しかし、難病治療研究振興財団チームの行動は賞賛されるべきとても勇気ある行動です。
記事には「新たな病気」の表現が使用されています。
実は昨年、定期接種停止前後に2つのブログ記事を書いた時、
「新たな病気」の疑念が頭の片隅にありました。
そのような観点から記事を書くことも考えたのですが、
実態を精査すべきと書くにとどめました。
難病治療研究振興財団チームは、副反応を「新たな病気」と捉え診断基準案を作成しました。
それは、副反応の解明に大きな一歩を踏み出したことを意味します。

3.無名ブログの行った大きな仕事


「新たな病気」が何であるのかは、まだ明らかでありません。
浜六郎氏などは抗リン脂質抗体ではないかとの見解を表明しています。
立論にやや強引さが感じられますが、検討に値する見解と思われます。
私が「新たな病気」の疑念を抱いたのは、
副反応がアルミ毒性反応のように思えたからです。
副反応に関する知見の蓄積は、
アルミ毒性反応で最も整合性をもって説明できるように思われます。
浜氏らの所説とも矛盾しないかもしれません。
「新たな病気」を解明していくためには、
副反応に関する内外の知見を蓄積整理することが必要と考えていました。
そのように考えている時見つけたのが、
外国でのサーバリックス副作用という名のブログです。
被リンクがほとんどない無名ブログですが、
膨大な外国文献を翻訳してアップしていました。
海外にも副反応について定説があるわけではありません。
模索の過程にあります。
日本の合同委員会の結論「心身反応」も一つの見解ですが、
数多くの知見の中にそれを位置づけるとかなり異端の見解と見ることができるでしょう。
私の見方にはバイアスがかかっているのかもしれませんが、
アルミ毒性反応と見る見方が強まっているように思えます。
このブログの日本語翻訳は正確になされており、
それなりの素養のある方の仕事です。
STAP細胞事件では長年にわたって論文不正を監視してきた11jigen氏のブログが注目されました。
ブログ外国でのサーバリックス副作用も貴重なブログであると思います。

 

4.原因解明がなぜ重要なのか


私は副反応について、原因解明が非常に重要と考えています。
それには2つの理由があります。
1つは副反応被害者の治療のためです。
合同会議の結論である心身反応説では、
カウンセリングやリハビリという治療が示されています。
しかし、もしこの副反応の原因が心身反応でないのなら、
正しい治療の機会を奪うことになりかねません。
心身反応でない原因があるのならば、
あるいは心身反応以外の原因がある可能性が否定できない状況であれば、
副反応の原因を心身反応と断定してしまうことは許されません。
万一結果的に副反応の原因が心身反応であったとしても、
他の原因を模索することは必要です。
2つ目は潜在被害者の問題です。
水俣病を例に考えてみましょう。
水俣病が心身反応と結論づけられたとします。
その時、水俣病は現に症状のある患者だけの問題となります。
しかし、実際は有機水銀中毒でした。
有機水銀中毒が原因であるとなれば、
有機水銀に曝露した多くの人達が、たとえ症状は軽くても、あるいは胎児被爆した人も、水俣病の患者として適切な治療を受ける機会を持ちます。
原因次第で患者の範囲は大きく異なるでしょう。
本来適切な治療を受けなければならない人が放置されるのを防ぐためにも、
原因をしっかり究明する必要があります。
原因解明を加速すべきです。

5.子宮頸がん検診を受けよう


HPVワクチン副反応は心身反応であるかもしれません。
その可能性は非常に低いと考えますが、
他の原因が確定していない現時点ではその可能性も皆無ではありません。
その場合、リスクよりもベネフィットの方が明らかに大きいと言えます。
リスクを知った上でワクチン接種を受ける選択は合理的選択です。
もし副反応の原因が他にある場合、たとえばアルミ毒性反応であった場合、
リスクは現在考えられている所よりも大きくなるでしょう。
重篤な症状の患者数をかなり上回る数の人が、
自覚症状のない程度の症状(たとえば軽度の記憶力低下)を経験するかもしれません。
私見では、その場合でもリスクよりもベネフィットの方が大きいのではないか、
と現時点では考えています。
未確定の要素はありますが、現時点で考えればHPVワクチンのベネフィットはリスクよりも大きい、と個人的には考えています。
しかし、副反応について十分解明されているとは言えない現状では、
HPVワクチン接種を受けないという選択もまた合理的な選択だと思います。
そこで、皆さんに伝えたいことがあります。
HPVワクチンを選択するにしても、選択しないにしても、
子宮頸がん検診は必ず受けるようにしましょう。
子宮頸がん検診を忌避する理由は何一つありません。
日本の子宮頸がん検診率は恥ずかしいほど低いレベルです。
HPVワクチン問題を契機として検診率が他の先進国並みになれば、
子宮頸がん死亡率は劇的に下がります。
一人でも多くの女性が子宮頸がん検診を受けるようになる事を願っています。

2013年7月7日日曜日

副作用からユーザーを守るという姿勢

子宮頸がんワクチンの問題について補足


私は子宮頸がんワクチンの問題について発言してきました(再論 窒息するHPVワクチンとピルなど)。
子宮頸がんワクチンの問題について、2つ残念に思うことがあります。
1つは、賛成・推進派が科学的態度を貫徹できなかったことです。
2つは、賛成・推進派が接種者を守る姿勢を貫徹できなかったことです。
この2つはおそらく無関係ではなく、つながりがあると思います。
前者について、少し補足しておきます。
ワクチン接種を受けた女性に重篤な副反応の事例が生じていました。
特に注目すべきは慢性疼痛(chronic pain)の症例でした。
子宮頸がんワクチンの副反応については世界各国の膨大なデータがあります。
しかし、その中に慢性疼痛の症例はありませんでした。
(WHOの2013.6.13付け文書GACVS Safety update on HPVV Vaccinesは同様の兆候は他地域にないと指摘しています)
経験知に反する事象に遭遇した場合、
経験知に修正が必要かどうか検討するのが科学的態度です。
経験知に反する事象に目をつぶるのは科学的態度ではありません。
ところが、反対派のトンデモ批判を展開していた賛成・推進派が、
科学的態度を貫徹できませんでした。
だから、私は苦言(窒息するHPVワクチンとピル)を書きました。
日本でおきていた経験知に反するかもしれない事象について、
最も敏感に反応すべきは本来ワクチン賛成・推進派でした。
賛成・推進派に副反応から接種者を守るという姿勢があれば、
慢性疼痛の症例に注目すべきだったのにそれができませんでした。
それどころか、ただただワクチンの有効性・安全性の啓発にだけ力を入れたのです。
5月の時点で、日本の子宮頸がんワクチンは挫折すると確信しましたが、
5月の苦言を書いた1ヶ月後には挫折を迎えました。


子宮頸がんワクチンの教訓


 2013年6月、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の勧奨が中止されることになりました。
一連の経過から正しい教訓を引き出さなければ、同様のことが繰り返されることになるでしょう。
今回の顛末の背景には子宮頸がんワクチンに限らない構造的問題があると、
私は考えています。
およそ何事にも、賛成する者がおり反対する者がいます。
賛否両派が現れることは、自然なことです。
子宮頸がんワクチンについても、推進派と反対派が現れました。
ただ、日本は社会主義国だという特殊な事情があります。
そうです、日本は社会主義国なのです。
社会主義国である日本では、
賛成・推進派は強力な官業共同体を作ります。
その結果、【官業共同体】対【反対グループ】という対立構造となります。



この構図は子宮頸がんワクチンだけでなく、日本でよく見られる構図です。
この構図における両者の言説は、往々にして官業共同体の側に理があります。
反対グループは情報量で圧倒的に劣勢だからです。
トンデモ言説が含まれることも珍しくありません。
子宮頸がんワクチン反対派の言説も、例に違わずトンデモ言説を含むものでした。
反対グループが生まれるのは、
その背後に広範な一般人の不安や懐疑が存在するからです。
(反対派の言説が、不安や懐疑を生み出す側面もありますが)
不安や懐疑を背景とするために、
その言説が合理性を欠くことはある意味で仕方のないことです。
このような状況を賛成・推進派から見ると、
「お馬鹿な素人がトンデモ説を振りまき、それに影響される一般人がいる」
と見えます。
そこで賛成・推進派は2つの対応を取ります。
1つは、反対派のトンデモ叩きです。
2つは、一般人に向けて安全性と有用性を啓発することです。
【官業共同体】対【反対グループ】のゲームは、
【官業共同体】の勝利で終わるはずでした。
ところが、【官業共同体】側に落とし穴が待っていました。
【官業共同体】側は、ひたすら安全性の啓発に力を入れましたので、
現実に接種者に起きているかもしれない問題を直視できませんでした。
当事者の現実の安全性を直視しない安全論が支持を失うのは、
当然のことでした。


ピルを窒息させる官業共同体の安全論


子宮頸がんワクチンについての顛末は、ドラスティックな展開をたどりました。
ピルについても子宮頸がんワクチンと同じ構図があるのですが、
やや異なる点があります。
現在、ピルについては目に見える形の反対グループは、存在しないと言ってもよいほどです。
そこで、反対グループの代わりに「偏見」を持つ一般人が、ターゲットとされています。
もうひとつの相違点は、目に見える反対グループとの緊張関係がないため、
官業共同体の側に非科学的・非合理的言説が混入しています。
この2点の相違点はありますが、基本的には子宮頸がんワクチン賛成・推進と同じ官業共同体ができています。



当サイトの立ち位置は、「当事者・当事者サポート」になります。
官業共同体と当事者では、当然のことながら利害の相違が存在します。
当ブログでは、「ルナベル・ヤーズの錬金術」の記事を書き、
ピルの価格が高すぎることを批判しました。
これは立場が違うのだから主張が異なってくる一例です。
しかし、安全性の問題については立場の相違は関係ないはずだし、
一致できるはずです。
ところが、そうはなっていない不幸があります。


副作用のない薬など、存在しません。
上記のツイートで取り上げたサイトや書籍は極端かもしれませんが、
官業共同体の賛成・推進派が副作用について積極的に語りたがらない傾向のあることは否めないでしょう。
ピルの副作用でもっとも注意しなくてはならないのは、血栓です。
頻度は低くてもピルユーザーには血栓症が発症するリスクがあります。
欧米ではピルユーザーに血栓症が現れても、
重篤な事態を避けるために厳重な注意が呼びかけられています。
たとえ、血栓ができても早期に対応すれば、重篤な事態を避けることが可能だからです。
「ピルとのつきあい方」は、血栓について説明し注意を呼びかけてきました。
 こんな血栓症の兆候に注意
「ピルは副作用は全くありません」は論外で、
血栓症の初期症状に対する注意を呼びかけるのはピルに関するサイトの最低限の要件でしょう。
ところが、日本ではそうなっていません。
副作用からピルユーザーを守る姿勢が感じられません。
ちなみに、

という問題もあります。
たしかに、血栓症の諸症状は同時に現れることが多いので、医学的な説明としては間違いではないでしょう。
しかし、欧米のピルユーザーは、1つでも気になる症状が現れたら対応するように求められています。
手遅れになるより、過敏対応の方がよいと思うのですが。

あるテレビ番組でも、ピルの副作用について語られていました。
http://archive.is/RHuvm
吐き気が黄体ホルモンのためとかのトンデモ学説まで飛び出しています。
副作用「偏見」を打ち消そうと必死なのですが、
おそらくピル離れを進めるだけでしょう。
もし仮に「ピルは副作用は全くありません」が科学的事実であったとしてもです、
一般の女性にとって副作用があるかないかが問題ではないのです。
副作用からピルユーザーを守る姿勢が感じられるか、感じられないかが問題なのです。
「ピルとのつきあい方」は副作用についての知見をありのままに伝えようとしています。
その「ピルとのつきあい方」を信頼できないサイトと批判するのは自由ですが、
そのことがピルそのものをアビューズしているように思えます。
副作用からユーザーを守るという姿勢の感じられない人々のピル推奨が、
受け入れられるとは思えません。
子宮頸がんワクチン挫折の教訓を学ぶべきではないでしょうか。

2013年6月19日水曜日

再論 窒息するHPVワクチンとピル

5月16日に開かれた厚生労働省のワクチンの安全性を検討する専門家会議では、5人の委員全員一致で接種継続が決定されました。その決定に関して、当ブログは「窒息するHPVワクチンとピル」を公開しました。
ワクチン推進がかえってワクチンを窒息させる、との趣旨でした。

それから1ヶ月後、6月14日に開かれた厚生労働省のワクチンの安全性を検討する専門家会議は、子宮頸がんワクチンについて接種呼びかけを中止する決定を行いました。
「子宮頸がんワクチン 接種呼びかけ中止へ」2013年(平成25年)6月19日 NHK News Web

まさに、子宮頸がんワクチンは窒息状態に追い込まれたのです。
この一ヶ月の間、何も新しい事実が明らかになったわけではありません。
呼びかけ中止を決定した6月会議について、以下のように報道されています。

接種したあと体中の痛みを訴えるケースが33例あり、このうち8例は回復していないことが報告され、専門家会議は「接種との因果関係も否定できない」と判断しました。

このような事実は5月会議時点で分かっていたことです。
何が専門家会議の結論を逆転させたのでしょうか。
私は前のブログで、推進派の言動が信頼を失っていると書きました。
そのことに気づかず突っ走れば、いよいよ傷口が広がるとの思いでした。
私の発言について、堀成美氏が耳を傾けて下さいました。堀氏の見識には敬意を表したいと思います。
しかし、堀氏は例外で、多くの専門家は問題がどこにあるのかさえ、理解できなかったのではないかと考えます。
日本の国民は世界一知的レベルの高い国民です。
あのようなぐうたら会議を見せつけられては、
接種率が急低下するのは自明のことでした。
専門家会議の結論ではなく専門家会議の審議経過に国民がNOを突きつけた結果が、
6月会議の結論ではなかったかと思います。

このことについて、もう少し詳しく書きましょう。
私は、「この委員会のもとで、ワクチン接種が継続されることに同意できなかったのです」と書きました。
専門家会議のメンバーは、ワクチン接種により一定比率で複合性局所疼痛症候群(CRPS)などの副反応が生じる事は当然知っています。
会議には「子宮頸がん予防ワクチン接種後の疼痛関連症例等について」の資料も提出されています。
この資料には海外での報告も付されています。
海外の事例は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)として理解できる範囲です。
海外と較べて日本の副反応頻度が高いか低いかは、
副反応報告のシステムが異なるので即座には判断できません。
もし仮に日本が副反応報告システムの整備された国だったとしても(実際は違いますが)、
日本の頻度は高すぎるのではないかとの疑問は拭えません。
また、海外で報告されていないタイプの有害事象が生じている可能性も否定できません。
これらの点について解明するには時間がかかります。
子宮頸がんワクチンは緊急性の低いワクチンであり、
疑問点が解明されるまで中止してもよいのではないかと考えました。
ワクチン接種女性の安全を守るつもりなら、
当然議論されるべき事だし説明されるべき事です。
それがなされていないことに、怒りを覚えたのです。

前の記事では、「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」による情報提供のあり方に対して問題を提起しました。
同サイトだけでなく、メーカーがらみのいわゆる公的サイトには、
副反応(副作用)についての情報が恐ろしくなるほど欠落しています。
このような広報の仕方では女性の信頼は得られません。
かえって、ワクチンは窒息してしまうのです。
日本の国民は賢いのです。
よい情報、悪い情報、包み隠さず情報を出していけば、
賢い選択をします。
この点を、考えてほしいと願っています。

同じ事がピルについてはもっと言えます。
「ピルとのつきあい方」は、ピルを頭で飲もうと提唱してきました。
当サイトについては毀誉褒貶があるようですが、
当サイトがなければ日本のピルはとっくに窒息していたかもしれません。
製薬メーカーの情報で、あるいはそのステマライクな情報で、
ピルが普及するはずがないことに気づいてほしいものです。

子宮頸がんワクチンは、接種者の判断に委ねられることになりました。
当然接種率は惨憺たる状態になるでしょう。
しかし、私はそれを嘆きません。
子宮頸がんワクチンは明らかに有効です。
もし日本のワクチン接種に副反応頻度を高めている要因があるなら、
それを解明し改善していけばいいのです。
それでも副反応をゼロにすることは出来ません。
副反応について、反ワクチン派よりももっと徹底的に情報を開示すべきなのです。
隠し事のない自由な言説により、正しい判断が導かれます。
それは「啓発」によって導かれた行動よりも価値ある行動です。
その第一歩が踏み出されたと思っています。

2013年5月18日土曜日

窒息するHPVワクチンとピル


直接のきっかけ

5月16日、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会「副反応検討部会」が開かれました。
そのニュースです。



このニュースには書かれていませんが、桃井真里子部会長は全員に意見表明を求めましたが、発言しない委員もいました。そして、全員一致で継続が決まりました。
このニュースはある意味でショックでした。
ただ単に継続という結論が出されただけならば、それほど驚きません。
継続という結論にも一理あります。
しかし、中止という結論にも一理あるのです。
子宮頸がんワクチンは緊急性が高いとは言えません。
未解明の点があるならば、この際一旦中止して徹底的な調査をするという考えも成り立ちます。
現在までに報告されている副反応について、必ずしも精査されていないのが現状です。
海外のデータよりも高い頻度で重篤な症状が出ている可能性も否定できません。
データの正確性や信憑性は精査してみないとわからないことなのに、
データに問題があると決めつけるのは予断です。
命に関わる問題を考える際に、予断を排することは鉄則だと思います。
予断を排して考えれば、万が一にも想像外の事態が生じているかもしれないと考え得る状況があります。
そうであれば、中止を主張する委員が一人くらいいてもよかったでしょう。
ところが、そのような意見表明は一人もなかったことがショックなのです。
この委員会のもとで、ワクチン接種が継続されることに同意できなかったのです。
※多様な価値観


何がワクチンを窒息させるのか

私はこれまで、子宮頸がんワクチンについていくつかの記事を書いてきました。
よろしければ、子宮頸がんのタグをクリックしてお読みください。
これまでの記事で、ピルと子宮頸がんワクチンの類似性について語っています。
この両者には多くの類似点がありますが、
どちらも価値観が関係する点で共通しています。
ピルがなくても避妊は出来ます。
ピルを選ぶかどうかは価値観の問題です。
ワクチンがなくても子宮頸がんは防げるかもしれないし、
子宮頸がんにならない人の方が大多数です。
それでもワクチンを選ぶかどうかは価値観の問題です。
このことがどれほど理解されているのか、
疑問に思うことが多々ありました。
一つ例を挙げましょう。
先から先の結論まで決まっていて、
その結論にそって啓発されるべきことのようなのです。


子宮頸がん征圧をめざす専門家会議の実行委員の先生が、
ワクチン接種場所について話をされました。
産婦人科での接種が1割に過ぎないと、
うらみがましく長々と話をするのです。

保存ページ

子宮頸がん征圧をめざす専門家会議のサイトには、
子宮なんでも辞典  >  月経痛と月経困難症の悩みありますか?
などという親切なページもあります。
そして産婦人科受診を奨める内容です。

保存ページ

極めつけ。

子宮頸がん征圧のためには産婦人科受診が重要だ、はその通りかもしれません。
それならそれでそのように書けばいいでしょう。
ところが、そろいもそろって回りくどい書き方になっています。
なぜでしょう。
あるべき行動規範は考えたり選択したりする余地のないもののようで、
いかに誘導するかに意が用いられているように思えます。

しかし、結論ありきの誘導は別のメッセージを発してしまいます。
それらの言説が「ワクチンでお金儲けしたい産婦人科病院からのメッセージ」になっていることに気づかないのでしょうか?
おまけに太鼓持が子宮頸がんへの偏見を助長する言説を振りまいていたピルの普及推進をうたう団体だったりすると、
子宮頸がん征圧よりも産婦人科誘導が本音と見られてしまいます。
さらにその団体のfacebookページを見ると、
産婦人科医がぞろぞろフォローしています。
最悪のパターンです。
このような状況はワクチンに名を借りた営業キャンペーンのメッセージにしか見えなくします。
こうして、ワクチンもピルも窒息していくのです。


自分の言葉で語ることの大切さ

子宮頸がん征圧をめざす専門家会議の実行委員の先生の話を取り上げました。
実際に子宮頸がんの患者と接しているのは産婦人科医です。
もし、産婦人科医としての自らの経験を語り、
ワクチンが小児科の病院でも場合によっては精神科の病院でもうけれる状況になっていることを産婦人科医師としてうれしく思うと語ったならば、
全然別のメーセージになったでしょう。
産婦人科業界のためにワクチンを推進しているのではなく、
女性の健康のためにワクチンを推進しているとのメッセージを発することができたのです。
しかし、現実は残念なことにことごとく逆のメッセージになっています。

ワクチンやピルが選ばれるかどうかは、
最後は価値観の問題です。
そのことに気づいているのだろうかと思うことがあります。
子宮頸がん征圧をめざす専門家会議のような組織が無意味だとはいいませんが、
もっと大事なことは自分の言葉で語る「人」です。
「ピルとのつきあい方」は個人サイトだとNPOにいつも馬鹿にされています。
でも、それはピルについてわかっていないことの証明です。
彼らは正しい一つの価値観、正しい一つの知識があると信じているようですが、
実際は100人に100通りのピルがあります。
100人が100通りのピルを語ることが大切なのです。
ワクチンについても同じ事が言えます。
ワクチンについていくら啓発しても、
ワクチンについて子宮頸がんについて語る人がいなければ、
それは枯れてしまいます。
ワクチンを一旦中止にすると復活するには大きなエネルギーが必要となります。
ワクチンがなくなれば組織は吹っ飛んでしまうかもしれません。
ワクチンがなくなっても、ワクチンが必要だと語る人。
そのような人の声でワクチンを再構築する方が、
遠回りのようで近道かもしれないと思うのです。
ワクチンやピルは権威や集団の力で普及させることはできません。
自分の言葉で語る人が必要です。
権威や集団の力で普及させようとすると、
自分の言葉で語る人がいなくなり窒息してしまうのです。

たとえばこんな形(2013.5.21追加)。
自分の言葉で語る「人」の1つの言葉は、100万人の巨大組織による啓発にも優るように思えます。

科学言説のメッセージ

ワクチンには反対運動があります。
反対運動の言説には科学的に見て間違いの言説が含まれています。
科学的間違いを指摘することは重要ですし、
そのような努力も行われています。
しかし、現在の日本の状況を見ると、
非科学的言説が支持され広がりを見せています。
なぜ反ワクチン言説が広がるのでしょうか。
反ワクチン言説は元々は個人の思いに発しています。
副作用の被害者を出してはならないとのメッセージを反ワクチン言説が発しているから、
支持されるのだと思います。
一方、ワクチン推進言説はどうでしょうか。
本来、子宮頸がんの不幸を克服したいとのメッセージとなるはずなのに、
そのメッセージが感じられないものになっています。
なぜでしょう。
それはメッセージが本来個人的なものだからです。
個人には思いがありますが、組織には「こころ」がないのです。
組織から発せられる言説でメッセージを伝えることはできなくはないのですが、
それはかなり難しいことです。
子宮頸がん征圧をめざす専門家会議のサイトについて以下のようにコメントしました。

  http://www.cczeropro.jp/kenshin/uservoice/index.html修行の足りない広告屋が作った「たまたま物語」。文体が同じで同一人物の作文と見え見えなのだが、「プライバシー保護のため、実際の体験に少し変更を加えてご紹介しています」などというギャグ付き。

このようなフィクションっぽい内容が含まれると、
真実性が揺らいでしまいます。
もう、一点。
メッセージはもともと個人的なものなので、
言説の主の言動とあわせて評価されます。
多くの産婦人科医が子宮頸がんワクチンの普及に努力しています。
そして科学的真実を啓発しようとしています。
しかし、その産婦人科医がトンデモグループを支持したり、
合理的説明のつかないピルの服用法について沈黙し続けたりしているのを見れば、
その言説のメッセージは失われてしまいます。
なぜ反ワクチン言説が広まるのか、
なぜワクチン推進言説は信用されないのか、
考えてみる必要があるでしょう。


理想主義的かもしれませんが、女性の願いが社会的合意となるような「下からの」運動が欠如していて、「上からの」啓発で普及させようとするところに、問題があるのではないでしょうか。そのような中では、安全への願いが顧慮されるかも心配です。冒頭で述べた予防接種・ワクチン分科会「副反応検討部会」の審議は、その心配を裏付けてしまいました。医師が審議し医師が啓発する現在の仕組みに代わる新しい枠組みが必要ではないか、と考えるに至ったのです。
本当に必要なのは子宮頸がん征圧をめざす専門家会議ではなく、子宮頸がん征圧をめざす市民会議ではないでしょうか。そして、専門家も一市民として発言するのであれば、大きな力になるでしょう。私たちは皆、心を持つ一人の人間です。社会を進歩させ歴史を変えるのは、小さな市民の大きな心なのです。

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この記事に関連するツイート



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江夏亜希子氏の批判(感想?)に応える(2013.5.22)











おまけ

2013年2月10日日曜日

政治的医療情報のツケ

根深い医療情報不信

子宮頸がんワクチンについての「発言小町」の投稿から、
一連の子宮頸がんについてのエントリーを始めました。
http://finedayspill.blogspot.jp/2013/02/blog-post.html
子宮頸がんワクチンについては世界各国で似たような議論があります。
しかし、「発言小町」の投稿には、明らかに他国には見られない特徴があります。
それは根深い医療情報不信です。
医療情報は真実を語っていないのではないか、
都合の悪い情報が隠されているのではないか、
都合のよう情報だけ伝えられているのではないか、
という不信感が子宮頸がんワクチンへの懐疑論に繋がっています。
ここには陰謀史観だといって片付けられない問題があります。
子宮頸がん偏見問題では患者さんのブログを取り上げました。
その中でも、偏見が医療者によって語られることについて不満が表明されていました。
昨日のブログでは、和田秀樹医師のブログを取り上げました。
これも子宮頸がん偏見を助長する内容です。
日本の医療者の質が低いわけでは決してないのですが、
日本の医療者にはある習性が染みついているように見えます。
それを端的に示すのが和田氏の言葉、
「なんで、こんな妄想的な話をしたかというと、
子供の教育には、子供の性教育には使えると思ったからだ」

のように思えます。
「妄想的な話」の蔓延について考えてみることにします。

やっと事実が伝えられるようになった

現在、子宮頸がん偏見を明確に否定する言説が伝えられるようになっています。
たとえば、「子宮頸がん予防情報サイト もっと守ろう.jp」には、
以下のような記述があります。
性交渉が頻繁な方が、子宮頸がんになりやすいの?子宮頸がんの原因となるHPVは、性交渉の経験のある人なら誰でも一生に一度は感染する可能性のあるごくありふれたウイルスです。HPVの感染自身は決して特別なものではありません。
また、HPVに感染してもその殆どが自然になおり、ごく一部の持続的に感染が続く女性が子宮頸がんを発症すると言われています。またHPV感染だけでは、すぐがんにならないことも知られています。
しかし、子宮頸がんは性交渉によるHPV感染が原因で起こるということから、「性交渉が頻繁な人がなりやすい」という誤った認識がされることがあります。
コンドームでの感染予防はあまり期待できません。


また、「しきゅうのお知らせ 子宮頸がん基礎知識」にも、
以下のような記述があります。
HPVは、すべての女性の約80%が一生に一度は感染していると報告があるほどとてもありふれたウイルス。そのため、性行動のあるすべての女性が子宮頸がんになる可能性を持っています。
HPVの子宮頸部への感染は、外陰部における粘膜と粘膜の接触により起こります。コンドームでは外陰部全てを守ることはできないため、HPVは女性の腟や外陰部などから子宮頸部へ感染します。したがって、コンドームではHPVの子宮頸部への感染を完全に予防することはできません。


上記のどちらも子宮頸がんワクチンの啓発サイトです。
2つの子宮頸がんワクチン啓発サイトが、
子宮頸がん偏見を否定する同様な記述を掲げています。
これは、おそらく偶然ではありません。


なぜ偏見は垂れ流しにされたのか?


和田秀樹医師は、「なんで、こんな妄想的な話をしたかというと、
子供の教育には、子供の性教育には使えると思ったからだ」

と正直に書いています。
これこそ、偏見が垂れ流しにされた理由です。
ピルの普及を推進するという看板で、
コンドームの普及推進活動をしているグループがあります。
そのグループは「コンドームの普及」という目的のために、
奇妙な言説を総動員します。

「知識を深め、正しく利用してほしい
下品な言い方ですが「ナマで中出し」ということは
極端ではありますが妊娠もするしガンになる率を高めるリスクを負う
ということをご存知でしょうか。
「ピルでガンになる(なりませんが)」という心配をする人はいても、
無防備なセックスが、性病だけでなく子宮頸ガンになるリスクを高める」
という事実は意外に知らない人が多いです。」
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=21535801&comm_id=29074&page=1&from=first_page


コンドームのHPV感染防止効果は限定的ですがないわけではありません。
HPV感染防止効果があれば子宮頸がん予防効果もあるだろう、
との推測も間違いとは言えません。
この点について、『低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)』は、
ピルユーザーで子宮頸がんが増加するとした研究について、
「バリア避妊法・・・のバイアスを考慮しても、結果は変わらなかった」
と指摘しています。
つまり、ピルユーザーにコンドームを使用しない人の多いことの影響ではなかった、
と述べているのです。
彼らはこのような自らの目的に不都合な知見は無視して、
コンドームを使用しないと子宮頸がんリスクが高まると断言しています。

さらにこのグループと関係の深い医師は、
「私も、自分がHPVに感染するまで「お互い検査をして何も検出されなければ、
特定の相手とならコンドームは必須ではないのでは?」と考えていました。
でも、結婚を考えていた相手との間でHPV感染が分かり
(結婚しようと思ってコンドームを使わなくなったとたんの感染でしたね~)、
「妊娠を目指すまでは絶対にコンドームは外すべきではない!」と自信を持って言えるようになりました。」


とのコメントを寄せています。
同医師が「コンドームを使わなくなったとたんの感染」と考えるのは、
コンドームの完全な感染防止効果を前提としているように思えます。
「妊娠を目指すまでは絶対にコンドームは外すべきではない!」は、
ご立派なご信条としか言いようがありません。
このグループの考えと和田秀樹医師のそれはとてもよく似ています。
「コンドームを使用させる」という目的のために、
コンドームをつけないと子宮頸がんになるぞと脅しているのです。
和田医師の場合は、「不特定多数とセックス」は子宮頸がんになるぞとも脅しています。



目的が正当であれば

科学的根拠の希薄な言説を弄する人達は、
全く恥じることがありません。
批判されることもほとんどありません。
彼らは言います、
コンドームはつけた方がいいだろ?、
不特定多数とセックスはしない方がいいだろ?、
当たり前じゃない?、と。
目的が正当であれば少々の誤ったあるいは不確実な説明も許される、
という文化が日本にはあります。
「嘘も方便」なのです。
「嘘も方便」は封建君主の好んだ思想です。
封建君主的バタ-ナリズムの継承者は医療関係者なのかもしれません。
ただ、この文化は一般国民にも広く継承されています。
同じ意見の人の間に心理的連帯感が生まれることがあります。
これはどこの国でも同じです。
ところが、日本では心理的連帯感を共有する「仲間」の中では、
相互批判が行われなくなります。
ムラが作られるのです。
私自身は、日本の国土で原発を続けていくことは、
メリットよりもデメリットの方が大きいと考えています。
いわば、脱原発派です。
3.11以後ネット空間上に脱原発派が生じましたが、
それが巨大な脱原発派ムラになっていることに失望しました。
「嘘も方便」の文化は私たちの身近に存在するのではないでしょうか。
そしてそのツケを払うのは一般国民です。
「正しい目的」のための手段として流布される偏見的医療情報は医療情報不信を生み、
医療情報不信から生み出される情報が健康利益を損ないます。

2013年2月9日土曜日

和田秀樹氏のオフィシャルブログ「テレビで言えないホントの話」に異議あり

精神科医和田秀樹氏のブログは、影響力のあるブログです。
そのブログの中で、和田氏は以下のように述べました。

和田秀樹オフィシャルブログ「テレビで言えないホントの話」
2013-02-04 09:08:22 教育で教えるべきこと
http://ameblo.jp/wadahideki/entry-11463354910.html
さて、また歌舞伎の大御所が亡くなった
ここからは私の勝手な妄想だが、やはり若いころに不特定多数の女性と交わるのは、
がんや白血病や免疫不全の原因になるように思えてならない
ウィルスというのは、少なくともDNAを変質させる
どんな危険があるのかわかっていないウィルスが多いがHPV,HCVをはじめ、
明らかにガンの原因になるものは多数見つかっている
大奥のように生娘を集めていても親から垂直感染を受けるということはあり得るだろうが、
やはりリスクは少ない
しかし、今のご時世は、不特定多数はかなり危険だということだろう
歌舞伎の世界というのは、(中略)
なんで、こんな妄想的な話をしたかというと、
子供の教育には、子供の性教育には使えると思ったからだ
日本じゃAIDSなんかないと思っているガキでも、あるいは少女でも、ガンは現実のものだ
あんまり遊んでいると、あるいはゴムを使わないと、
ガンになって若死にするぞと、こういうニュースを聞いて、子供に教える
テレビでは言えないが、子供にだって多少こたえるのではないか?
性教育というのは、セックスの勧めでなく、セックスがいかに怖いか、
リスクがあるか、妊娠などで女性を傷つけるかを教えるべきだ
自殺予防教育と、性の危険を教える教育は、ちゃんと保健体育の時間に入れてほしい
それが子供の命、大人になってからの命を守る教育というものだろう

体罰の全否定2013-02-05 16:34:09
http://ameblo.jp/wadahideki/entry-11464230104.html
昨日のブログで、不安になった人や、若くてがんになった人を責めるようで不快に思った人がいるようだ
私としても、そういう人を責めるつもりはさらさらない
また、もちろん若くてがんになった人がみんなセックスでウィルスが入ってきたせいだ
という非科学的なことを言うつもりはない
そういう人もいる可能性があると私が信じているだけだ
子宮頚がんだって、セックスの多い人のほうがなりやすいし、
HPVの感染症の説が強まっているが、
だからといって、なった人がみんな不純な交遊ということはないだろう
エイズにしても当初は性感染ばかりが注目されたが、薬害の人だっている
ただ、だからといって、エイズの予防のために不特定多数とセックスをするのはよくないとか、
きちんとゴムをつけろというのがいけないということにはならないだろう
そのほうが公益にかなっているし、若者には必要な啓蒙だからだろう
まだセックスでどのようにウィルスの感染が起こり、それがどの程度がんにつながるのかは、
よくわかっていないというのが真相だろう
でも、多少のリスクはあるのは確かだ
だから、私は自分の子どもにだったらそういうリスクを伝えると思う
少なくとも放射能が怖いからと言って、外に出さないというよりは、
リスク回避の上ではまともな親のやることだとは思う
学校現場でも、今、確実に、ゴムをつけないセックスが危ない例として、
エイズのほか、HCV、HPVの感染くらいは教えていいだろう


和田氏は精神科医ですが、一応医師です。
しかも、影響力のあるブログに書く内容としては、
杜撰すぎるのではないかと思います。
和田氏によれば、エイズもHCV(C型肝炎ウィルス)もHPVも同列になっています。
HCVは性交渉による感染はまれです。
HPVはエイズ(HIV)と大きく異なる点があります。
HPVとHIVの相違点を2点指摘しておきたいと思います。
まず、HPVですが良性・悪性の腫瘍を引き起こします。
悪性の腫瘍が子宮頸がんです。
HPVはHIVと異なり、常在菌とも言えるほどありふれたウイルスです。
女性で言えば少なくとも5割以上、恐らく8割の人が感染を経験します。
感染は非常に多いけれども、癌化を引き起こすのは1/1000とかの非常に低い確率です。
和田氏はHPVをコンドームで予防すると言います。
たしかに、コンドームで感染を一定程度抑えることはできますが、
常在菌とも言えるほどポピュラーな菌なのでコンドームの効果は限定的です。
コンドームをつけて子どもを作るわけにはいきませんから、
コンドームで予防するというのは万能の予防法ではありません。
このような事情で、5割とか割の人が感染を経験することになります。
この点が、HPVとHIVの相違点の第1です。
第2点は、別のエントリーでモデルを示して説明しました。
繰り返しになりますが、もう一度説明します。

第1のモデルは、男性1000人中1人が感染者である場合です。
男性経験の人数が多いほど感染者と当たる確率が高くなります。
100人の男性経験  10%
10人の男性経験  1%
3人の男性経験  0.3%
2人の男性経験  0.2%
1人の男性経験  0.1%
男性経験数と感染者に当たる確率は比例します。
このモデルでは男性経験が多いほど、感染リスクは高いことになります。

第2のモデルは、男性1000人中450人が感染者である場合です。
100人の男性経験  100%
10人の男性経験  100%
3人の男性経験  100%
2人の男性経験  90%
1人の男性経験  45%
この結果を統計処理すれば、
やはり男性経験数が多いほど感染者に当たる確率は高いということになります。
しかし、男性経験数が2人であろうと、3人であろうと、100人であろうと、
ほとんど確率は変わりません。

第1のモデルは感染者比率の低いHIV感染などに当てはまります。
このモデルでは「男性経験が多いほど、感染リスクは高い」は妥当します。
第2のモデルは感染者比率の高いHPV感染などに当てはまります。
このモデルでは「男性経験が多いほど、感染リスクは高い」は必ずしも妥当しません。
和田氏は、「子宮頚がんだって、セックスの多い人のほうがなりやすいし」と述べています。
「セックスの多い人」が単にセックスか数を意味するのなら全く当てはまりませんし、
男性経験が多い人を意味するのであっても当てはまりません。
このような偏見が百害あって一利もないことは、
こちらで述べています。
和田氏はご自身の考える性教育を行う目的のために、科学を手段として利用しようとするものです。
その言説はまさに政治目的のために科学をねじ曲げるものと言わねばなりません。

「差別なき偏見」の典型としての子宮頸がん偏見

偏見と差別の関係
世の中にはさまざまな偏見があります。
偏見はしばしば差別を生み出します。
差別とは理不尽で不利益な扱いです。
差別は偏見と結びついていることが多いのですが、
偏見は必ずしも差別と結びついていないことがあります。
社会の進歩と人々の努力によって差別は解消される方向に進んでいます。
しかし、差別がなくなることと偏見がなくなることは別です。
差別と結びつかない偏見は、
目に見えないのでとても厄介です。
これからは「差別なき偏見」がますます増えてくることになるでしょう。

「差別なき偏見」の厄介さ
ピルユーザーへの偏見について、
中迎聡氏は「男がどういう偏見持ってようが関係なくてだね
(服用するのは女性なんだから男性がどう思おうが服用できる)、」
とツイートしたことがあります。
この言説は見方によっては、2つの意味が込められています。
たとえ偏見の目で見られていても気にしないで乗り越えろ、
とする励ましの言葉だと考えられなくもありません。
しかし、もう一つの意味は偏見を気にする方に問題があるとして、
偏見を免罪する言説になっているとも考えられます。
中迎聡氏流の心の持ちよう論は何かと応用可能です。
「世間が女は○○という偏見持ってようが関係なくてだね
(△△するのは女性なんだから世間がどう思おうが△△できる)、」
中迎氏流を使えば、
全ての偏見を免罪し偏見を受ける側の問題に還元することができます。
しかも、偏見を受ける側の人を励ます言説だと強弁することさえできます。
「差別なき偏見」の厄介さは、心構え論に還元されるだけではありません。
「差別なき偏見」は、見解の相違論でうやむやにされてしまいます。
差別は事実として語ることができますが、
偏見は意識なので「誰がそんなこと思っているの?」で逃げられてしまうのです。
「差別なき偏見」の厄介さ子宮頸がん偏見を例に見てみましょう。

子宮頸がん偏見について
子宮頸がん患者が社会的に不利益な取扱をされていることは、
恐らくないでしょう。
つまり、差別はないと考えてもよいでしょう。
しかし、先日のブログで見たように、
子宮頸がん患者に対する偏見は存在します。
その偏見は、
「性交開始年齢が早く、不特定多数の男性とセックス経験がある女性が子宮頸がんになりやすい」
というものです。
子宮頸がん患者がこのような目で見られることに嫌悪感を持つのは当然と思います。
まさに「差別なき偏見」のパターンなのです。
「差別なき偏見」はいったん広まってしまうと、
その解消には絶望的なくらい多大なエネルギーを要します。
「差別なき偏見」の仕組みについて考えてみます。

①露見しにくさ
患者さんのブログでは、明確に偏見の存在を問題視しています。
しかし、偏見の対象となっている人が偏見に異議を唱えることはまれです。
なぜなら、患者さん自身が偏見を知っていれば、
子宮頸がんであることをカミングアウトしません。
カミングアウトしなければ、
この偏見は露呈しないのです。
患者さんが偏見を知らずにカミングアウトしたとしても、
周囲が直接この偏見を本人に伝えることもまれです。
偏見が露呈しなければ、それを糺そうという声も上がりません。
この偏見は露呈することなく、じわじわ広がっていくのです。

②当人による受け入れ
患者さんのブログを見ると、偏見の存在に気づく気づき方も様々ですし、
偏見に理由がないことを知るきっかけも様々なようです。
ブログは偏見の不条理に気づいた人が書いています。
しかし、この偏見が偏見であると当人は気づきにくいのです。
「性交開始年齢が早い」といえば、ある程度の人が自分に当てはまると考えます。
「複数の男性と性交渉がある」といえば、ある程度の人が自分に当てはまると考えます。
そのために、あるいは自責の念を持ち、あるいは後悔する人がいます。
この偏見は当人によって受け入れられていることが少なくありません。

③真実性
この偏見は医療関係者によって語られることが多く、
そうかもしれないという真実性の響きを持っています。
しかし、一面の真実が紛れもない真実として語られることも少なくありません。
「男性経験が多いほど子宮頸がんにかかるリスクが高い」について
具体的モデルを上げて考えてみましょう。

もし、男性1000人中1人がHPV感染者である場合、
男性経験の人数が多いほどHPV感染者と当たる確率が高くなります。
100人の男性経験  10%
10人の男性経験  1%
3人の男性経験  0.3%
2人の男性経験  0.2%
1人の男性経験  0.1%
男性経験数とHPV感染者に当たる確率は比例します。
このモデルでは男性経験が多いほど、子宮頸がんリスクは高いことになります。

しかし、HPV感染は少なくとも50%、おそらくは80%の人が経験するほどポピュラーな感染です。
そこで男性1000人中450人が感染者である場合を考えてみます。
100人の男性経験  100%
10人の男性経験  100%
3人の男性経験  100%
2人の男性経験  90%
1人の男性経験  45%
この結果を統計処理すれば、
やはり男性経験数が多いほどHPV感染者に当たる確率は高いということになります。
しかし、男性経験数が2人であろうと、3人であろうと、100人であろうと、
ほとんど確率は変わりません。

HIV感染は上のモデルに近く、HPV感染は下のモデルに近いのです。
一般人はこのようなからくりを知らないので、
「男性経験が多いほど子宮頸がんにかかるリスクが高い」を真に受けてしまいます。

④道徳性のメッセージ
「男性経験が多いほど子宮頸がんにかかるリスクが高い」や
「性交開始年齢が早いほど子宮頸がんにかかるリスクが高い」は、
貞淑な女性を善とする道徳感情にマッチします。
道徳感情にマッチする言説はより多くの人に受け入れられる傾向があります。

⑤政治的誘導
政治は政策実現に都合のよい「科学的成果」を取り入れようとします。
子宮頸がんについての偏見は、性感染症の拡大防止の政策に好都合なので放置し、
場合によっては偏見の拡大を誘導します。

なぜ偏見の除去が必要なのか
この偏見が子宮頸がん患者さんを傷つけ、
あるいは必要のない後悔を強いています。
これがこの偏見を除去したいと思う理由です。
子宮頸がん偏見は当事者だけの問題ではありません。
子宮頸がんを減らす決め手は、ワクチンと検診です。
ところが、このような偏見が広まれば、
ワクチンや検診の妨げとなります。
日本の検診率はようやく30%に達するかどうかというレベルです。
先進国中でダントツの最悪検診率です。
これを他の先進国並みに上げていくには、
性経験のある女性なら誰でも可能性があるとの認識が不可欠です。
ところが、この偏見は正しい認識普及の障害となります。
検診を必要ないと思う女性や検診を躊躇する女性がでれば、
子宮癌当事者でない女性の健康利益にも反します。
子宮頸がん当事者のために、そしてわたしたち自身のために、
この偏見をなくしていきたいものです。

つけたし
子宮頸がん偏見は、他の偏見や差別と非常に似ています。
女性に対する、ピルに対する、・・・偏見や差別。
ピルユーザーは理不尽な偏見や差別を許さない独立自尊の人であってほしい、
と密かに願っています。

2013年2月7日木曜日

子宮頸がんに対する偏見をなくそうよ


上は過日のツイートです。
子宮頸がんを性感染症の一種と考えると、
どうしても偏見が生まれ患者さんを二重に苦しめることになります。

「子宮頸がん 偏見 ブログ」で検索してみて下さい。

子宮頸がん患者さんへの偏見が、患者さんを二重に苦しめています。

ピルと子宮頸がんに対する偏見は、
日本と一部アジアの国に独特です。
私は以前、
「広がる偏見『ピルはビッチな薬、ヤリマンの薬』についてのツイート」をまとめました。
ピルと子宮頸がんに対する偏見は、根っこは一つであると考えます。
偏見が広がるには必ず原因があり、
しかも目につきにくい形で広がります。
それは自然になくなるものではありません。
偏見をなくすには毅然として偏見に立ち向かう力が必要です。

子宮頸がんに対する偏見について考えてみることにします。
ニキビはアクネ菌によって引き起こされます。
しかし、「アクネ菌が付着するとニキビができる」は正しくありません。
アクネ菌は子どももお年寄りも男も女も皆持っている菌です。
身体にアクネ菌が付着しても必ずニキビになるわけではありません。
体調がアクネ菌の増殖に好条件になるとニキビができます。
理屈の上ではアクネ菌の付着を避ければニキビにはなりませんが、
アクネ菌はそこら中にいる菌なので付着を防ぐことは不可能です。
ニキビとアクネ菌の関係は、子宮頸がんとHPVの関係と似ています。
子宮頸がんの多くはHPVウイルスによって引き起こされます。
このウイルスも常在菌と言えるほどポピュラーです。
男性も女性もほとんどの人が感染しますが、
自然に消滅しています。
身体の抵抗力が低くなるなど何かの条件があると、
消滅せずに子宮頸がんを引き起こします。
アクネ菌とHPVに違いがあるとすれば、
HPVは性交渉により膣内に運ばれる点です。
性交渉がなければHPVが膣内に運ばれるチャンスはほとんどないでしょうが、
性交渉がある限りHPVが膣内に運ばれるチャンスは皆同じです。

上に書いたことを疫学データで確認してみましょう。
こちらにピルユーザーと非ピルユーザーの子宮頸がんリスクを較べたデータがあります。
非ピルユーザーには、独身で性経験のない女性も
ずっとコンドームで避妊し続けた女性も含まれているでしょう。
一方、ピルユーザーのほとんどはコンドームの併用はしていなかったと考えられます。
この両者の死亡率や罹患率に有意差はありませんでした。
これは何を意味しているのでしょう?
もし感染率が低く罹病率(癌化率)が高いのなら、
生活条件が罹患率に反映するはずです。
しかし、実際は感染率が非常に高く罹病率(癌化率)が非常に低いから、
生活条件が罹患率に反映しないのです。
子宮頸がんに罹患するのは10万人中15人程度です。
ほんの15人です。
これは生活条件を反映したものではなく、
個別の身体条件により罹患が生じることを示しています。
ほとんどの女性は妊娠出産を経験します。
妊娠するためには性交渉は不可避なのであり、
HPV感染のリスクを避けることはできないのです。
なお、ピルの服用期間によるリスク変動についてはこちらで解説しています。

上ではピルユーザーの疫学研究データを見てみました。
しかし、このようなデータを引っ張り出さなくても、
少なくとも女性の過半はHPV感染を経験することが知られており、
感染率が非常に高いことは周知の事実です。
つまり、特定の生活条件を持つ人だけがHPVに感染するのではありません。
子宮頸がんを性感染症の一種とする考えが偏見のもとになっており、
この考えが広まれば偏見も同時に広まることになるでしょう。

子宮頸がんを性感染症と見なすことに反対な理由が3つあります。
1つは、上に書いたように偏見が患者さんを苦しめることになるからです。
それが偏見である理由も書きました。
2つは、ワクチン拒否の隠れた理由になっていることです。
HPVワクチンを受けない理由は色々あります。
しかし、個々の理由はそれほど合理的な理由ではありません。
合理的な理由でないのになぜワクチンを受けない決断をするのでしょう。
それはピルに対する偏見と同じで、
性的乱れがなければワクチンは必要ないとの考えが根底にあるように思われます。
子宮頸がんを性感染症と見なせば、
ワクチン摂取率が下がるおそれがあります。
3つは、効果の不確かな予防法が取られてしまう可能性があるからです。
性感染症はコンドームである程度予防できます。
しかし、子宮頸がんをコンドームで確実に予防することはできません。
ピルユーザーと非ピルユーザーで子宮頸がんの罹患率・死亡率に有意差はないと
上に書きました。
試験期間を限って比較試験をするとコンドームは感染に対して有効であることがありますが、
子どもを作るのにはコンドームは着けませんから、
決定的に大きな差にはならないのです。
それに感染と罹患は別問題です。
コンドームの使用がHPV感染にそれほど有効でないことは、
コンドームが普及している日本の罹患率が特別に低くないことでも裏付けられます。
今でも子宮頸がんはコンドームで防げると思っている人がいるのに、
性感染症認定してしまうとますますコンドーム過信が広がるでしょう。
コンドーム過信はワクチンと検診の普及に対して妨げとなるのではないかと恐れます。

2013年2月3日日曜日

子宮頸がんワクチンとピルの類似性

相談・意見交換サイトとして最も充実したサイトの一つは、
ヨミウリ・オンライン内の「発言小町 」です。
「発言小町 」は参加者・閲覧者も多く、
一方的な意見のチェックが機能しているように見えます。
その「発言小町」に「子宮頸がんワクチン、夫と意見が合いません 」とのトピが立てられました。
このトピには148もの意見が寄せられました(2013.2.3現在)。
子宮頸がんワクチンに対する積極派と消極派の意見はそれぞれ一理あります。
完全にどちらかが正しいという問題ではありません。
だから、両者は数の上でほぼ均衡しています。
(※ワクチンはHPV感染を予防するもので、子宮頸がんワクチンの用語は正確さに欠けますが、通称を使用しています。)

ピルと子宮頸がんワクチンの類似点
子宮頸がんワクチンに対する積極派と消極派の意見を読んで感じるのは、
ピルに対する見方とあまりにも類似していることです。
ピルと子宮頸がんワクチンのそれぞれについての見方が類似するのは当然のことです。
ピルと子宮頸がんワクチンの類似点を列挙してみましょう。

①セックスを前提 ピルと子宮頸がんワクチンの両者は、セックスをしないのであれば無用です。
両者はセックスをする前提で意味のあるものです。

②予防的 ピルは妊娠のリスクを、子宮頸がんワクチンは子宮頸がんのリスクを、低減するものです。
既に生じた問題を解決するものではなく、これから起きるかもしれないリスクを低減するという点でも共通しています。

③リスクの度合い そのリスクの頻度は誰もが高いと感じるほどには高くない点も共通しています。
予期しない妊娠は誰にも起きることではありませんし、
子宮頸がんの罹患は誰にも生じるのではありません。

④不完全性 リスクを低減するもので、完全になくすものでない点も共通しています。
ピルは妊娠リスクを低減しますが、避妊の失敗が全くなくなるわけではありません。
ワクチンは一定の型のウイルスに有効なのであり、
子宮頸がんを完全に予防するものではありません。
また有効性の持続期間は十分検証されていません。

⑤マイナートラブル ピルの服用初期には、吐き気があったり不正出血があったりのマイナートラブルが現れることがあります。
ワクチン接種時の強い痛みはピル服用初期のマイナートラブルと似ています。

⑥重篤な副作用 ピルには血栓症のような重篤な副作用の生じることがあることも事実です。
しかし、リスクが高まる副作用がある一方で、疾病予防効果もありトータルではメリット・デメリットが相殺されます。
一方、ワクチンが不妊の副作用を引き起こすという根拠はありませんが、
長期的にみると何らかの疾病リスクを高める可能性は皆無ではありません。

⑦「代替手段」 どちらにも「代替手段」が存在します。
予期しない妊娠を避けるためにコンドームの正しい使用は有効な方法です。
定期的検査は子宮頸がんの予防に有効な方法です。
「代替手段」に「」を付けたのは、二者択一的な意味の代替手段ではないためです。

⑧女性だけが ピルは女性が服用します。
ワクチンは男性も接種できますが、主たる対象は女性です。
そのため、女性だけが負担を強いられると考える人がいます。

⑨異性関係の乱れ どちらも異性関係の乱れを連想する人がいます。
予期しない妊娠、望まない妊娠は、パートナーが一人でも生じます。
HPV感染も同様です。
しかし、ピルを必要とするのは多くの異性関係を持つ女性とする偏見があり、
同様に異性関係の乱れがなければHPV感染は防げるとの偏見があります。

⑩性行動の抑止力 ピルやワクチンを服用すれば妊娠や感染の恐怖が減少し、
性行動の抑止力が小さくなり、性行動を促進してしまうと考える人がいます。

⑪コスト どちらも高価です。ピルの年間コストとワクチンのコストはどちらも5万円程度と高価です。

⑫ビジネス言説 ピルとワクチンは医療関係者が推奨することが多く、
その言説がお金儲けのための言説と受け取られることがあります。

⑬途中で脱落 ピルは毎日継続的に服用することが必要だし、ワクチンは3回接種することが必要です。
ところが、途中で脱落するケースがかなり多いのも事実です。

⑭過敏反応 他のワクチンや他の薬品にもリスクはあります。
ピルや子宮頸がんワクチンは、それらと較べてリスクが大きいとか大きなリスクが予見されるわけではありません。
しかし、ピルや子宮頸がんワクチンについては何故かリスクについて過敏です。

⑮安心心理 予期しない(望まない)妊娠も子宮頸がん罹患も確率的には高いとは言えず、
自分は大丈夫と思いやすいものです。


ピルと子宮頸がんワクチンの相違点

①公衆衛生上のメリット 子宮頸がんワクチンには公衆衛生上のメリット(社会全体の感染を減らす)があります。
ピルにはそのようなメリットはありません。

②未解明の副作用 ピルの副作用リスクはほぼ解明されているのに対して、
子宮頸がんワクチンには未解明の副作用リスクがある可能性は否定できません。

③効果の検証 ピルの効果は十分に検証されているのに対して、
子宮頸がんワクチンの効果は十分検証されているとは言えません。

④リスクの度合い ピルの回避する妊娠リスクと較べて、子宮頸がんリスクは頻度的には格段に少ないけれども、
死亡する事もありリスクの程度は重いと言えます。

⑤親の意思 ピルの服用を決めるのは服用者本人ですが、
子宮頸がんワクチンの服用では親の意思が多分に影響します。

⑥公費助成 ピルのコストは本人負担ですが、
子宮頸がんワクチンには公費助成があります。

⑦経験者の発言 子宮頸がん経験者は積極的に発言する傾向があるのに対して、
予期しない(望まない)妊娠の経験者が積極的に発言することは稀です。

⑧副作用を煽る情報 根拠なく副作用を煽る情報は、
子宮頸がんワクチンの方がピルより多いでしょう。

⑨医療関係者 医療関係者の認識は子宮頸がんワ
クチンでブレが小さく、
ピルでブレが大きい傾向があるように思えます。


ピルと子宮頸がんワクチンの阻害要因
子宮頸がんワクチンの接種率は60%を越えたのに対して、
ピルの普及率は2%程度です。
子宮頸がんワクチンの接種率60%は、
必ずしも高い数字とは言えません。
何がピルと子宮頸がんワクチンの阻害要因になっているのか考えてみました。

①医療情報の不備
「発言小町」で子宮頸がんワクチンに対する消極的意見を見てみると、実は「打たない」理由になっていないものも多く見られます。
たとえば、「全ての型のウイルスに有効ではないのに副作用リスクが心配だ」という意見があります。
このような意見は、「無知」な人の意見ではありません。平均以上によく知っている人の意見です。
詳しく知りたい人の情報需要に応じる情報提供になっていないのではないでしょうか。
私なら、以下のような情報提供をします。

現在、年間約12000人が子宮頸がんを発症し、3500人が死亡しています。
その内、HPV(16型と18型)による子宮頸がんは約6割です。

仮に全員が子宮頸がんワクチン(16型と18型に有効)を接種すると、
発症者は年間約4800人少なくなり、死亡者は年間約1400人減少すると期待できます。

子宮頸がんワクチンには、未知の副作用があるかもしれません。
もし、ワクチンにより年間4800人以上に重篤な副作用が生じ、
年間1400人以上の副作用死亡者が出るとします。
その場合、史上最大規模の薬害事件となり、
メリットよりもデメリットの方が大きかったことなります。
ワクチンの関連が疑われる死亡例は現在のところ世界で数例です。

なお、現在約25%の検診率が100%になると、
死亡者数を更に大幅に減らすことができます。
 


上は特段目新しいことを書いているわけではありません。
メリットとデメリットを率直に知らせて、
判断は患者自身に委ねる基本に則って書いてみただけです。
このような情報提供の形が取られれば、
子宮頸がんワクチンに未知の副作用があったとしても、
メリットの方が格段に大きいと判断する人が増えるのではないでしょうか。
ちなみに、子宮頸がんワクチン推進の代表的なサイト。
子宮頸がん予防情報サイト もっと守ろう.jp
しきゅうのお知らせ 子宮頸がん基礎知識
同じ事は、ピルの情報についても言えます。

②医療不信
発言小町の意見表明を見ていくと、
医療不信の影が色濃いことに気づきます。
これは上の①で述べた情報提供の形とも関係しています。
医療情報の提供と意見表明は異なります。
医療系サイトは医療情報を提供しているつもりなのでしょうが、
往々にして意見表明になっています。
判断するのはユーザーとの姿勢が徹底していないからです。
本来、ユーザーにとって不利益となる情報は最大限に記載すべきなのです。
ところが、不利益情報については簡単にしか書かなかったり、
場合によっては不利益情報の否定に力を入れています。
そのような情報提供の形が医療不信を醸成します。
日本人は知的レベルの高い国民です。
客観的な情報を提供することに徹底すれば、
国民は正しく判断するでしょう。
ところが、馬鹿な国民に正しい情報を教えてあげるという姿勢が見え隠れします。
日本のインフォームドコンセントが、
選択を委ねる形になっていない事とも関係しているでしょう。
ピルについてこの傾向はさらに顕著です。
恥ずかしくなるようなバラ色のピル説明はざらにあります。

③動機付け
不十分さを持つ情報の中で6割の人が、
子宮頸がんワクチンを受け入れています。
それは動機付けが明瞭だからです。
子宮頸がんに罹患する確率は低くても可能性は排除できない、
罹患すれば死亡のリスクまで生じる、
ワクチンは罹患のリスクを低減する。
ここには明確な動機付けがあります。
そして、子宮頸がん経験者の声がこの動機付けを強化しています。
その結果が6割の人々の受容に結びついています。
ピルの普及している国では、
上記と同じ動機付けが作用しています。
ところが、日本のピルはこの動機付けが不明瞭になっています。
ピルは性感染症を防げない不完全避妊法であるとされる一方で、
生理痛の緩和効果などが強調されます。
その結果が普及率の停滞となっていると考えています。

④価格
子宮頸がんワクチンの接種率は全体で6割ですが、
ばらつきも大きくなっています。
子宮頸がんワクチン接種率6割超え 受診率ばらつきも
上記の記事では、自治体による補助率がばらつきの要因だと指摘しています。
日本のピルのコストは高すぎです。
ピルの高いコストがピルの普及の阻害要因になっています。

※アンケートはワクチン反対派の方が作成したものの借り物です。
(正)接種(誤)摂取
当ブログにアンケート設置時点(2013.2.13) 42件(11.9%) 31件(8.8%)268件(75.7%) 13件(3.7%)