2013年2月12日火曜日

避妊について話し合う文化

「避妊について話し合う」の意味

日本の避妊は、ほぼコンドームだけという状態でした。
そのため、避妊について男女でじっくり話し合う文化が存在しませんでした。
このように書くと、
「避妊について話し合いましょう」
は日本でも常識だと思う方もいます。
たしかに、日本でも「避妊について話し合いましょう」と言われることがあります。
しかし、「避妊について話し合う」意味が、
日本と欧米では全く違います。
日本で、「避妊について話し合う」の意味は、
「避妊をしっかりしよう」という意味以上ではありません。
ですから、話し合うまでもないのです。
避妊方法はコンドームと決まっているのですから、
何を話し合うの?となってしまいます。
一方、欧米と言うよりも日本以外の国には、
避妊の多様な選択肢があります。
だから、「避妊について話し合う」の意味は、
どのような避妊法を選択するかの話し合いになります。
以前、フランスの避妊法について書いたことがあります。
その際に、年齢階級別の避妊法について図示しました(新しいウインドウ)
この図はフランスに「避妊について話し合う文化」があることを
如実に示しています。
年齢によって避妊法が変化していますが、
それはカップル間の話し合いの内容を示しています。

避妊法選択における「お互いの気持ちを尊重すること」

避妊についての話し合いでは、
避妊の切実度、性感染症リスク、セックス頻度、宗教観、副作用リスク、コストなどが、
検討要素となります。

「STD検査してる?」
「まだだったら、コンドームは必須だね」

とか、

「ボクら会えるのは月に2度程度ね」
「だったら、コンドームと殺精子剤でいいんじゃない?」
「でも今は絶対妊娠できないから、コンドームとピルの方が安心できる」

とか、
このような話し合いで避妊法が選択されます。
避妊法は2人で相談して決めることです。
このような文化のない日本では、
「オレ、きちんとコンドームつける人だから心配しないでいいよ」
などと言う男性がいそうです。
このような男性がいたら「避妊について話し合う」文化の国では「はぁ?」と言われるでしょう。
同様に「私、ピル飲んでるから心配しないでいいよ」
などと言う女性もいるかもしれません。
そのような女性がいたら、やはり「えっ?」と思われるでしょう。
避妊法は男性が決めるものでも女性が決めるものでもありません。
お互いがよく話し合い、お互いが納得できる避妊法を選択するものなのです。
コンドームでの避妊に不安を感じる女性は少なくありません。
その場合、女性はコンドーム+ピルを提案します。
避妊法の話し合いはお互いが納得できることが重要です。
「避妊について話し合う」文化の国では、この女性の提案を男性は拒否できません。
愛すると言うことはお互いの気持ちを尊重することだからです。

文化ギャップの深さ

日本には「避妊について話し合う」という言葉はあっても、
その内実がないと書きました。
それはコンドームしか選択肢がないという環境では仕方のないことでした。
話し合いがない中で、男性が避妊の主導権を持ってきました。
避妊は男性が決めること。
これがこの国の掟だったのです。
だから、「避妊をして」と言えない女性が生み出されました。
ピルという避妊手段が使えるようになれば、
日本にも「避妊について話し合う」文化が生まれると考えていました。
ところが、それは楽観的すぎる見方だったようです。
日本では、「密かに」ピルを選択する女性が生まれました。
それだけではありません。
ピルを普及するという看板を掲げながらコンドーム普及に取り組んでいるグループは、
「避妊について話し合う」文化を否定しています。
彼らは「ピルは生出しするためのアイテムではない」から、
ピルを服用していることは内密にするのがよい、
ピルを飲んでいることを告げれば生出しOKと勘違いされる、
というのです。
たしかに、男性にコンドームを使用させるにはその方がよいかもしれません。
日本の男性は女性を思いやることができないのだ、
といわれればそうかもしれません。
「避妊について話し合う」という文化は、
男女の信頼関係のあり方まで絡む問題なのかと思いました。

続き「避妊を話し合う文化」の奥深さ


0 件のコメント: