病院サイトではこのような記述をよく見かけます。
その根拠になっているのが日本のガイドラインや添付文書です。
当サイトは避妊法評価の世界的な標準となっているTrussell J. Contraceptive Efficacy.のパールインデックスを紹介しています。
Contraceptive Efficacyの最新版は、現在第20版となっています。
第16版から第20版までの各版でピルの避妊効果評価は異なります。
以下にまとめてみました。
理想的な使用の評価はPI0.1からPI0.3でほとんど変わっていませんが、
一般的な使用の評価は下がり続けています(失敗率は上昇)。
第16版ではPI 3.0であったものが、現在ではPI 9.0にまでなっています。
ちなみに、コンドームの理想的使用ではPI 2.0です。
コンドームをきちんと使用すれば、
ピルを漫然と服用するよりはるかに避妊効果が高いという数字です。
ピルはかつてのように避妊効果抜群とは言えなくなっているのです。
ピルの避妊効果低下の背景
おおざっぱに言うと理想的使用のPIは避妊法要因で、
一般的な使用のPIは使用者要因です。(PIについての説明参照)
一般的な使用のPIは使用者要因ですので、国によっても異なってきます。
アメリカではこの十数年の間、
ピルユーザーの服用規律が低下しPI 3.0からPI 9.0になったといえるでしょう。
他の要因があるにしても、ピルユーザーの服用規律低下の要因が関係していることは確かでしょう。
ピルは他の避妊法と異なり、
避妊効果が得られている状態か否かを頭で判断する/頭で判断できる避妊法です。
ピルについての一定の知識がなければ、この判断ができませんので失敗が多くなります。
ブッシュ政権下のアメリカでは禁欲教育政策が取られましたが、
これは長期的に見るとピルの避妊失敗率を上昇させる要因になるかもしれません。
2004年にWHOは、ピル服用についてのガイドラインを改定しました(Selected practice recommendations for contraceptive use,Second edition)。
この新ルールについてはDiana Mansourらによって、先進国女性の避妊需要に適さないとの批判がなされてきました。
新ルールとピルの避妊失敗率の上昇の関係は明らかでありませんが、無関係とも言い切れません。
日本のピルユーザーの状況
性についての知識が乏しければ、ピルについての理解度は低くなります。
ピルについての理解度が低ければ、
失敗率は高くなりますし長続きしません。
これはアメリカのピルユーザーと西欧のピルユーザーの違いとして、
しばしば指摘されてきたことです。
日本の性教育はお世辞にも十分とは言えません。
日本女性の性についての知識はかなり乏しいと言えるでしょう。
この日本にピルを定着させるには、
ピルの知識を持つピルユーザーを育てていく必要があります。
この問題が課題として意識されない限り、
日本にピルが定着することはありません。
換言すると、医師がピルユーザーを管理しようとすればするほど、
ピルユーザーは遠のいてしまうのです。
日本の飲み忘れ対応は、問題外なのでここでは書きません。
日本の女性の几帳面さがなければ、
日本のピルユーザーの避妊失敗率は世界最悪レベルになるかもしれません。
「ピルとのつきあい方」がピルユーザーに慎重な対応を奨めている理由です。
ピルユーザーの避妊失敗率PIを1.0以下にしたい。→ピルとその周辺: 増え続ける?ピルの避妊失敗率 finedayspill.blogspot.com/2013/03/blog-p…
— ピルとのつきあい方(公式)さん (@ruriko_pillton) 2013年3月23日
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