詳しくは上記のまとめを見ていただきたいのですが、
自己堕胎罪の廃止は堕胎幇助罪の新設とセットでなくてはならないと論じました。
堕胎罪の廃止が自己目的化しているのではないか、
堕胎罪の問題は女性の性の権利をいかに前進させるかという観点で考えるべきではないか、
と私は考えました。
ただ単に堕胎罪を廃止して堕胎を自由化しても、
安全な堕胎の権利が失われては意味がありません。
上記のまとめをご覧になっているはずのある研究者の方が、
最近ブログに以下のような記事を書いていました。
この一文がある限り、中絶薬を自前で(海外サイトなどから個人輸入などして)入手するなどして 自分の妊娠を中絶する行為は「(非合法の)堕胎」として刑罰の対象になるわけです。 もちろん、正しい知識もないままに自分勝手に中絶薬を使ってはなりませんが、 妊娠を確認し、ちゃんとした薬を適切な方法で服用する「自己中絶」については許可していくべきではないでしょうか。 |
中絶薬を個人輸入して自己中絶することが許されるようにすべきだという主張です。
堕胎罪の廃止が自己目的化しているから、
このような主張になるのではないかと思います。
中絶薬は多くの国で認可されていますが、
「自己中絶」に利用されている国は基本的にありません。
医師等の管理下で使用されているから、
重大な事故が防げています。
「自己中絶」に利用されれば、
適応期限外の使用が頻発し重大事故が発生する恐れがあります。
この不利益を考えれば中絶薬の自己使用は制限されて当然です。
我が国で中絶薬が認可されていない現状は、変えていく必要があります。
中絶薬の個人輸入を自由化すれば、
中絶薬の認可を促進することになるでしょう。
しかし、個人輸入は犠牲をともなうものであってはなりません。
自己中絶罪の廃止が中絶薬の個人輸入の自由化に直結することは、
紹介したブログが示すところです。
個人輸入はサンガー以来、性の権利の前進のために使用される武器でした。
ピル反対派によるマーベロン規制策動を吹き飛ばしたのも、
個人輸入という武器でした。
緊急避妊の「遠ざけ」政策を個人輸入で吹き飛ばすこともできるでしょう。
しかし、重要なことは日本の性の権利の環境を改善することです。
あくまで個人輸入はそのための武器です。
緊急避妊の「遠ざけ」政策を改善していくのに個人輸入の武器を発動すべきか、
中絶薬の認可に個人輸入の武器を発動すべきか、
よくよく考える必要のある問題だと思います。
中絶薬の個人輸入については、いかなる状況においても私は反対です。
緊急避妊薬については、現状において私は慎重です。
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