2013年6月29日土曜日

ルナベル・ヤーズの錬金術

イギリスのピルの値段についてツイートしました。

リンク先は医療関係者向けのプレゼンテーション資料を保存したサイトです。
イギリスではピルの処方をするのは産婦人科医だけではありません。
日本でいえば保健師さんもピルの処方をしています。
地域でピルの処方をしている医療関係者向けのトレーニング資料ですが、
ピルは若い女性向けの避妊法であるとか、
種類の選択が重要とか興味深い内容となっています。
ピルには相性があるので相性にあわせてと選ぶと、
「ピルとのつきあい方」は14年前から書いてきました。
それと重なる内容が示されています。
ピルの選択と関係してピルの価格も示されているのです。
ツイートしたようにNorinyl1というピルは日本円換算で1シート110円です。
Norinyl1はノリニール1と読みます。
日本ではシンフェーズとノリニールという3相性低用量ピルが認可されましたが、
そのノリニールと名前は同じでノリニール1となっているのは1相性のノリニールという意味です。
このNorinyl1はオーソM・ルナベルと成分用量がまったく同じです。
全く同じ成分用量のピルの価格を図にしてみました。
図にソフィアAを入れたのは、中用量ピルに分類されるピルですが、
オーソM・ルナベルと同じ黄体ホルモンの似たピルだからです。
(※Norinyl1には、Norinyl1+35とNorinyl1+50の2種類がある。この記事のNorinyl1はNorinyl1+35について書いている。)



図を見るとNorinyl1とソフィアAは、ほぼ同じ薬価になっているのがわかります。
つまり、百数十円の薬価となっており、その中にコストと利益が含まれています。
オーソM・ルナベルはNorinyl1と同じピルなので、Norinyl1とコストはほぼ同じと考えられます。
コストにNorinyl1やソフィアAなみの利益を上乗せしたものが、
オーソMやルナベルの適正価格と考えられます。
つまり、表に示した4製品の適正価格は皆ほぼ同じで、百数十円となります。
ところが、オーソM・ルナベルの実売価格・薬価は、それぞれ約2600円と約7000円です。
適正価格との間には大きな差があります。
それを政策プレミアムとしてモザイクで示しました。


ルナベルの薬価6990円は、政府が政治的判断で決めた政治薬価です。
適正価格との差が6800円にもなります。
つまり、ルナベルの薬価の大部分は政策プレミアムからできているのです。
政府がルナベルに法外な高い薬価を設定したのは、
2つの目的からだったと推測できます。
ピルの値段が下がってはピルが普及してしまいます。
ピルの普及を阻止するためには、ピルの価格が下がらないようにする必要がありました
7000円の薬価を設定すると個人負担額は2100円程度です。
自由診療のピルに価格の標準を作ることを意図したのでしょう。
実際、保険適用でないピルの価格はこの2100円程度を指標とした物になっています。

もうひとつの狙いは、業界の懐柔でした。
原価が100円以下の薬を約7000円で販売すれば、
売上のほぼ全てが業界の利益となります。
ケタ違いの利益が業界に分配されることになったのです。
ルナベル認可後、ピルは避妊だけでない、子宮内膜症や月経困難症にも効果があると啓発されることになりました。
ピルは避妊などと言うしみったれた効能の薬ではなく、「ライフ・デザイン・ドラッグ」だというわけです。
脱避妊薬路線を誘導するのに政策プレミアムが利用されたのです。

ルナベル認可前の2004年、「ピルとのつきあい方」は、
ルナベルの薬価は中用量ピル並の「適正価格」以外あり得ない、
との主張を展開しました。
もし、適正価格150円のルナベルが実現していれば、
オーソMはもちろん他のピルも皆150円に近づいていったでしょう。
イギリスは、ドイツは若者のピルが無料だと羨まなくてすむ国になっていたのです。
治療目的でピルを服用する女性の経済負担も極小にすることができたのです。


「ピルとのつきあい方」は2004年から異端児になりました。(参照ピルユーザーの願いが実現しない仕組み)
私は、間違った主張をしたから異端児になったのではなく、
まっとうな主張をしたから異端児になったのだと考えています。




2013年6月23日日曜日

「ピルとのつきあい方」一時閉鎖のお知らせ

「ピルとのつきあい方」は悪意ある第3者による乗っ取り攻撃を受けているようです。
点検等が終了し安全が確認されるまで、一時閉鎖いたします。

   サイトが乗っ取られているのかな? http://t.co/hVKZ5fbBNQ


(正)お越し (誤)起こし

2013年6月22日土曜日

ピルユーザーの願いが実現しない仕組み

異常な事態がなぜ是正されないのか?

昨日のブログでは、「産婦人科医の犯罪的怠慢」を書きました。
「ピルとのつきあい方」では14年間、ピルユーザーの妊娠リスクを高める日本ルールの是正を求めてきました。
当サイトの主張に間違いがあるならば、
誰かが指摘して下さるはずです。
しかし、これまで当サイトで書いていることを誤りだと主張したのは、
低用量ピル普及委員会NPO理事長氏と副理事長氏の2人だけです。
しかも、その理由は偉い先生が書いていることと違うという理由です。
当サイトの指摘が正しいならば、
日本ではピルユーザーの避妊失敗(妊娠)をわざわざ高める服用法が推奨されていることになります。
このような異常な事態がなぜ是正されないのでしょうか。
その理由の一つは、女性/ピルユーザーの願いを揉み消す装置として、
低用量ピル普及推進委員会なるニセピルユーザー団体が存在していることがあります。
このような団体は旧社会主義国にはあったかもしれませんが、
私の知る国では見たことがありません。

女性の願いを封じ込めるいつもの手口

望まない妊娠をしたくない!!
これはいつの時代も同じ女性の願いです。
行政はこの願いをコントロールしようとし、
産婦人科医は積極的にあるいは結果的に協力してきました。
1970年代のピルブームについて考える」では、
1970年代の日本ではピルが急激に普及しその普及率は現在以上に達していたと指摘しました。
「望まない妊娠をしたくない!」との女性の願いが、
ピルブームを巻き起こしたのです。
このピルブームはメディア規制などを通して封殺されていきます。
2000年ころの緊急避妊ブームも似たような現象でした。
その間の事情は、「もう一つのノルレボ物語(1)2000年に起きた異変」「もう一つのノルレボ物語(2)緊急避妊フィーバー 」に書きました。
ただ、1970年代のピルブームと違う点は、
ネット時代となりメディア規制だけでは女性の願いをコントロールできなくなっていたことです。
そこで、「適正使用」という名のより巧妙な緊急避妊遠ざけ政策が取られました。
その間の事情は、もう一つのノルレボ物語(1)~(12)に書いています。

女性が愚民でなくなる恐怖

自分で言うのも気が引けますが、
2000年ころ、英語サイトも現在と較べると格段に情報量は少なかったので、
「ピルとのつきあい方」は世界で最も充実したピルについてのサイトになっていたと思います。
「ピルとのつきあい方」を書くために集めた資料の重さは、
約60キロにもなりました。
不十分さはあるにしても、自分としては確かな内容でなおかつ誰にでも理解できる書き方をしたつもりです。
「ピルとのつきあい方」ができたころ、
日本の医師のピルについての知識は貧弱でした。
「ピルとのつきあい方」は多くのピルユーザーに読まれましたので、
医師とピルユーザーのピルについての知識に逆転現象さえ生じました。
その典型が緊急避妊でした。
医師は緊急避妊について知らないのに、
女性は緊急避妊について知っているという現象が起きたのです。
これでは女性をコントロールできないとの恐怖から、
低用量ピル普及推進委員会が作られました。

ピルユーザー歴1ヶ月

女性が賢くなることを嫌う人々にとって、
「ピルとのつきあい方」は目障りな存在でした。
特に当サイトを目障りに思ったのはある女性医師と彼女を中心とするグループでした。
彼女たちの言動についてはそれなりの情報を持っていますが、
公開しないとという条件でいただいた物なので公開できません。
ただ彼女たちのいらだちの一端は、以下に表れています。(拡大)


なお、12時間ルールの説明はこちらです。
2004年時点で言えば、世界の医師とユーザーそしてほとんどの日本のユーザーの知っている12時間ルールについて、
日本の名の知られた医師は知らなかったようです。
ユーザーより無知な産婦人科医の実態が図らずも露呈しています。
女性医師グループと接点のあるポジションにいたのが、
低用量ピル普及推進委員会NPO理事長氏です。
低用量ピル普及推進委員会の設立時点で彼女は、
ピルユーザー歴1ヶ月になるかならないかの新米ユーザーでした。
毎日1粒飲むしか知らなかったと述懐していますが、
なぜか「ピルとのつきあい方」は間違いだらけで信頼できないとわかったようです。

ピルユーザー代表

低用量ピル普及推進委員会NPOの実態は、ほとんど名ばかりNPOです。
理事長と副理事長が思いつきで珍説を表明することがあるくらいで、
独自の理念も主張もありません。
彼らが最も力を入れていることは、露出を高め人集めをして、
大きなグループに見せかけることです。
なぜ彼らは無意味に思えるような人集めにこだわるのでしょう。
その理由をひと言で言えば、
理不尽に満ちた日本のピルを維持するためには、
ピルユーザーの「支持」が必要だからです。
彼らは、ピルユーザー代表であらねばなりません。
そして、ピルユーザー代表として理不尽なピルを支持する役割を持っています。
低用量ピル普及委員会ができたころ、彼らを支えたのは女性医師グループの医師でした。
その後も、広告塔医師がこの団体を持ち上げ続けました。
ピルで最も有名な医師のツイッターアカウントがフォローしているのは8人に過ぎませんが、
その2番目は副理事長で4番目もメンバーの一人です。
低用量ピル普及推進委員会にとって、有名医師の支援は組織の信頼性を高め、人集めに有利に作用しますので、
有名医師との関係をことある毎にアピールしてきました。
こうして、低用量ピル普及推進委員会は、
ピルユーザー代表を演出することに成功してきました。


低用量ピル普及委員会の果たしている機能



低用量ピル普及委員会の実態は、とてもピルユーザー代表などと言えるものではありません。
しかし、一般医師には低用量ピル普及委員会がピルユーザー代表のように見えても不思議ではありません。
少なくとも、ピルユーザー団体とは見えるでしょう。
そのピルユーザー団体が、
「ピルっていい物です。私たちは何も問題を感じていません」
と言うわけです。
このような状況で、
ノルレボの価格はあんまりではと思う医師がいたとしても、
「ユーザーが良いと言っているのに自分の言うことではないな」
となってしまうでしょう。
日本の女性、ピルユーザーの声を遮断する役割を果たしているのが、
低用量ピル普及推進委員会なのです。
この団体の存在は、医師に対しても現状容認に作用するだけではありません。
ある女性が数年前に中絶をなくしたいとの思いから活動を始めました。
ところが、この女性は低用量ピル普及推進委員会のメンバーになってしまいます。
そして、その活動はひたすら啓発です。
ノルレボのアクセスを改善したいなどと言ったことは、
多分一度もありません。
ただ彼女は以前、制度の問題に取り組む必要があるのかなと呟いたことがあります。
だから、ずっと期待して待っています。
低用量ピル普及推進委員会は、現状を変えたいとの志を自己満足の運動にとどまらせているように思えます。

名もなき、声なき女性に

性の問題は思っていることを耳で聞くことはできません。
たとえば、妊娠した女性の気持ちや考えを耳で聞いても、
それは心の声ではありません。
心の声は心で聞くしかないのです。
だから性の問題は皆が同じ事を思っていても、
一つの大きな声になりにくいものです。
性の問題を考える際には、このことを心に刻んでいます。
日本の女性の願いは何か、ひたすら考えます。
それが私の流儀です。
そんな私から見ると、
製薬メーカーも、広告塔医師も、一般医師も、ニセユーザー団体も、
みな上をばかり見ているように思えます。
これでは女性は救われません。
ピルユーザーの/女性の願いが実現しない仕組みを変えていきたい。
ニセ代表が跋扈する間は、夢は実現しません。

2013年6月21日金曜日

産婦人科医の犯罪的怠慢

このエントリーは「ピルを2錠以上飲み忘れたとき 」の姉妹編です。
ピルの飲み忘れ対応の問題は、
実際にピルの服用経験のない方には、ピンと来ないテーマかもしれません。
しかし、ピルユーザーにとっては切実な問題です。
この問題について、各国では委員会を設置し時間をかけた検討が行われます。
日本では1999年に作成された責任所在不明の奇妙なガイドラインが、
いまだに踏襲されています。
特に問題なのは2錠以上の飲み忘れがあった場合の対応です。
なぜそれが問題なのかをピルユーザーでない読者にも分かっていただくために説明しました。


※一般的使用PI=9.0 1年間換算。


※緊急避妊薬のガイドラインにはピルの飲み忘れで緊急避妊が必要なケースが説明されています。しかし、日本のピルの服用法に従えば、ピルユーザーは緊急避妊が必要な状態に追いやられることになるわけで、ピルユーザーにこの情報は伝えることが出来ない状態です。なお、日本のガイドラインでは緊急避妊の適応を3錠以上としていますが、2錠以上とする方が合理的です。、


※服用を中止すると言うことは、妊娠を回避する何らの対応もしないことを意味します。








※かつては、日本ルールを問題視する産婦人科医がいましたが、【医師向け】参照マニュアルの提示で沈黙に転じました。

※添付文書や服用者向け情報提供資料に従えば、防げる妊娠を防げずに妊娠するケースが出てきます。これを放置することは許されません。
訂正 (正)最小限にするために放水     (誤)最小限にするに放水



トンデモ服用法を弁護するトンデモ理論について(追記1/2013.11.7)

ツイッターで
「 二錠以上飲み忘れた場合、すり抜け排卵の可能性が出てくるので、服用を中止することによって、生理を誘発し、妊娠を防ぐんですよ。」
とのメンションを頂きました。
上に引用しているツイート、
「2錠以上の飲み忘れで服用を中止すれば消退出血が来て妊娠が否定される、だからいいんだよ」と言う産婦人科医の顔を見たら真顔だったので怖かった。出血は排卵(妊娠)がなかったことの結果に過ぎないのに。排卵があれば出血は起きず妊娠一直線だったりする。21 Jun 2013 」
が理解されていないようです。
このことについて、補足しておきます。
もう一度、下の図を見て下さい。



24Hを越えると、つまり24Hより右で飲み忘れに気づいたら服用を中止せよと言うのが、
日本の産婦人科医が指導している服用法です。
たとえば、36Hで飲み忘れに気づいたとします。
「2日の飲み忘れ」(2錠の飲み忘れ)状態ですから、
服用を中止することになります。
飲み忘れがあってもすぐに排卵があるわけではありません。
排卵リスクは時間経過とともに加速度的に高くなります。
それを赤いグラフで示しています。
一定時間後、たとえば96Hまでラッキーにも排卵がなければ、
消退出血が見られます。
96Hまでに排卵があれば、黄体が形成されますので消退出血は見られません。
排卵が先か消退出血が先かの競争になるわけです。
この競争の結果は運任せです。
消退出血は排卵が幸運にもなかったことの結果に過ぎず、
消退出血があるから妊娠を防げるなどと言うことはできません。
もし飲み忘れを放置して妊娠リスクを避けることができるのなら、
どのような飲み忘れ対応も意味がないことになります。
また、飲み忘れ時の緊急避妊対応も無意味ということになり、
緊急避妊ガイドラインと整合性がとれません。
イギリスなど多くの国では24時間を越える飲み忘れが、
緊急避妊の適応になっています。


もし、飲み忘れ36時間で緊急避妊すると、
低いレベルの排卵リスクで済ますことができます。
このように排卵リスクを最小限に抑える方法を無意味と言っているのが、
日本の産婦人科医なのです。


1999年ガイドラインについては、産婦人科医の不勉強のためなのかと好意的に考えていました。
しかし、改訂後もそれを踏襲し、なおかつ問題ないと強弁し、
問題を指摘する当サイトを中傷するなどの動きから考えると、確信犯としか思えません。

以上、追記1終わり

「月経初日」の「消退出血初日」への読み換えについて(追記2/2013.11.16)

添付文書等の記載は以下のようになっています。
2日以上連続して飲み忘れた場合
その時点で飲むのを止めて、次の月経を待って新しいシートから再び飲み始めて下さい

この服用法では、避妊失敗率低減効果が全くないことは上に述べたとおりです。
服用を中止すると、排卵がなければ数日後に出血が見られます。
この出血は月経ではなく、消退出血です。
月経は概ね2週間後から3ヶ月後の範囲でやってきます。
(服用中止後の性周期の回復と同じ)
添付文書は、自然の月経の再開を待って服用を開始するように求めています。
その場合、月経初日から服用すれば、その日から避妊効果が得られます。

ところで、日本の産婦人科医は、日本のピルユーザーがわざわざ妊娠しやすくなるトンデモ服用法を考案しました。
このような服用法は、50年のピルの歴史で、どこの国のどんな医師も思いつかなかったトンデモ服用法です。
そもそもこのような服用法が取られたなら、
避妊のためにピルを使用するピルユーザーは絶滅してしまいます。
24時間を越える飲み忘れなど、ざらにあります。
そこで服用を中止すると、性周期の回復に3ヶ月かかる女性も少なくありません。
飲み忘れの度に3ヶ月間使えない避妊法など欠陥避妊法ですから、
そのような避妊法が選択されることはあり得ません。

避妊薬としてのピルの普及を抑制しながら治療薬としてのピルを普及させる政策が取られています。
同じピルでありながら、ヤーズ、ルナベル(LD,ULD)の添付文書には、
トンデモ服用法は採用されていません。
トンデモ服用法を採用すると、排卵リスクが高まり治療効果が失われてしまうからです。
トンデモ服用法は避妊効能ピルについてだけ取られていまるのです。
治療目的ピルは普及させても、避妊目的ピルは普及させない、
との意図なのでしょう。
しかし、その邪悪な政策の犠牲になるのは、
ピルに高い避妊効果を期待した女性です。
政策目的達成のために、何の罪もない女性を危険にさらすことは許されません。

トンデモ服用法を考案した日本の産婦人科医は、
トンデモ服用法にトンデモの輪をかけた服用指導をしています。
飲み忘れで服用を中止したピルユーザーに対して、
消退出血の初日からピルの服用を再開するよう指導している産婦人科医は少なく見積もっても過半数を超えます。
Yahoo知恵袋を見ると、ほとんどのピルユーザーは消退出血の初日からピルの服用を再開するよう指導されているのがわかります。
添付文書の求める「月経初日」を「消退出血初日」に読み替えているのです。
「月経初日」を「消退出血初日」と読み替えるメリットがあるとすれば、
ピルを服用しないインターバルが長くならないことです。
メリットはこの1点のみです。
この消退出血初日再開も日本の産婦人科医の発明なので、
そのデメリットを示すデータは存在しません。
しかし、その服用法は避妊失敗のリスクをさらに大きくするかもしれません。
消退出血の初日にピルの服用を再開しても、
すぐに排卵抑止力が得られるわけではありません。
たとえば、飲み忘れ4日目に消退出血が来てピルの服用を再開しても、
排卵リスクは継続しています。※
問題はピルの再開で出血が止まり子宮内膜が維持されてしまう事があることです。
ピルを再開したために子宮内膜が維持され、その状態で排卵があると、
妊娠リスクは高くなります。
消退出血初日のピル服用再開は、妊娠リスクを高めるおそれがあります。
飲み忘れ後のピルの服用開始は、1日2錠服用で排卵リスクを下げると言うのが、
セオリーになっています。
(ルナベル・ヤーズについては不十分ながらそのような形が取られています。)
世界中の産婦人科医が認めているセオリーに反して、
新しいシートの1日目1錠だけを服用する消退出血初日再開はトンデモの上塗りのように思えます。
※消退出血は月経と似ているが、性格は不正出血と同じ。
以上、追記2終わり

「添付文書に従っていない」は免罪符にならない(追記3/2013.11.16)

ピルののガイドライン改訂版は、トンデモ服用法を是認した上で、
WHOガイドラインの服用法を参照として示しています。
添付文書に従わないで、WHOガイドラインに準拠した服薬指導を行っている医師もいます。
トンデモ服用法を指導するより明らかにマシです。
しかし、その場合でも、患者に渡される服用者向け情報提供資料は、
トンデモ服用法が記載されています。
トンデモ服用法に異議を唱えない限り、どのような服用指導を行っても自己満足に過ぎません。
以上、追記3終わり

※万が一にも日本ルールが正当性を持ちうるのは、飲み忘れ錠数が多くなっても避妊失敗率は高くならないと証明された場合のみです。しかし、そのようなエビデンスは一切ありません。
緊急避妊薬のガイドラインは、飲み忘れ錠数が多くなればなるほどリスクが高くなると認めていますので、整合性がありません。

※このエントリーは「ピルを2錠以上飲み忘れたとき 」の姉妹編です。

2013年6月19日水曜日

再論 窒息するHPVワクチンとピル

5月16日に開かれた厚生労働省のワクチンの安全性を検討する専門家会議では、5人の委員全員一致で接種継続が決定されました。その決定に関して、当ブログは「窒息するHPVワクチンとピル」を公開しました。
ワクチン推進がかえってワクチンを窒息させる、との趣旨でした。

それから1ヶ月後、6月14日に開かれた厚生労働省のワクチンの安全性を検討する専門家会議は、子宮頸がんワクチンについて接種呼びかけを中止する決定を行いました。
「子宮頸がんワクチン 接種呼びかけ中止へ」2013年(平成25年)6月19日 NHK News Web

まさに、子宮頸がんワクチンは窒息状態に追い込まれたのです。
この一ヶ月の間、何も新しい事実が明らかになったわけではありません。
呼びかけ中止を決定した6月会議について、以下のように報道されています。

接種したあと体中の痛みを訴えるケースが33例あり、このうち8例は回復していないことが報告され、専門家会議は「接種との因果関係も否定できない」と判断しました。

このような事実は5月会議時点で分かっていたことです。
何が専門家会議の結論を逆転させたのでしょうか。
私は前のブログで、推進派の言動が信頼を失っていると書きました。
そのことに気づかず突っ走れば、いよいよ傷口が広がるとの思いでした。
私の発言について、堀成美氏が耳を傾けて下さいました。堀氏の見識には敬意を表したいと思います。
しかし、堀氏は例外で、多くの専門家は問題がどこにあるのかさえ、理解できなかったのではないかと考えます。
日本の国民は世界一知的レベルの高い国民です。
あのようなぐうたら会議を見せつけられては、
接種率が急低下するのは自明のことでした。
専門家会議の結論ではなく専門家会議の審議経過に国民がNOを突きつけた結果が、
6月会議の結論ではなかったかと思います。

このことについて、もう少し詳しく書きましょう。
私は、「この委員会のもとで、ワクチン接種が継続されることに同意できなかったのです」と書きました。
専門家会議のメンバーは、ワクチン接種により一定比率で複合性局所疼痛症候群(CRPS)などの副反応が生じる事は当然知っています。
会議には「子宮頸がん予防ワクチン接種後の疼痛関連症例等について」の資料も提出されています。
この資料には海外での報告も付されています。
海外の事例は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)として理解できる範囲です。
海外と較べて日本の副反応頻度が高いか低いかは、
副反応報告のシステムが異なるので即座には判断できません。
もし仮に日本が副反応報告システムの整備された国だったとしても(実際は違いますが)、
日本の頻度は高すぎるのではないかとの疑問は拭えません。
また、海外で報告されていないタイプの有害事象が生じている可能性も否定できません。
これらの点について解明するには時間がかかります。
子宮頸がんワクチンは緊急性の低いワクチンであり、
疑問点が解明されるまで中止してもよいのではないかと考えました。
ワクチン接種女性の安全を守るつもりなら、
当然議論されるべき事だし説明されるべき事です。
それがなされていないことに、怒りを覚えたのです。

前の記事では、「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」による情報提供のあり方に対して問題を提起しました。
同サイトだけでなく、メーカーがらみのいわゆる公的サイトには、
副反応(副作用)についての情報が恐ろしくなるほど欠落しています。
このような広報の仕方では女性の信頼は得られません。
かえって、ワクチンは窒息してしまうのです。
日本の国民は賢いのです。
よい情報、悪い情報、包み隠さず情報を出していけば、
賢い選択をします。
この点を、考えてほしいと願っています。

同じ事がピルについてはもっと言えます。
「ピルとのつきあい方」は、ピルを頭で飲もうと提唱してきました。
当サイトについては毀誉褒貶があるようですが、
当サイトがなければ日本のピルはとっくに窒息していたかもしれません。
製薬メーカーの情報で、あるいはそのステマライクな情報で、
ピルが普及するはずがないことに気づいてほしいものです。

子宮頸がんワクチンは、接種者の判断に委ねられることになりました。
当然接種率は惨憺たる状態になるでしょう。
しかし、私はそれを嘆きません。
子宮頸がんワクチンは明らかに有効です。
もし日本のワクチン接種に副反応頻度を高めている要因があるなら、
それを解明し改善していけばいいのです。
それでも副反応をゼロにすることは出来ません。
副反応について、反ワクチン派よりももっと徹底的に情報を開示すべきなのです。
隠し事のない自由な言説により、正しい判断が導かれます。
それは「啓発」によって導かれた行動よりも価値ある行動です。
その第一歩が踏み出されたと思っています。

2013年6月14日金曜日

イドラの中の女性器切除、そして







女性器削除は未開社会で広く存在した風習です。現在ではアフリカなどに残っており、女性の人権に対する重大な侵害として、その風習を根絶する国際的な取り組みが行われています。
女性器削除の野蛮な風習が残る社会に生きている女性の中に、この風習と立ち向かう女性が現れています。しかし、その中で生きてきた女性達はその理不尽さに気づきませんでした。
現在、先進国は避妊・中絶・出産に個人負担をなくす大きな方向で進んでいます。しかし、日本で中絶費用の個人負担をなくそうという提案がなされたら、大反対されるでしょう。そんなことをすれば、安易な中絶が増えると多くの人が考えます。その考えの中に、罰としての中絶という思想が含まれていないでしょうか。緊急避妊薬ノルレボは多くの国でドラッグストアで処方箋なしに買える薬になっています。ところが日本では、「適正使用」の名の下に、「乱用防止」策が考えられています。ノルレボが簡単に使えるようになれば、女性の性に抑止力がなくなるとの考えが見え隠れします。妊娠という罰で性行動を抑止しようとする考えと言えるでしょう。日本はアフリカほど野蛮な方法はとられませんが、罰で女性の性行動を抑止する思想で動いているように思えます。私たちの生きる日本の社会で、罰で女性の性行動を抑止する思想は当然のこととして男性だけでなく女性にも受け入れられています。それはイドラの中の偏見ではないかと思います。

2013年6月11日火曜日

薬剤人工妊娠中絶について







※上記文献中の図表。国別の中絶平均個人負担額。なお、現在レートで12.8万円が100€(ユーロ)。クリックすると拡大。












緊急避妊薬ノルレボの価格が法外な値段になっていることについては、
もう一つのノルレボ物語(1)(12)参照

以上2013.6.10ツイートより

以下は2013.6.11のツイート