2013年2月1日金曜日

ダイアンショックが来る?

カナダでは、ピルの一種ダイアンの副作用に注目が集まっています。こちら英語) きっかけはフランス医薬安全庁の決定です。 ダイアンの服用者では血栓症リスクが高くなるとして、 販売差し止めを決めたのです。 ダイアンはニキビの治療薬ですが、 避妊薬としても広く代用されていました。

FDAの卓見
アメリカでは多くの種類のピルが認可されています。 こちらのページにリストがありますが、100種類を越えているでしょう。 これほど多くのピルが認可されているアメリカですが、 ダイアンは認可しませんでした。 当サイト旧版の執筆時でダイアンは70カ国ほどで認可されていたと思います。 現在は世界135カ国で認可されています。 FDAがダイアンの認可を渋っていることを知っていましたので、 以下のように書きました。

「ある国で「きれいになる」をうたい文句にしたピルを見つけました。 ヨーロッパの某大手メーカーの製品です。 成分を見ると、エストロゲン(卵胞ホルモン)と抗男性ホルモン剤でできていて、 プロゲストーゲン(黄体ホルモン)は含んでいません。 原理的には「なるほどなぁ」と思いました。 しかし、使われている抗男性ホルモン剤は微量でしたが、 気になって飲むのはやめました。 その抗男性ホルモン剤は、性転換した「元男性」などが使用する薬剤で、 アメリカなど多くの国で未承認の薬です。」

アメリカFDAは頑としてサリドマイドを認可しなかった実績がありますが、 今回もまたその卓見が証明されました。

ダイアンの余波
フランス医薬安全庁の決定が各国に波及するのは必至です。 注目はダイアンの販売差し止めの影響が、 第3第4世代ピルに波及するかどうかです。 日本では、マーベロン・ファボワール・ヤーズ・ディナゲストが第3第4世代ピルです。 フランスでダイアンはニキビ治療薬として認可されているものです。 必須薬とはいえないので、 販売差し止めの決定がなされやすかったという事情もあるでしょう。 しかし、ダイアンで血栓症の副作用が出るのは、 第3第4世代ピルで血栓症リスクが高めになるのと同じ理由でしょう。(アンドロゲンの防御壁仮説参照) 第3第4世代ピルの血栓症リスク問題が、 再び脚光を浴びる可能性があります。

冷静な対応が必要
科学的研究は客観的事実としてデータを示します。 ただそれだけです。 しかし、世の中にはデータを政治的に利用しようとする人がいます。 かつてピルの認可に反対するグループは、 血栓症リスクのデータを認可反対のために利用しようとしました。 現在、ピルユーザーにコンドームを使用させたい人々は、 ピルユーザーの子宮頸がんリスクが高いと強弁しています。参照 いずれもデータを政治的に利用しようとするものです。 科学は一定の条件下で生じる事実を示すものです。 政治的意図によるデータの弄びに翻弄されることなく、 冷静に対応することが重要だと思います。 参照血栓症の頻度 

追記① 第3第4世代ピル問題は、ピル問題とイコールです。 第1第2世代ピルでも血栓症リスクは非服用者と較べて高くなります。 ダイアンショックが起きれば第3第4世代ピル問題に波及し、 さらにピル全体の副作用不安を煽ることになります。 データの数値が少しでも高ければ「高い、高い」と宣伝できますが、 その「高さ」がどのような条件でどの程度高く、どの程度の意味を持つものなのか冷静に考えたいものです。

追記② 子宮頸がんリスクについてはこちら。 10万人につき11.19人の罹患がピルユーザーでは15.48人に。
しかも、統計的有意差はない。

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