2014年2月21日金曜日

ピルの副作用被害をなくすための10の提言

提言の背景


2004年に始まるライフデザインドラッグとしてのピル政策の下、
産婦人科医による安易なピルの処方が横行しています。
その結果、重篤な副作用が続発しています。
40歳代のヤーズユーザーについて試算すると、
1年間に血栓症を発症する確率は10万人当たり162人となっています。
ヤーズだけでなく他のピルについても事情は似ています。
このような事実が明るみに出る日が来るでしょう。
約600人中1人に血栓症の副作用が出るような薬が、
使用され続けることはあり得ません。
ライフデザインドラッグ政策は日本をピル不毛の国にしてしまいます。
日本のピルが滅亡してしまうのを避けるためには、
ピルを本来の安全な薬に戻していく必要があります。
ピルが安全な薬であることを示すためには、
ピルによる血栓症発現率・死亡率を極限まで低下させることが重要と考えます。
ピルユーザー数が現在と同じなら、
発症率・死亡率を現在の1/40に抑えることは可能です。

※上記記述中に数値の誤りがありましたので訂正しました(2014.3.1)
参照 ピルによる血栓症発現率の現状を推測する


1.35歳以上の女性についてはミニピル(黄体ホルモン単味剤)を第一選択肢とする


35歳を超えると血栓症発症率が加速度的に上昇します。
混合ピルの服用経験のない30歳以上の女性に混合ピルを安易に処方するなど、信じられない安易な処方が横行しています。
まずこの点を是正します。
①35歳以上の女性に対する混合ピルの新規処方を停止する
黄体ホルモン単味剤(ミニピルなど)は、血栓症リスクにリンクしません。
ミレーナ・ティナゲスト・ノアルテンを第一選択肢とします。
②35歳以上で現在混合ピルを服用中の女性については、黄体ホルモン単味剤への切り換えを検討します。
【解説】
ノアルテン錠(5mg)は諸外国においては避妊薬としても使用されている黄体ホルモン単味剤(ミニピル)であり、避妊薬として、あるいは避妊効果を期待できる治療薬として利用されています。
日本でノアルテンの薬価はルナベル・ヤーズの1/7であり、
治療目的ユーザーの負担軽減にも役立ちます。
避妊目的で利用する場合は自由診療になりますが、
負担が増えることはないでしょう。
ノアルテンを黄体ホルモン単味剤(ミニピル)として服用する場合の服用法は、
「ピルとのつきあい方」が概略を書いていますが、
さらに詳しい情報提供を考えています。


2.初めて服用するユーザーはトリキュラー・アンジュ・ラベルフィーユを第一選択肢とする


血栓症は服用初期数ヶ月にもっともリスクが高くなります。
この時期の血栓症発現率を抑制するのに効果的な製剤は、低用量(超低用量でない)・第2世代・1相性ピルです(イギリスのガイドラインはずっとこの指定を行っている)。
日本には、低用量・第2世代・1相性ピルはありません。
この条件に最も近いのは、トリキュラー・アンジュ・ラベルフィーユなので、これを第一選択肢とします。

3.デイワンスタートを徹底する


ピルユーザーの血栓症副作用が服用初期に多くなる理由の一つは、内因性エストロゲンの量と関係すると考えられています。
卵胞が成長を始めエストロゲンが分泌されている状態でピルの服用を開始すると、ピルのエストロゲンが付加されて高エストロゲン状態になります。
月経初日に服用を始めることで、内因性エストロゲンを抑制できます。
【解説】イギリスのガイドラインがピルを初めて服用する女性に超低用量ピルを処方しないとしているのも、同じ理由です。
「ピルとのつきあい方」初編はトリキュラー等について、月経初日の服用開始を推奨しました。
逆にクイックスタートはメリットがほとんどない上に、血栓症リスクを高めるおそれがあります。
月経初日の服用開始を徹底すべきです。
参照 クイックスタートの流行に思う

4.処方前の自己免疫検査


年齢が若いにもかかわらず服用開始後の早い時期に血栓症を発症する女性の中には、抗リン脂質抗体を持つ女性が含まれている可能性があります。
添付文書は「抗リン脂質抗体症候群の患者」を絶対禁忌に指定しているのですが、何の検査もなされていないのが実情です。
少なくとも、初めてピルを処方する際には抗リン脂質抗体の検査を行うようにします。
参照 緊急提言/ピルユーザーは抗リン脂質抗体検査を受けよう

5.1シート目のDダイマー検査


血栓が疑われる症状がないのに定期検査毎にDダイマー検査を行うのは、ほとんど意味がありません。
Dダイマー検査が意味を持つのは、1シート目服用中の検査です。
ピルの服用を開始すると、しばしばDダイマー値が上昇します。
(前向き疫学調査では後ろ向き調査と較べて「血栓症発現」率は10倍にもなる)
自覚症状のない段階で血栓症リスクを把握するには、1シート目服用中のDダイマー検査が有効です。

6.中断再開繰り返し服用を止める


ピルは服用初期に血栓症リスクが高くなります。
これはピルを初めて服用するときだけでなく、
ピルの服用を中断し再開する際にも同じく血栓症リスクは高くなります。
日本では、中断再開を繰り返すユーザーが多数います。
ピルが避妊薬でないとき、継続的服用が難しいのです。
中断再開を繰り返すユーザーには、
ミニピルを第一選択肢とします。
中断再開繰り返しユーザーが多いのは、
ピルの価格も関係しています。
イギリスではピル1シートの値段は缶ジュースほどです。
将来的にはピルの値段を下げていくことも課題です。
参照 「ピルの値段が高ければ高いほど血栓症発現率が高くなる」ってホント?

7.飲み忘れ対応を改訂する


避妊ピルについて日本の添付文書や服用者向け情報提供資料(パンフレット)は、2日飲み忘れたら服用を中止するよう求めています。
この服用法は妊娠リスクを低減する効果が全くありません。
それだけでなく、結果的に中断再開を繰り返すことになりますので、
血栓症リスクを上げてしまいます。
血栓症リスクを高めないという点で、ルナベル・ヤーズの飲み忘れ対応の方が妥当です。
最悪の飲み忘れ対応は、即時改訂する必要があります。
参照 産婦人科医の犯罪的怠慢

8.血栓症等の前兆症状を周知する


血栓症は前兆症状、初期症状で即座の対応すれば、大事に至ることは稀です。
ピルユーザーの血栓症の多くを占める深部静脈血栓症は、
前兆症状で服用を中止すれば閉塞を起こすことなく解消します。
後遺症もなく、まして死亡することもなく、事なきを得ることが出来るのです。
ヤーズに採用された服用者携帯カードを全てのピルに拡大するなど、
ユーザーに血栓症等の前兆症状を周知する必要があります。
参照 ピルユーザーのための血栓症情報
          (アンケート)ピルユーザーに血栓症の初期症状情報は知らせされているか?
        血栓症初期症状を説明している医師は21%

9.血栓症等の前兆症状で機敏な受診行動を促進する


血栓症等の前兆症状を知っていても、必ずしも機敏な受診行動が取れるわけではありません。
機敏な受診行動の阻害要因を取り除いていく必要があります。
同時に自立的ピルユーザーを育てていくことが課題です。
参照 ピルユーザーのための血栓症情報後半部分

10.客観的なピル情報


ピルは安全な薬であるとともに、ピルは危険な薬でもあります。
扱い方一つで安全な薬にも危険な薬にもなります。
15年前から、「ピルとのつきあい方」にはピルを安全な薬にする情報を詰め込んできました。
上の9項目は今思いついたことではありません。
ほとんどのピルユーザーが「ピルとのつきあい方」を読んで下さっていた時代(2004年以前)、
日本の血栓症発現率は問題にならないレベルでした。
2004年からライフデザインドラッグ路線が取られ、
ピルを安全な薬にする「ピルとのつきあい方」の情報は疎んじられるようになりました。
ライフデザインドラッグ路線下の日本で、世界のピル史上最悪の副作用被害が生じているのはある意味当然のことです。
信頼できる情報は製薬メーカーの情報といいながら、
「ピルとのつきあい方」の情報を信頼できないと排除してきたNPOがあります。
「ピルとのつきあい方」と件のNPOでは上記9項目に対する考え方がまるで正反対です。
製薬メーカーの受け売り情報よりも、ユーザーの安全を守る情報が重要です。

発症率・死亡率を現在の1/40に抑えることは可能です。
現在の副作用多発事態を放置すれば日本のピルは滅亡するでしょう。
それを避けるためには副作用被害を最小限に押さえ込むしかありません。







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