日本の女性から緊急避妊を「遠ざける」第1弾は、
緊急避妊転用薬剤から低用量ピル外しを行うことでした。これは合理的根拠がありません。
「遠ざけ」政策の第2弾は、ソフィア狩りでした。
ソフィアは第1世代の黄体ホルモンが使用されています。
第1世代ピルの緊急避妊薬転用は、悩ましい問題です。
第1世代ピルの黄体ホルモン活性は低く、
エストロゲン優位のピルとなっています。
第1世代ピルが緊急避妊に適したピルとは言えません。
欧米で緊急避妊法が爆発的に普及した1990年代、
欧米では第1世代ピルのシェアは低くなっており、
わざわざ第1世代ピルを緊急避妊に転用する必要がありませんでした。
ところが、日本の中用量ピルの中でソフィアなど第1世代ピルは、
大きな比重を占めていました。
また、低用量ピルの中でも、第1世代ピルが相当な割合を占めていました。
このような事情を考慮して、
「ピルとのつきあい方」では第1世代低用量ピルの緊急避妊薬転用の方法を示すと同時に、
「お勧めではない」と注記しました。
また、第1世代を含む中用量ピルについては、
「例示」としました。
中用量ピルとしてソフィアのみを採用している病院はざらにあります。
緊急避妊を必要とする女性が病院に駆けつけ、
ソフィアしかないからといって門前払いをされるのを避けたかったからです。
実際に、10年間の間、日本では第1世代ピルのソフィアが、
数多く緊急避妊に使用されました。
その数は恐らく20万件を下らないでしょう。
その経験からソフィアを用いた緊急避妊に効果がない、
などといえないことは明かです。
ところが、ノルレボの発売開始をひかえた2010年6月、
北村邦夫氏は「ECとしてノルエチステロンが適さない理由」を指摘し、
以下のように書きました。
「医師の判断と責任」によってすでにEC以外の適応で承認されている薬剤が転用されてきた。 これがプラノバール配合錠やドオルトン錠であったのだが, 中用量ピル(表2)であればECとして使用できると誤解している婦人科医がおり、 ソフィアA,ソフイアCなどをプラノパール配合錠と同様の用法で処方されることから, インターネットなどで情報を得ている女性の間で不安が広がっている。 「緊急避妊法とプロゲスチン」(HORMON EFRONTIER lN GYNECOLOGY, VOL.17. No.2.,2010.6) |
第1世代ピルが緊急避妊に適さないという見解自体は、
あり得る見解です。
上に引用した文章で注意したいのは、
「インターネットなどで情報を得ている女性の間で不安が広がっている」
という一文です。
医師が緊急避妊薬として処方しているソフィアに対して、
一般女性がソフィアを第1世代ピルと知っていて、
緊急避妊薬としての転用に不安を感じることがあるでしょうか。
そのような事実は恐らくなかったでしょう。
ただ、その後の経過を見ると「不安が広がっている」ではなく、
「不安が広がるでしょう」と意味なのがわかります。
2010年6月以後、ヤフー知恵袋では「ソフィア狩り」が始まります。
その一例はこちらです。
低用量ピル普及推進委員会の関係者2名がタックを組んで、
「ソフィア狩り」を行っています。
第1世代ピルの緊急避妊薬転用の是非については、
どちらも一理あります。
悩ましい問題ではあるのですが、
ケースバイケースの問題ではないかと考えます。
プラノバールが使えるならその方がよいし、
ノルレボが使えるならその方がもっとよいでしょう。
しかし、プラノバールを探し、ノルレボを探し回るのに時間を費やすよりは、
ソフィアの選択肢がある方がよいと考えます。
ソフィア狩りを行い、ソフィアによる緊急避妊をなくすことが、
女性の利益になるのか疑問に思います。
もう一つのノルレボ物語(5)に続きます。
2000年に起きた異変
緊急避妊フィーバー
「適正使用」路線の第一歩
ソフィア狩り
プラノバール潰し
ノルレボ高価格の舞台裏
奇妙な親切
乱用幻想のプロパガンダ
良心的医師の悲鳴
親鸞は弟子一人ももたず
隠された情報
「適正使用」の代償
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