16年余が経過しました。
日本のピルの現状を見るとき、少しく考えることがあります。
長くなりますがこの会の理念を引用してみます(太字強調は引用者)。
http://square.umin.ac.jp/pwcsh/about/ayumi.html 2014/02/27
◆以下引用◆
この50年間に女性のライフスタイルはすっかり変わっています。身体の成長と性行動の開始が早くなり、産む子どもの数は少なくなりました。一方で高学歴化し、職業をもって社会参加するのがあたりまえになりました。寿命も飛躍的に延び、閉経後の人生は30年以上に及んでいます。それにともない、長い人生をどうやって健康の質(QOL)を保ちながら豊かに生きるかが新しい課題となっています。
WHOは、身体のみならず精神も社会的な状態も、すべて良い状態(Wellbeing)であってこそ、真の健康と言っています。私たちは、女性の健康の専門家を目指して、証拠にもとづいた正しい情報を提供し、わが国に包括的な女性医療・保健システムを実現するために活動をしています。
- 1. 政策への提言
- 低用量経口避妊薬の認可を求めて
- 新しい女性医療システムを目指して
- 十代の性教育の充実を求めて
- 2.シンポジウム・セミナー
- 「21世紀の女性医療」
- 「性感染症や中絶から十代を守ろう」
- 「避妊カウンセリング―日本とアメリカ」
- 「働く女性の健康」
- 「働く女性のメンタルヘルス」
- 「中高年女性の健康―Complete Wellnessとは―」
- 「女性の健康とクスリ」
- 「くすりCASP勉強会」
- 「出産シンポジウム」他
- 3.リーダーシップ研修
- ピル講師養成講座
- 十代への性教育講師養成講座
- 4.調査研究
- 日本女性の性・避妊行動調査
- メディアの性感染症の取り上げ方についての研究
- 5.出版・編集協力、ビデオ、スライド作成
- 6.広報活動
- 年4回のニュースレター発行
- インターネットホームページの運営
- 7.ネットワーク形成
- 日本女医会、米国女医会、ほか国際アドバイザー多数との交流
- 従来の母子保健制度の枠を超え、女性の健康の視点からリプロダクティブ・ヘルス/ライツの推進をしていきます。妊娠や分娩ばかりでなく、月経、不妊、望まない妊娠や性感染症、更年期、女性ホルモンの積極的利用などについても積極的に考えていきます。
- 総合的な女性の健康(Women's Health)を実現させる医療や保健システムの確立にむけて活動していきます。栄養や睡眠、ストレス、がん予防、メンタルケア、思春期や高齢者の健康問題など、女性の健康にも学際的な研究や医療の提供が必要とされています。
- 子どもからおとなまで、男女一緒の性と健康に関する教育を実現させていきます。従来の性教育を見直し、個人の人権を尊重した科学的な健康教育が必要です。わたしたちは、「性」と「こころ」の自己決定をサポートしていきたいと考えています。
- 科学的な証拠に基づく医療(EBM)の考え方を導入し、わが国の女性の健康に関する学際的研究を行っていきます。
- 患者や障害者、高齢者、子どもなど弱者にやさしい医療や社会の構築を提言します。パターナリズム(家父長主義)を廃し、ひとりひとりの人間が尊厳のある個人として大切にされる、心地よい社会環境を実現していきます。
また、臓器別ではなくトータルな人間として診る統合医療を臨床で実践しようとする女性総合医療も、当会会員を中心に各地で試みられるようになりました。岡山や福岡での試みはその先駆とも言えます。また、医学的にも性差医療(ジェンダースペシフィックメディスン)が注目され、男性と女性の生物学的、遺伝学的、医学的、社会的差異について検討されようとしています。
2003年。女性医療・保健は「健康日本21」でリプロダクティブヘルス・ライツの項目として掲げられ、わが国の医療・保健の目標として推進されようとしています。しかし、ひとりひとりの人間によりそい、自己決定を支援しようと私たちが求めてきたトータルな医療・保健の実現には、まだ遠い道のりであるといえます。とはいえ、この数年、当事者主体の医療改革のムーブメントには目をみはるものがあり、これからは、ますます当会が、専門家でありかつ当事者の視点を失わない活動を、真に一般女性の健康と幸福のために展開できるのかどうかが、試されることでしょう。
最後に、私たちが、生涯にわたる女性の真の健康を実現していくために、今後活動してゆくための5つの柱を掲げたいと思います。
◆以上引用◆
すばらしい理念なので、理念を賞賛するとのタイトルを付けました。
理念にそったすばらしい活動も行いました。
たとえば1999年12月に性と健康を考える女性専門家の会は、
ガイドライン等に「2日以上のみ忘れたら止めるように書かれているが、
それでは妊娠リスクを上げてしまう」として厚生省に改善の申し入れを行いました。
この服用法では妊娠回避効果が全くないだけでなく、
血栓症リスクを高めてしまいます。
理念もすばらしいが活動もすばらしい、と賞賛しておくことにします。
もし私が後代の歴史家であったなら、
「性と健康を考える女性専門家の会」とそのメンバーの言説に即して日本におけるピル受容を考察するでしょう。
私は後代の歴史家ではないので、それは控えておきましょう。
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以下は余談です。蛇足です。
18世紀後半、世界各地に啓蒙専制君主が現れます。
明治日本も啓蒙専制君主の国と似ています。
啓蒙専制君主の改革は一定の成果を上げます。
しかし、社会を根底から改革することは出来ませんでした。
啓蒙専制君主の国では、日本の自由民権運動のような運動が起こります。
下からの運動です。
啓蒙専制君主と下からの運動は、共通する理念を持っていました。
しかし、どの啓蒙専制君主の国でも、下からの運動は抑圧されます。
そのような歴史がありました。
なお、余談の余談になりますが、
「ピルとのつきあい方」はずっと飲み忘れの問題を取り上げてきましたし、
ブログでは産婦人科医の犯罪的怠慢の記事を書きました。
避妊失敗のリスク、血栓症副作用のリスクにピルユーザーが曝されているなら、
ピルユーザーに注意を喚起したいからです。
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@ruriko_pillton 「自己決定」が4回使用されている。「パターナリズム(家父長主義)を廃し」とも。医療者、患者双方の意識変革が必要な問題だ。それを実現する方途が重要。
— ピルとのつきあい方(公式) (@ruriko_pillton) 2014, 2月 27
「性と健康を考える女性専門家の会」の理念や活動について考えるとき、頭の中で交差するのはOBOSの活動だ。→
40周年を迎えた『OBOS からだ・私たち自身』
http://t.co/Vc6PeJL5xs
— ピルとのつきあい方(公式) (@ruriko_pillton) 2014, 2月 27
OBOSを紹介する英語ページ。護身術の図解ページのコピーがある。いかにもな感じだ。http://t.co/60RFIdXWrs
— ピルとのつきあい方(公式) (@ruriko_pillton) 2014, 2月 27
本家OBOSは一般人の女性の声で生まれたものだが、実は医療者が1女性として協力した。日本の医療者は1女性となれるかなと思う。
— ピルとのつきあい方(公式) (@ruriko_pillton) 2014, 2月 27
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