以下の薬品は酵素を誘導し、その結果としてピルの代謝が早まります。
その仕組みをアルコールで説明してみましょう。
お酒に強い人と弱い人の違いは、アルコールを分解する酵素の強弱です。
お酒に強い人は摂取したアルコールを次から次に分解(代謝)していきます。
血中のアルコール濃度は上がらないので、水を飲むようにお酒が飲めます。
一方、お酒の弱い人はアルコールを分解する力が弱いので、
血中のアルコール濃度が下がりません。
もし、アルコールを分解する酵素を強める薬があれば、
お酒を飲んでも飲んでも酔わないでしょう。
お酒は酔わない方がいいかもしれませんが、
ピルの成分が早く消えてしまってはピルの効果がなくなります。
下の表の酵素誘導薬はピルの分解(代謝)を早めてしまうので、
ピルの効き目が低下するのです。
酵素誘導薬
分類 | 薬品等 | 備考 | |
抗てんかん薬 | カルバマゼピン エスリカルバゼピン オクスカルバゼピン フェノバルビタール フェニトイン プリミドン ルフィナマイド |
影響あり | |
トピラマート | 影響は弱い | ||
ラモトリギン | 評価は未定 | ||
抗生物質 | リファンピシン リファンピン |
結核やハンセン病の治療 | |
抗レトロ ウイルス剤 |
プロテアーゼ阻害剤 | リトナビル | 抗HIV薬 |
リトナビル&アタザナビル | |||
リトナビル&チプラナビル | |||
リトナビル&サクイナビル | |||
リトナビル& 他のプロテアーゼ阻害剤 |
|||
非核酸系 逆転写酵素阻害剤 |
エファビレンツ | ||
ネビラピン | |||
ハーブ | セイヨウオトギリソウ | セント・ジョーンズ・ワート | |
肺高血圧治療薬 | ボセンタン (トラクリア) |
. | |
向精神薬 | モダフィニル (モディオダール) |
. | |
制吐薬 NK-1受容体遮断薬 |
アプレピタント (イメンドカプセル) |
. |
酵素誘導薬以外
分類 | 薬品等 | 備考 |
黄体ホルモン受容体調節剤 | ウリプリスタール酢酸エステル | 日本未承認 |
筋弛緩回復剤 | スガマデクス (ブリディオン) |
包接体形成。 1回ボラース=1錠飲み忘れ相当 |
上の表を見ればわかるように、風邪を引いて病院で処方されるような薬は含まれていません。
持病の治療薬と言ってもよいでしょう。
一つだけ気をつけたいのは、セント・ジョーンズ・ワートです。
セント・ジョーンズ・ワートはポピュラーなハーブなので、
口にする機会が多いかもしれません。
ただ、セント・ジョーンズ・ワートがピルの効果を低下させる作用はそれほど強くありません。
気をつけるに越したことはありませんが、
たまたまセントジョーンズワート入りのキャンディを口にしたくらいでは、
あわてる必要はないでしょう。
どうしても心配ならば、服用定時と定時の間にもう1錠追加服用します。
あるいは、7日の休薬期間を4日に短縮します。
コンドームを併用すればもっと確実です。
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